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新都心の天空に浮かぶ異空間 パーク ハイアット 東京

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NIKKEI STYLE

人それぞれに顔つきや雰囲気、性格が異なるように、ホテルや旅館からも「人格」を思わせる場の力を感じることがあります。限られた空間の中に、そこに関わる人々の思いや歴史が凝縮して投影されているからでしょうか。このシリーズでは、そんな個性際立つホテルや旅館の魅力の神髄に迫るとともに、より深い愉(たの)しみ方を紹介します。初回は、1994年の開業以来、不動の人気を保つパーク ハイアット 東京(東京・新宿)。年末に遠出の予定がない方は、こんなおこもり滞在で新しい東京に出合えるかもしれません。

◆    ◆    ◆

パーソナルなサービスを提供するため客室数をあえて177室に抑えている「パーク ハイアット 東京」を広く知らしめたのは、2003年製作の米映画「ロスト・イン・トランスレーション(Lost in Translation)」だった。遠い異国の地で偶然出会った米国人の男女が、異なる言語や文化、理想と現実の狭間で迷いながら心を通わせていく様をソフィア・コッポラ監督が独特の感性で切り取った作品で、外国人の視点から改めて見るメトロポリス"TOKYO"もまた新鮮だった。この映画の舞台であり、陰の主役ともいえるパーク ハイアット 東京に足を踏み入れた瞬間、映画さながら別世界に迷い込んだかのような、不思議な感覚に包まれた。

エキサイティングなホテルライフの予感

パーク ハイアット 東京は新宿新都心の一角にそそり立つ超高層ビル、新宿パークタワーの39階から52階に位置する。外観からは想像しにくいが、東京都庁と同じ丹下健三氏設計による近未来的なビルの最上部には、都会の雑踏から隔絶された隠れ家のような異空間がたたずんでいる。

チェックインに至る過程からして斬新だ。2階メインエントランスから入ったゲストはまず、奥にあるエレベーターで41階のロビーフロアへ向かう。最初は暗い照明が上昇するにつれ明るさを増し、扉が開くと眼前には、竹の植栽に陽光が降り注ぐガラスアトリウム「ピーク ラウンジ」が飛び込んでくる。

アフタヌーンティーを楽しむ人々のざわめきを背に、そこから最も奥まった場所にあるフロントロビーまでは、クラシカルな気品漂うヨーロピアンブラッセリー「ジランドール」、書物が光に浮かび上がるライブラリーの回廊へと、次々にシーンが切り替わっていく。途中途中では越前谷嘉高氏の四季の絵画など、バランスよく配された印象的な現代アートが出迎えてくれる。

どこにいても楽しめるダイナミックなパノラマも圧巻。間近に視界を遮る建物がなく、地上を突き抜け空から見下ろしているかのような光景に、現実感さえ失いそうになる。

チェックインは、コンシェルジュデスクでのシッティングスタイル。42階以上の上層階に位置する客室エリアへはここで専用エレベーターに乗り換える必要があり、そこから先には静寂に包まれた、プライベートな空間が待ち受けている。

177組限定の大人の隠れ家

迷路のような道を経てたどりつく客室は、高揚感を鎮めるかのように、落ち着きのある洗練された内装。ベージュとモスグリーンで統一され、黒で輪郭を引き締めた室内は、キャビネットに設備や備品類をまとめていることもあって、実際よりさらに広く感じられる。冷蔵庫や配線など生活感を感じさせるものも、家具の中に組み込まれるなどして徹底的に気配を消している。それでいて家具の扉を開けると、照明が仕込まれた棚に洋酒などのミニチュアボトルが見事に整列していたりする。全体に余分な色や物をそぎ落としている分、こうした小技の効いたディスプレーや自然素材を使ったさりげないアート、純白のエジプト綿のシーツや大理石といった上質な素材の質感が引き立つ。

力強いシルクスクリーンアートが飾られたバスルームは、ガラス張りのシャワーブースとトイレに挟まれるように、バスタブを縦向きに配置。直線的でシャープな構造だが、市松模様の床の温かい色合いや、引き戸の木のぬくもりが生き、ゆったりとリラックスできるスペースになっている。深さのあるバスタブに横たわって洗面台上部に備え付けられたテレビをぼんやり見ていると、外国で流れている日本の衛星放送のように思えてくるから不思議だ。

細部まで使い勝手に配慮された室内は、ずっとここで暮らしてきたと錯覚するくらいに快適。時折外の景色に目をやりながら、コーヒーを片手に読書に耽(ふけ)ったり、音楽を聴いたりしているうちに、心身が解きほぐされ、何日でもこもりたくなる。

ホテルそのものがアート

光と影、喧騒(けんそう)と静寂、モダンとクラシック、西洋と東洋――パーク ハイアット 東京で印象的なのは、異なる概念の対比と共存を図っている点だ。しかも1階のデリカテッセンやエレベーターに至るまで、ホテル内のあらゆる場所に同じ空気感や美意識が息づいている。よく美術館のようだと称されるが、ホテルそのものが完成度の高いアートといったほうがふさわしい。

これほどまでに調和のとれた空間を生み出すことができたのは、インテリアデザイナー、ジョン・モーフォード氏の存在が大きい。ホテルの内装は通常、客室、スパなど、複数のデザイナーが関わることが多いが、パーク ハイアット 東京はモーフォード氏が一貫して手掛けたところに特徴が表れている。

いまだに手で図面を描くという職人気質の熟練デザイナーが、まるでわが子を育てるように並々ならぬ情熱と愛情をこのホテルに注いだことは、想像に難くない。香港在住だが、まだ土地の所有者である東京ガスの巨大なガスタンクがあった時代から頻繁に来日し、気鋭のアーティストに制作を依頼したり、内装材を国内外から取り寄せたりして、イメージを忠実に具現化していったようだ。

モーフォード氏自身は書物の並び順まで決めるほどの完璧主義者らしいが、ゲストに緊張感を与えるような作為や押し付けがましさはみじんも感じさせない。むしろ、細部にまで「くつろぎ」という視点が注がれていること、そして随所にみられるユーモアや遊び心が、クールな空間にそこはかとない温かみとホスピタリティーを加味している。

「ニューヨーク グリル」のあふれかえるような活気と、客室の安らぎ。吹き抜けのオープンエリアの開放感と、ほの暗い廊下を歩いて客室に向かうときの没入感。奥行きの深い空間で、研ぎ澄まされていく感覚――。季節や時刻、その日の天候によっても驚くほど多彩な表情を見せてくれるこのホテルでは、訪れるたびに新しい発見があるだろう。

遊び心を刺激する個性豊かなバーやレストラン

とはいえせっかく遊園地に来たなら、自然体で楽しむのが鉄則。宿泊の際は理屈や先入観抜きに、上質かつぜいたくな時間と空間に思う存分身をゆだねるべきだろう。そしてできればホテル内の様々な施設を利用して、その世界観をトータルで堪能したい。

いつもよりぐっと空に近い47階のプールで浮かんでいると、ここが東京であることを忘れ、海外のリゾートにバカンスに来たように思えてくる。プールを挟んで東西両側にはフィットネスジムがあり、ガラスの窓際にはマシンが外向きにずらりと並んでいる。にわかランナーになり、運が良ければ富士山に向かって、空中を走っているような気分を味わうのも一興。グリーンの大理石をぜいたくに使った45階のスパ施設では、広々としたジャクジーにつかった後、革張りのチェアに寝そべり、雑誌をめくってしばしリラックス。

夕刻が近づいたら身支度を整え、トワイライトに染まりゆく東京の街を眺めながらアペリティフを。こんなに美しい東京を今まで自分は知っていただろうか。

それぞれに個性と洗練を極めたレストランの選択は悩みどころ。メインダイニング「ニューヨーク グリル」は、カリフォルニアを中心に1800本以上というワインの品ぞろえも魅力。旬の食材の持ち味を生かした繊細な日本料理が味わえる「梢(こずえ)」は、備前焼など約4000種類の器を取りそろえ、大皿から取り分けるスタイルが目にも楽しい。

ターンダウンが施された客室に戻ると、枕元の照明に純白のシーツが映え、昼間とはまた違った印象。肌触りの良いシーツ、何度でも寝返りが打てそうな広いベッドに包まれて、いつもとは違う極上の眠りの世界へ。

唯一無二の別世界

翌日の朝食はジランドールにてビュッフェを選択。旬の果物のフレッシュジュース、焼きたてのパンとやわらかなオムレツ、ディナーのオードブルのような生ハムやチーズなど、一品一品が吟味されていて、ホテルのエッセンスを体現するかのような優雅な朝食を堪能できる。

1人のデザイナーの稀(まれ)なコミットと、それを可能にしたホテルの規模感、西新宿エリアというロケーションや建築構造の妙……。今回の滞在で感じたのは、パーク ハイアット 東京がいくつかの偶然と、いくつものこだわりが重なって生まれた唯一無二の存在であり、1994年の開業当初の先進性はそのままに、これからもその異彩を放ち続けるだろうということだ。

24時間足らずの滞在を終えて地上に舞い戻ると、人々がせわしなく行き交うありふれた光景に、長い海外旅行から戻ったときのような違和感を覚えた。このホテルをチェックアウトしたゲストの多くが感じたであろう、"パーク ハイアット マジック"からさめる瞬間――。飛行機に乗らなくても、オアシスは身近なところにあった。 (定)

写真提供:パーク ハイアット 東京

[日経ショッピング&トラベル 2012年5月掲載「TOKYOホテル探訪」を基に再構成]

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