マネー研究所

ヴェリーが答えます

GDP新基準の狙いは? 改定で実体経済に近づく

2016/12/27

日本の国内総生産(GDP)が新しい基準に変わったと聞きました。なぜ変わったのか、その狙いと影響を教えてください。(東京都・40代女性)
マネーを呼ぶ「マネ~き(招き)猫」のヴェリーが、読者の疑問を解決します。

今年は消費者物価指数(CPI)など多くの統計で基準が見直されました。特に注目されたのが国内総生産(GDP)です。内閣府が8日に公表した2015年度の名目GDP確報値は約532兆円と、旧基準と比べると約31兆円も増えました。

今回、日本のGDP統計は国連が定めた最新の国際基準に対応するように改定されました。これまで対象ではなかった研究開発費や特許使用料が加わって、実体経済により近づいたといえます。「かさ上げ分」のうち、研究開発費だけで約19兆円も増えました。

安倍晋三政権では、GDP600兆円の大台達成を目標に掲げています。ニッセイ基礎研究所の試算では、2023年度に名目GDPが600兆円に達する見込みです。研究開発費が新たに加わったことで、より高い経済成長が期待されています。

どのようにして実体経済を正確に把握するか──。経済統計の精度を高めることは永遠の課題です。GDPを算出するには、家計調査など複数の「基礎統計」が使われていますが、エコノミストの間ではこのもととなる調査の精度を問題視する声も多いのです。英国やイタリアでは売春や麻薬取引などの「地下経済」もGDPに盛り込んでおり、国や地域が違えば実体経済も異なります。

GDPは実情を把握するためのひとつのものさしです。基準改定によって日本経済の見た目は大きくなりましたが、日本の潜在成長率が低いという状況に変わりはありません。少子高齢化が進み、デフレからも脱却できていないなか、今後も新たな成長戦略が求められます。

[日経ヴェリタス2016年12月18日付]

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