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post 2020~次世代の挑戦者たち

公認会計士・心理カウンセラー 藤田耕司

公認会計士・心理カウンセラー 藤田耕司
2016/12/21

post 2020~次世代の挑戦者たち

藤田 その後、どのように事業を育てていったのでしょうか。

東南アジア各国の旅行会社に営業しながら事業基盤を固めていった

須田 11年3月11日に東日本大震災が起きて、訪日観光関連産業のマーケットは停止状態になりました。その間に東南アジア各国を1人で回って、各国の旅行産業や人々の好みなどについて調べながら、旅行会社に営業をしました。それから、この事業のためにどんどん人を採用していきました。

藤田 その状況で人を採用するのはリスクを伴いますね。勝機を感じていたのですか。

須田 訪日観光ツアーという商品はホテルの部屋の確保が必須です。部屋が確保できないと商品を作れないのです。ただ、当時は震災の影響で国内のホテルは空室ばかり。部屋の確保は楽でした。ここに大きな勝機を見いだしました。この事業に今から新規参入しようとしてもホテルの部屋を確保できないので難しいと思います。

藤田 ホテルの部屋を確保しても、観光客を日本に連れて来ることができなければビジネスになりません。どのように海外の旅行会社に日本の魅力を伝えていったのですか。

須田 アジアの人々はこちらから日本の魅力を伝えなくても、すでに日本に魅力を感じてくれていました。アジア各国を回ってつくづく感じたのが、日本が好きな人が本当に多いということです。そういった状況だったので、あとはコツコツ努力を続けるだけでした。そして、少しずつ仕事をもらえるようになりました。ただ、それは他の旅行会社が嫌がるような仕事でした。

須田社長に創業期の状況を聞く藤田氏

藤田 どんな仕事だったのですか。

須田 企業の工場見学や社員旅行などです。パッケージのツアーでやっていないオーダーメード型の手間のかかる仕事でした。でも、そういった仕事を丁寧に担当させてもらうことで継続的に仕事がもらえました。震災の時はホテルも苦しい状況だったので、そんな時に送客し続けることでコツコツと信頼関係を築くことができました。ホテルとの信頼関係が厚くなればなるほど、提案できる商品も増え、徐々にお客さんも増えていきました。今はホテルとの強い提携関係があるので優先的に部屋を押さえることができます。このホテルとの関係づくりが事業を軌道に乗せるきっかけになりました。

藤田 今の成長を支える屋台骨ができあがる時期があったのですね。

須田 この時期は事業が軌道に乗るまで本当につらかった。でも、訪日観光関連事業こそが人生をかけるべき仕事だという確信は変わりませんでした。そういう事業を見つけることができたのは、自分にとって大きな宝でした。

藤田 次回は日本の観光地がどうすれば訪日外国人を呼び込めるのかを聞き出します。

すだ・けんたろう 2007年にフリープラス設立。10年中国・上海にフリープラス上海を設立し、訪日旅行事業に参入。アジアを中心に事業を展開し、日本に観光客を呼び込みながら、訪日観光関連事業を拡大している。16年、日経ビジネスの「次代を創る100人」(15年12月28日・16年1月4日合併号)に選ばれた。同年、日本ニュービジネス協議会連合会が選ぶニッポン新事業創出大賞グローバル部門の優秀賞を受賞。
ふじた・こうじ 公認会計士、税理士、心理カウンセラー。早大商卒。監査法人トーマツを経て日本経営心理士協会、FSG税理士事務所、FSGマネジメントを設立。経営コンサルティングと心理学を融合した経営心理学の普及活動を行い、企業の経営顧問、経営者のメンターを務める。主な著書に「リーダーのための経営心理学」(日本経済新聞出版社)がある。

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