寄付する喜び 心温かく迎えるクリスマス年の瀬をマネーハック(3)

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マネーハック、今月のテーマは「年の瀬」です。心が少しウキウキするこの年の瀬に、ひとつやってほしいことがあります。それは「寄付」です。

といっても小銭を募金箱に入れる寄付ではありません。1000円ないし1万円単位での寄付にチャレンジしてみてほしいのです。

クリスマスを気持ちよく迎えたいなら寄付してみる

年の瀬、特にクリスマスが近づいてくると街はにぎやかさと華やかさに満ちあふれてきます。そこに聖なる雰囲気も少し加わって、家族や友人、恋人と一緒に今年1年の幸せを確認する時間を過ごします。

しかし、こうした幸せを感じてクリスマスを迎えられる人ばかりではありません。世の中にはつらい現状を乗り越えながら年末年始を過ごす人もいます。

国内であれば今年、熊本・大分エリアで起きた大地震の被災者に何か手助けをしてみてはいかがでしょう。海外に目を向ければ、満足に食事を得られない人や教育の機会を受けられない人がたくさんいます。

何かそうした人に、あなたの幸せをお裾分けしてあげる方法はないものでしょうか。「寄付」はひとつの手段です。

経済的な余裕があればお札の寄付を

寄付といえば、駅前でやっている募金活動や、コンビニなどのレジ脇にある募金箱しか知らない、としたらこれはもったいない話です。

私たちは銀行振り込みのような形を通じて、もっと大きな金額を特定の取り組みをしている団体に向けて送って支援することができます。

毎日2円、小銭をコンビニで募金箱にいれても年間にして1000円の寄付にもなりません。もし、少しの経済的余裕があって、誰かを助けてあげたいと思えるのなら、もう少し大きな金額で寄付をしてみてはいかがでしょうか。

募金活動している人が声をあげる中、目の前を居心地悪く通り過ぎたことのある人はたくさんいると思います。すでに高額の募金をした人は「今年はしっかり募金していますので、ここは素通りさせてもらいます。ごめんね」と心の中でつぶやきながら、でも堂々と通り過ぎることができるでしょう。

しかしながら、募金には社会貢献のための活動を装いつつ、きちんと許可を取らず、また不適切会計をしている人や団体もあるそうです。一方、信頼や実績のある団体に対し、直接銀行口座などに振り込むことができればそういう心配はありません(きちんとした団体は活動報告もしっかりしています)。

12月は「小銭の寄付」を「お札の寄付」にステップアップするいいチャンスです。

NPOなどは寄付金控除あり

信頼や実績のあるNPOなどの団体を選んで寄付をすることは、税制上のメリットもあります。寄付金控除です。これは活動が認められている団体に寄付を行うと、その一部が所得税や住民税の軽減という形で還付されるというものです。

寄付にあたっては所得控除(所得税などの計算の基礎額を少なくする)と税額控除(税金額そのものを少なくする)の有利なほうを選べる仕組みになっています。

計算方法は以下の通りです(所得税)。

所得控除(所得金額の40%が上限)の場合は、

「その年中に支出した寄付金額」-「2000円」=控除額

税額控除(認定NPO法人などの寄付金特別控除のケース)の場合は、

「その年中に支出した寄付金額-2000円」×40%=控除額

税額控除なら、5万2000円寄付すると、2万円は還付されるということになります。これはいってしまえば、国の税金の一部(この例では2万円分)を特定の活動団体に渡してあげるということです。

地方の市区町村などに寄付すると、お礼の品がもらえることが人気の「ふるさと納税」も寄付金控除の仕組みを用いています。ただ、こちらは純然たる寄付というわけではありません。なぜなら税金の移転(実際に住んでいるエリア以外に住民税を納める)という要素があり、またそこからもらえるお礼の品で寄付先を決めるという経済的理由が混じっているからです。

もし、純然たる寄付をしたい(たとえば熊本県や被災エリアの市区町村に対してお礼を求めず寄付をしたい)場合は、ふるさと納税の仕組みを使いつつ、「返礼品は不要(辞退)」と備考欄に記入のうえ振り込みをすることで、純粋な寄付をすることもできます。お肉やお魚、お米がもらえるのもうれしいのですが、お返しなしの寄付も少し考えてみてください。

まずは年末調整の還付金を寄付

寄付はいつ振り込んでもいいのですが、マネーハック的には「クリスマス」をお勧めします。というのもせっかく高額の寄付をするのでしたら、寄付をした相手はもちろん、自分自身の心も一番豊かな気分になるタイミングを選ぶべきだと思うからです。

私はクリスマス前後に銀行に行って、個人オフィスの売り上げの一定率を寄付することを年末最後の仕事としていますが、とても気持ちよくクリスマスと新年を迎えています。また来年も幸せに過ごせるようにと気持ちも改まります。売り上げに比例するので寄付金額は、仕事がはかどった年は多く、そうでない年は控えめになりますので、仕事のやりがいにもつながっています。

会社員の場合は、年末調整で戻ってきた還付金を寄付するというルールにしてみると手軽ですし、負担感も少なくて済むと思います。

1000円単位、あるいは1万円単位の寄付を一度してみると、これはなかなかの快楽です(これは不謹慎な言い方ではありません。私の幸せが、誰かの幸福とつながっているのが寄付の大事なポイントです)。そしてそれは小銭の寄付以上に、寄付をした団体の活動を支えることになるはずです。

そうそう。寄付をした人がその一部を還付してもらうためには確定申告が必要です。2月になれば、国税庁のサイトに特設ページがオープンし、基本項目を記入するだけで書類作成ができます。手続きは郵送でOKですから、ぜひ還付金をしっかり受け取ってください。

マネーハックとは ハックは「術」の意味で、「マネー」と「ライフハック」を合わせた造語。ライフハックはITスキルを使って仕事を効率よくこなすちょっとしたコツを指し、2004年に米国のテクニカルライターが考案した言葉とされる。マネーハックはライフハックの手法を、マネーの世界に応用して人生を豊かにしようというノウハウや知恵のこと。
山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ) 1972年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。AFP、消費生活アドバイザー。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。所属は日本年金学会、東京スリバチ学会。近著に『お金が「貯まる人」と「なくなる人」の習慣』(明日香出版社)『誰でもできる 確定拠出年金投資術』(ポプラ新書)などがある。趣味はマンガ読みとまちあるき(看板建築マニアでもある)。Twitterアカウントは@yam_syun。ホームページはhttp://financialwisdom.jp

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