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「江戸怪談、バラエティー豊かに」 宮部みゆきさん 本紙連載小説が単行本化

2016/12/17

 宮部みゆきさんが2015年6月から今年6月まで、1年間にわたり本紙朝刊に連載した小説「迷いの旅籠(はたご)」が、このほど「三鬼 三島屋変調百物語四之続」のタイトルで日本経済新聞出版社から刊行された。人気シリーズもこれで4巻目。執筆時を振り返り、宮部さんが言葉を寄せた。

■「三島屋変調百物語」は江戸の袋物屋の娘、おちかが様々な人と出会い、彼らが語る怪異な物語に耳を傾けながら、その心に潜む本当の苦しみや悩みを照らし、闇から解き放っていく物語。怪談という形式をとりつつも、心温まるストーリーが人気を集めてきた。本書にはシリーズ中、珍しい商いの話に挑んだ「食客ひだる神」も収めている。

 

 三島屋シリーズでは、バラエティー豊かな江戸怪談を書くことを目標にしています。各話のアイデアは、思いついたときに小さなメモを作っておき、うまくまとまったものから作品化しています。「食客ひだる神」は、せっかく日本経済新聞に連載させてもらうのだから、一話くらいは経済や商売に関わる話がほしいと思って準備しておりました。(連載中、画家の)北村さゆりさんが描いてくださる挿絵のお弁当がとても美味しそうなので、気分も上げ上げで書くことができました。

 当初から、通しのタイトルは「三鬼」と決めていました。ただ、朝刊の連載小説ですから、毎朝読者の皆様の目に「鬼」という漢字が飛び込んでくるのはいかがなものかと気が引けまして、第一話のタイトル(迷いの旅籠)を連載タイトルにいたしました。

 とにかく挿絵が素晴らしく、しかも贅沢(ぜいたく)なオールカラーでしたから、毎日楽しくてたまりませんでした。北村さゆりさんの挿絵は、ストーリーに合わせて軽快になったり重厚になったり変幻自在! 人物の表情の変化や立ち居振る舞いが、活(い)き活きと目に見えるようでした。(挿絵を通じて)ヒロインおちかにほんのり色香が加わったことも、生みの母として感慨深いものがあります。単行本の表紙を描きおろしていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。

 怪談本は夏が旬ですが、このシリーズに関しては、刊行時期にこだわってはおりません。作中でも季節が移り変わっていきます。連作なのに、本書はけっこう分厚いので、年末年始にゆっくり読んでいただけるよう、師走の刊行になったことを喜んでおります。

 

■シリーズ当初17歳だったおちかも19歳になり、大人の女性へと成長している。

 

 そろそろ、おちかの身の振り方を決めてあげたいと思っています。本書や(現在執筆中の)第五巻が、ひとつの節目になりそうです。(シリーズの今後は)百話まで書くと百物語が完成して怪異を招いてしまいますので、九十九話完結を目指して書き続けます。

 十三カ月間の連載中、ご愛読ありがとうございました。豪奢(ごうしゃ)な装丁の単行本が完成しました。皆様に、装いも新たにした三島屋の変わり物語を、今度は一冊通しでどっぷりとお楽しみいただけますよう願っております。

 

新刊「三鬼 三島屋変調百物語四之続」(日本経済新聞出版社)と同シリーズの既刊「おそろし」「あんじゅう」「泣き童子(わらし)」(いずれも角川文庫)
 本書は江戸近郊の村に現れた絵師が亡者を呼び寄せる「迷いの旅籠」、人に取りつき腹を減らせて食べ物を引き寄せる「食客ひだる神」、山陰地方の小藩で鬼が人を襲う「三鬼」、心の時間が14歳で止まっている老婦人が語る「おくらさま」の全4話を収録する。
 「三鬼 三島屋変調百物語四之続」の日本経済新聞出版社特設ホームページはこちら

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