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ビジネス街の書店をめぐりながらその時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している八重洲ブックセンター本店だ。11月に訪れたときは『LIFE SHIFT』などの強力本が売れ続ける中、年の瀬が近づくこの季節ならではの経済予測本が浮かび上がってきたことを紹介したが、今回も同じ傾向が続く。前回の技術動向に着目した予測本『世界を変える100の技術』と入れ替わって浮上してきたのは、11月下旬刊行の王道の経済予測本だ。

銀行系シンクタンクの老舗予測本

その本は三菱UFJリサーチ&コンサルティング編『2017年 日本はこうなる』(東洋経済新報社)。銀行系シンクタンクによる経済予測本で、毎年秋の発行は三和総合研究所時代の1990年代にさかのぼる。三和総研はその後の金融再編で、UFJ総合研究所を経て三菱UFJコンサルティング&リサーチとなり、2008年版からは発行元が講談社から東洋経済新報社へと変わったが、営々と毎年秋の刊行を続けている。

マクロ的な予測の第1部と注目のキーワードによる展望を繰り広げる第2部の2部構成になっており、このキーワード選びに本書ならではの視点が出る。今回はキーワードを86個選んだ。そのキーワードを海外経済・国際情勢に始まって産業、社会・文化、政策など10のテーマに分け、一つのキーワードを見開き2ページで解説していく。例えば「海外ビジネス」の章では「越境EC(電子商取引)通販」や「防災インフラ輸出」といったビジネスそのものに注目するキーワードが選ばれる一方、「フィリピン市場」「イラン市場」「ミャンマー市場」といったキーワードから注目すべき地域を提示するくだりもある。

働き方の行方にも言及

「働く場」といった章立てもあって、「多様な働き方」というキーワードではダブルワークの広がりなどについても言及、「進化系WLB(ワークライフバランス)としてダブルワークがより注目されるであろう」と予測している。10個のキーワードが並ぶ社会・文化では、来年が「日本アニメ100周年」にあたるため、これを取り上げたり、「伝統産業の再興」をキーワードにして和紙のブランド化の動きに触れるたりと、ちょっとクセのあるキーワードも目立つ。そこが読み物としての味なのだろう。「予測本は長谷川慶太郎氏や大前研一氏の本を含めて当店ではいつも動きがいい」と、ビジネス書を担当する副店長の木内恒人さんは話す。

『生産性』八重洲でも上位に

それでは、先週のベスト5を見ておこう。

(1)最新EC業界大図鑑ECのミカタ編著(文芸社)
(2)1ランク上のステージに行く「つながり力」北原照久、井上裕之著(桜雲社)
(3)2017年 日本はこうなる三菱UFJリサーチ&コンサルティング編(東洋経済新報社)
(4)生産性伊賀泰代著(ダイヤモンド社)
(5)「言葉にできる」は武器になる。梅田悟司著(日本経済新聞出版社)

(八重洲ブックセンター本店、2016年12月4日~12月10日)

1位は著者・版元関係のまとめ買いによるランクイン。2位は著者の関係するイベントが近くであり、そこで出張販売したために大きく売れた。3位が冒頭に紹介した経済予測本で、これが店頭実売では1位だ。4位に前回リブロ汐留シオサイト店で紹介した『生産性』が入った。「前著の『採用基準』や、ちきりんの著者名で同じ時期に発売された『自分の時間を取り戻そう』も併せて働き方の棚前の動きがいい」と木内さん。5位は秋口以来の強力本の一つだ。ついでに6位以下も紹介しておくと、6位が『住友銀行秘史』、7位が『やり抜く力』、9位が『LIFE SHIFT』。秋の強力本がしっかりと売れ続けている。

(水柿武志)

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