海辺の別荘、古民家…暮らす旅で過ごすとびきりの日常

広い縁側がある葉山の「Nowhere but Hayama」。ウエディング利用の際にも、自分の家のようにここに座ってくつろぐ人が多いという  (c) Chiaki Yasukawa
広い縁側がある葉山の「Nowhere but Hayama」。ウエディング利用の際にも、自分の家のようにここに座ってくつろぐ人が多いという  (c) Chiaki Yasukawa

「暮らすような旅」を楽しむ人が増えている。ホテルや旅館に泊まるのではなく別荘や古民家を借りて、観光を主な目的とするのではなく、その場所の住人になったつもりでゆったりとした時間を過ごす――。そこには普通の休暇とは違う、どんな暮らしがあるのだろうか。

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調べてみると、STAYCATION(ステイケーション)という社名の会社が東京・渋谷にあった。「STAYCATION」は、「留まる」「滞在する」という意味の「STAY」と「休暇」の意味をもつ「VACATION」を組み合わせた造語だという。自社物件の貸し出しのほか、個人が持つ別荘の短期賃貸を手がけている会社で、ホームページには、葉山や鎌倉、江の島など首都圏に近い場所を中心に北海道、石垣島など21の物件が並んでいる(2016年12月現在)。「暮らすような旅」が見つかるのではないか。興味をひかれて、早速出かけてみた。

オーナーのこだわりが凝縮した別荘が「我が家」に

リビングがガラスの壁に囲まれた、窓の外に青い海と空が広がる海辺の別荘、トルコの奇観「カッパドキア」の洞窟の家よろしく白い壁に開いた“穴”がベッドになった別荘……。STAYCATIONの別荘はどの物件も、すこぶる個性的だ。「なるべくその物件ならではの印象的な暮らしが体験できる施設を選んでご紹介しています」と同社広報の清水絢子(あやこ)さんは言う。

別荘というのは、それを建てる人にとっては大抵、2軒目の家で、1軒目には実現できなかった思いを詰め込む。だから、個性が際立つ建物が多いのだという。「その人が何を大切にしているのかが、前面に出るんです。例えば、箱根にある別荘はオーナーが音響に非常にこだわられる方で、リビングはスピーカーの性能を最大限に引き出す天井高をはじめ、ソファの位置まで最高の音を楽しめるように考えられています。北鎌倉の古民家の別荘は、オーナーの方が古い建具などがお好きで細部までこだわり抜いた作り込みをされていて、『規格が合わなくてもこの建具を使いたい』と、江戸間の規格で建てられた別荘に、少しはみ出してしまう京間規格の扉を使用されています」。なるほど、別荘に滞在するだけで、オーナーの「日常」がほんの少しのぞけるわけだ。

音響にこだわったという温泉付きの別荘「箱根 森の別邸」 (c)Yumi Takei
静岡県下田市の「伊豆下田Beach House 1」。広いテラスがあり若者に人気の別荘 (c)スタジオアイランド

最初にイメージしたのは、すてきな別荘で本を読んだり、周りを散歩したり、地元のお店で買い物をしたり。格別普段と変わらないことをしながらゆったりとした時間を過ごす旅だった。一生、こんな家には住めないだろうという、味わいがあったり、おしゃれだったりする別荘に滞在すれば、それだけで楽しいひとときが過ごせそう――。ところがだ。利用者に話を聞いてみると、施設を利用する、もっとずっと豊かな理由がみえてきた。

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