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マンション、大規模修繕工事のリスクを補償 マンション組合の保険(下)

2016/12/20

PIXTA

 理事を務めている自宅マンションで、大規模修繕工事を予定しています。欠陥工事による不具合などのトラブルが生じた場合に対処する方法を調べていたところ、大規模修繕工事を対象とする保険があると聞きました。どのような補償が受けられるのでしょうか。

 マンションなどの大規模修繕工事には多額の費用がかかる。工事の欠陥(瑕疵=かし)による雨漏りなどの不具合が見つかった場合は、施工業者の負担で補修工事するのが一般的だ。しかし、業者が追加の費用負担に耐えられずに経営破綻すると補修工事ができなくなってしまう。

 このようなリスクに備えるのが「大規模修繕工事瑕疵保険」だ。2009年12月の開始以来、申込件数は着実に増えている。国土交通省によると15年度の申込件数は955棟で、5年前の約5倍になった。

 一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会(東京・港)の小野義和事務局次長は「大規模修繕工事の業者を選ぶ際、業者に対して保険への加入を入札の条件にするマンション組合が増えている」と指摘する。

 国土交通省が指定した5社の住宅瑕疵担保責任保険法人が引き受ける。保険料は請負金額3000万円で13万~28万円、5500万円で25万~40万円程度という例があり、工事の規模や保険法人によって異なる。

 工事業者が保険に加入するには保険法人の審査を受けて登録する必要がある。住宅瑕疵担保責任保険協会のサイトでは工事業者の登録の有無が確認できるので、依頼する工事業者を探す際の参考になる。

 保険は大規模修繕の工事ごとに加入する。保険が適用されている工事について、保険法人は登録する建築士を派遣し、確実に施工されているかどうか検査する。瑕疵があった場合は補修工事にかかる費用を保険金として支払う。万が一、工事業者が経営破綻した場合は管理組合が受け取り、別の業者に依頼する際の費用に充てられる。

 保険の対象は主に柱やはりなどの重要な構造部分と、雨水の浸入を防ぐ部分だ。給排水管や電気設備、手すりなども対象にできる保険法人もある。保険期間は5年が一般的だが、手すりは2年間など工事箇所や内容によって異なる。

 注意したいのは保険金の支払い対象だ。対象となるのは補修工事の費用や工事方法を決めるための調査費用、工事期間中にその住宅に住めない場合の転居費用や仮住まいの費用など。

 一方、雨漏りが原因で家具や電化製品などがだめになっても、家具などへの補償はない。もちろん、大規模修繕工事で施工しなかった部分で不具合が発生しても対象外だ。

 受け取れる保険金の額にも注意が必要だ。10万円の免責金額が設定されているので、補修工事にかかる費用が10万円以下だと工事業者は保険金を受け取れない。工事業者が倒産して管理組合が保険金を受け取る場合も、補修工事代金から免責金額10万円を引いた額になるということを覚えておこう。

[日本経済新聞朝刊2016年12月14日付]

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