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スマホ決済、一気に身近に ポイント還元や割り勘も

2016/12/17

 米アップルの「アップルペイ」の日本導入で、一気に身近になったスマートフォン(スマホ)での資金決済。現金を持たずに買い物できるのはもちろん、一部では友人間の割り勘や送金といった便利な機能も併せ持つ。現在はクレジットカード会社が利用者拡大に向け、料金やポイントの還元サービスも実施している。それぞれの特徴を確認して、自分にどんなメリットがあるのか考えてみたい。

 個人にとって「スマホ決済」といえば、自分のスマホをクレジットカードや電子マネーとして使うケースが主流だ。代表例は今年10月に登場したアップルペイだ。ほかにも楽天の「楽天ペイ」や通話アプリを運営するLINEの「LINEペイ」などがある。

■「スイカ」に対応

 各サービス間で利用の仕方に大きな差はないが、いずれも事前にクレジットカードなどの情報をスマホに設定する必要がある。アップルペイの場合は専用のアプリを立ち上げ、カードをスマホのカメラでスキャンするだけで利用するカードに設定できる。

 アップルペイの最大の特徴は東日本旅客鉄道(JR東日本)の電子マネー「Suica(スイカ)」に対応していること。ソニーが開発した非接触ICカード技術「FeliCa(フェリカ)」を搭載しているiPhone7であればスマホを使って駅の改札を出入りできる。

 このほかコンビニエンスストアやスーパーなどの店頭では「iD(アイディ)」や「QUICPay(クイックペイ)」などに対応している読み取り端末にiPhoneの指紋センサーに触れながら近づければ決済できる。クレジットカードで支払ったときのようにサインや暗証番号を入力する必要はない。大手クレジットカード会社が発行するカードはほぼ設定が可能で、買い物がこれまでよりも便利になる。

 カード会社は利用者の獲得や囲い込みを図るために、支払料金の一部還元やポイント付与のキャンペーンを実施している。

 JCBは来年1月15日までに同社のカードを設定したアップルペイで支払うと最大5000円をキャッシュバックする。三井住友カードも先着で5000円を利用者に還元する。クレディセゾンも年内に利用すれば777円を還元する。「アップルペイは導入以降、決済件数がかなり増えている」(カード会社関係者)という。

 アップルペイと同じように支払いができるのがNTTドコモが導入している「おサイフケータイ」だ。カードを設定して同社の対応した携帯電話をかざすだけで決済できる。アップルペイはiPhoneに対応しているが、アンドロイドや従来型携帯電話(ガラケー)を使っている場合はおサイフケータイでもほぼ同じ利便性を受けられる。

 スマホ決済では読み取り端末にかざすのではなく、スマホでQRコードを読み取るタイプのものも多い。

 10月からサービスを開始した楽天ペイは店舗側がタブレット端末などを使って請求金額を設定するとQRコードが画面上に映る。利用者は楽天のアプリを使ってQRコードを読み取ると請求金額がスマホ画面に表示され、決済ができる。楽天の「楽天スーパーポイント」を選んでポイントで支払うこともできる。

 決済までの手順を省ける「セルフペイ」機能を使えばQRコードを読み取らずに、利用者が金額を設定して支払うこともできる。

 楽天ペイの最大のメリットはポイント還元だ。楽天カードを決済するカードに設定しておけば200円で3ポイントのポイント還元になる。さらに来年1月6日までは10%のポイント還元(上限5000ポイント)を上乗せする。還元率は11.5%になり、たとえば10人の忘年会で楽天ペイを使えば1人分を得できる計算だ。楽天は中小小売店を中心に利用できる店舗を広げる考えだ。

■割り勘や送金可能

 同様にこれからの忘年会シーズンに役立つのがLINEペイ。事前にコンビニや設定した銀行口座から入金すれば店頭でQRコードを読み取って支払いができる。最も大きな利点は割り勘や送金が可能な点だ。

 通話アプリの「LINE」で登録している友人に支払う金額とメッセージを入力して送信すれば、相手もLINEペイを登録していれば送金できる。割り勘の場合も合計金額と支払人数を入力すれば均等に割られた金額の支払い依頼を送信できる。

 年明けにも導入するイオンの「イオンウォレット」はグループ各店で使え、クーポンもスマホに送信される予定だ。銀行では横浜銀行が直接口座から代金を引き落とす「はまPay」を来年3月から始める。

 海外勢では13日から米グーグルが楽天と組み「アンドロイドペイ」を開始。中国のネット通販大手のアリババ集団の「アリペイ」やSNS大手テンセントの「ウィーチャットペイ」も国内利用店舗を広げている。

 安全性が心配という人も少なくないだろう。たとえばスマホを紛失してもスマホにはセキュリティーのコードがあるため、これを破られなければ不正利用はされない。小売店の店頭でカード自体を渡すことがないので、悪質な店員がカード情報を抜き取る「スキミング」の被害を受ける心配もない。アップルペイでは遠隔で利用を停止することもできる。利便性だけでなく、スマホ決済の安全性も導入のポイントになる。(逸見純也)

[日本経済新聞朝刊2016年12月14日付]

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