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日本のぜいたく 絶景が招く「雪見の温泉宿」5選 旅エディター・ライター 坪田三千代

2016/12/15

大沢山温泉「里山十帖」の露天風呂から雪を抱いた山々を望む(里山十帖提供)

 寒さが肌身にこたえる季節、恋しくなるのが温泉。真っ白な雪を眺めながら、体にじんわりと染み入る温泉につかる。まさに、大自然と一体となるような雪見の温泉は、日本の冬ならではの旅体験だ。

 泉質がよく、景色がよく、そして、土地の魅力としっかり融合している雪見の温泉宿を、5つのテーストから厳選してみた。

風情ある古民家づくり 雪見の風呂も多彩に
「湯元長座」 奥飛騨温泉郷 福地温泉/岐阜 http://www.cyouza.com

 黒光りする立派な梁(はり)に、白い漆喰(しっくい)壁。ろうそくの火を思わせる明かりや、炭が赤々と燃える囲炉裏。キュッと冷えた外気の中から館内へと入ると、心の底からポッと温もる気がする。

 「湯元長座」があるのは、北アルプスなど標高3000メートル級の山々に囲まれた奥飛騨温泉郷・福地温泉。のんびりとした静かな山の温泉情緒がある土地柄だ。

 館内は、古民家づくりで、木のぬくもりを感じる落ち着いた風情。部屋によっては小ぶりな囲炉裏も備えられていて、火箸や灰ならしを手に、穏やかに燃える炭火を眺めながら、スローに流れる時間に身をゆだねるのもいい。

 約2万平方メートル(6000坪)の敷地内に、自家源泉が4本。湯量が豊富にあり、常にフレッシュで、湯力のある温泉が堪能できる。館内にある大露天風呂、内湯、3つの貸切風呂、かわらの湯、どのお湯からも雪景色が眺められるのが魅力。

 野趣あふれる丸太造りの内風呂から眺める雪景色は、一幅の絵画のよう。貸切風呂にも露天があるので、ゆったりプライベートに雪見温泉が楽しめる。川のせせらぎを聞きながら湯あみができるかわらの湯は、秘湯の中にある秘湯といった趣。男性専用となる大露天風呂は、山々を望む壮大な見晴らしを誇る。

 家族連れでもカップルでも、一人旅でも、それぞれの雪見温泉を楽しめるのが「湯元長座」。お湯を堪能したら、囲炉裏端で、地元の山の料理や飛騨牛に舌つづみを打つのも、楽しみの一つだ。

屏風絵のような光景が広がる内風呂(湯元長座提供)
乳白色のやわらかなお湯を、プライベートに堪能
「小梨の湯 笹屋」 白骨温泉/長野 http://konashinoyu.com

 個人的な好みでいうと、雪景色に最も似合う湯は、乳白色の硫黄泉だと思う。白濁した硫黄泉は、往々にして強酸性で、肌にピリピリとした刺激を持つことが多い。でも、ここ白骨温泉の湯は、肌にやさしい弱酸性。まるでミルクを注いだかのようなやわらかな肌あたりで、炭酸成分も多いので、体がポカポカと温まる。冬にはうってつけの泉質だ。

 温泉成分が湯船に付着して、骨のように見えたことから、その名も白骨温泉。いくつもの温泉宿があるが、しっとりと静かに、ハイダウェイ(隠れ家)気分の滞在をするなら、迷わず「小梨の湯 笹屋」へ。温泉街から少し離れたところにある、白樺(しらかば)林に囲まれた一軒宿。10室のみの客室は、凛(りん)としたたたずまいが好もしい。

 ここでじっくりと堪能したいのは、滞在中、空いていれば何度でも利用できる貸切露天風呂。周囲の雪景色には、白樺の木がアクセントを与えているのが、なんともフォトジェニック。スコンと高く抜けた冬の青空に、真っ白に輝く積もりたての雪。そこから、まるで雪の白が溶け込んだような乳白色のお湯に包まれる幸福感といったら! 天気が良ければ、雪化粧した乗鞍岳を望むこともできる。

 夜は名物料理の「岩魚の笹まき」をはじめ、地産地消にこだわった納得の料理が登場。朝は、温泉水で炊いた「温泉がゆ」で胃腸もいたわってあげたい。

乳白色の硫黄泉が雪景色に溶け合う露天風呂(小梨の湯 笹屋 提供)

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