ダース・ベイダーも登場 SW新作『ローグ・ワン』
『エピソード4/新たなる希望』直前を描く 初のアナザー・ストーリー
興収115億円を記録した『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』から1年。2016年12月16日に公開される『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』は、『スター・ウォーズ(SW)』シリーズ初のアナザー・ストーリーだ。
『SW』の本編シリーズは、三世代にわたるスカイウォーカー家の物語を描いてきた。『エピソード1~3』の主人公は後のダース・ベイダーとなるアナキン・スカイウォーカー、『4~6』はルーク・スカイウォーカー。そして『フォースの覚醒』から始動した三部作(7~9)は、まだ誰の子どもかは不明だがレイとフィン、そしてハン・ソロとレイア(ルークの妹)の子どもであるカイロ・レンが中心人物だ。
一方、『ローグ・ワン』は、アナザー・ストーリーであるため、スカイウォーカー家は主役ではない。だが、作品の内容は本編シリーズに密接したものになっている。
77年に公開された『エピソード4/新たなる希望』。その冒頭に流れるオープニング・クロールの一節に、「反乱軍のスパイは帝国の究極兵器に関する秘密の設計図を盗み出すことに成功した。それは『デス・スター』と呼ばれ……」とある。
『ローグ・ワン』で描かれるのは、デス・スターの設計図を盗み出すことに成功した反乱軍のスパイたちの活躍。「ローグ・ワン」は、反乱軍のスパイのチーム名を指す。
新シリーズのプロデューサーを務めるキャスリーン・ケネディは、「『スター・ウォーズの世界には、別の形で語られるべき物語がある』というジョージ・ルーカスのアイデアから『ローグ・ワン』が生まれました。家族の物語という『スター・ウォーズ』の価値観を継承しつつ、これまでのファンはもちろん、新しい世代の観客をも魅了する作品になるでしょう」と語る。
新作の主人公は、女戦士ジン・アーソ。性格は無謀で攻撃的、生きるために窃盗や暴行、書類偽造などあらゆる犯罪を行うアウトロー・ガールだ。実は、ジンの父親はデス・スターの開発に携わった天才科学者。なぜ父親がデス・スターを開発したのか。彼女は真相を探るため、「ローグ・ワン」に参加した。『SW』シリーズらしく、ジンと父親の家族の物語が核となっている。
反乱軍の情報将校キャシアン、盲目の武術マスターのチアルート、チアルートの相棒で友情に厚いベイズ、元帝国軍のパイロットのボーディー。ジン以外の登場人物も個性的な猛者たちがそろう。『ローグ・ワン』は、彼ら5人が強い意志を持って過酷なミッションに挑むストーリーとなりそうだ。
本作には、『エピソード4~6』にお目見えした兵器やキャラクターが登場する。『エピソード4』に登場したデス・スター、『エピソード5/帝国の逆襲』に登場した4足で動く巨大兵器AT-ATに似たAT-ACT。そしてダース・ベイダーも姿を見せる。
若手監督がSWに新風
『ローグ・ワン』の監督に抜てきされたのは、『GODZILLA ゴジラ』(14年)で賞賛を集めたギャレス・エドワーズ。彼は『エピソード4』とスティーブン・スピルバーグの『未知との遭遇』を見て、映画監督を目指すようになった生粋のSWファンだ。シリーズでは初めて、ビーチをロケ地に設定するなど、『SW』の世界観は引き継ぎつつ、新しいアイデアを組み入れている。
今後、『SW』シリーズは本編とアナザー・ストーリーが交互に公開される予定で、それぞれの作品で近年注目を集める若手監督が起用されている。新しいアイデアが注がれて、『SW』シリーズはさらに進化していく。
(ライター 相良智弘)
[日経エンタテインメント! 2017年1月号の記事を再構成]
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