上役2人の仲が悪く、仕事が進みません
脚本家、中園ミホ
仲が悪い2人の上役と仕事をしています。2人は直接話さず、私を介して不平不満をぶつけあうので困っています。そもそも主張が真っ向から対立しているので、何を言ってもうまく伝わらず、仕事がさっぱり進みません。(埼玉県・男性・40代)
私も以前、同じような立場になった覚えが……。つらいですよね。どんな仕事も人とかかわりながら進めるもの。1人部屋にこもって書く時間が多い脚本家も、ドラマのプロデューサーや演出家の要望を聞いたり、作品の方向性を話し合ったりします。でも、そのコミュニケーションがうまくいかないことが結構ある。
上役の対立から生じるトラブルはその典型です。指示が混乱したり、派閥ができたり。部下は飛び交う指示に戸惑い、あなたのように双方の不満をぶつけられれば、右往左往するばかり。仕事がさっぱり進まない。さて、どうすればよいか。
私の経験から言えば、上役たちの不平不満は聞き流し、淡々とあなたの仕事に徹することが最良の策です。そして、2人のどちらの肩も持たず冷静に観察するのです。こうした対立はたいてい似た者同士に起きる。2人に共通する欠点が見えてくるはずです。いずれあなたも同じ立場になるかもしれない。反面教師として参考にしましょう。
大事なことがもう一つ。仕事を忘れ、あなたが尊敬する人と話す時間をつくりましょう。助けを求めるのではありません。食事をしながらでも、電話でもいい。つらい気持ちは心にしまい、尊敬する人とただ話す時間を持てば、あなたは仕事の別の視点を得て、心の風通しがよくなる。気分も変わりますよ。
それにしても上役の対立がよく起こるのはなぜだと思いますか。組織のさらに上の人が2人の成長のため、競い合うように配置したからかもしれません。これは組織で、特に有望な人材に行われる人事だそうで、実は彼らこそ試されているのです。
そう考えると、対立はしていても、期待を集める2人の仕事は歯車がよい方向に回れば、大きな成果を生む可能性があります。あなたはつらくても、めげずに仕事に取り組んだ方がいい。あきらめれば大きなチャンスを逃す恐れがありますよ。
それに、想像してみてください。2人の上役が仲よしでも、そろって能力不足だったらどうでしょう。これも実によくあるケースですが、私にいわせれば最悪です。この手の上役コンビは、どんなに優れた仕事をしても自分たちの都合を優先して判断しがちだからです。つまり、部下は吸いとられるばかり。本当につらいと思いますよ。
あなたの職場ではそんなことは起きないとしたら、まっとうな仕事は上役の目に留まる可能性がある。対立する2人が認めれば、文句なしのよい仕事ということです。淡々と前向きに、がんばってください。
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[NIKKEIプラス1 2016年12月17日付]
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