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国内で1日に刊行される新刊書籍は約300冊にのぼる。書籍の洪水の中で、「読む価値がある本」は何か。書籍づくりの第一線に立つ日本経済新聞出版社の若手編集者が、同世代の20代リーダーに今読んでほしい自社刊行本の「イチオシ」を紹介するコラム「若手リーダーに贈る教科書」。今回の書籍は2015年に発売され、12刷、6万8000部を記録しているヒット作、「男と女のワイン術」。ソムリエの伊藤博之さんと食ライターの柴田さなえさんによる共著だ。クリスマスも近づき、ワインに接する機会が多くなるなか、自分の好みの味わいのワインを手に取れるようになる方法を伝授する。

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伊藤博之氏

伊藤博之氏

柴田さなえ氏

柴田さなえ氏

著者の伊藤さんは1967年埼玉県生まれ。2000年に開店した東京・銀座のワインバー「わいん厨房たるたる」のオーナーソムリエ兼シェフです。柴田さんは食と旅を得意とする編集・ライティングユニット「おいしいしごと」を主宰。『東京カレンダー』など各誌でワイン特集記事を企画・執筆しています。

ワインで広がる食事の楽しみ

本書は冒頭、故伊丹十三監督の食をめぐるコメディー映画『タンポポ』のワンシーンを取り上げます。とある企業が取引先を招いた高級フランス料理店での会食の席でのことです。

 末席の若造の様子はなにやらひとり違います。接待する側にも関わらず、ひとり楽しそうにメニューを眺めながら、「クーネルのブーダン風って、フランスの『タイユヴァン』っていうレストランで出していたと思うけど……」と給仕(きゅうじ)に尋ねるのです。すると給仕の表情がガラリと変わり、「よくご存知(ぞんじ)ですね、うちのシェフが修行をしていたもので」と好対応に。さらに若者は、「僕は今朝からコルトン・シャルルマーニュ(フランス・ブルゴーニュの高級白ワイン)の気分なんだ。81年はあるかしら?」と加えます。給仕は重役たちを一瞥(いちべつ)し、意気揚々と答えます。「では、ソムリエをお呼びいたしましょう」。重役たちの顔は一気にゆでだこのように赤らむのです。
(はじめに――ワインで「一線」を超える 3ページ)

著者は「映画は1985年上映とかなり古いものですが、似たような場面は約30年経(た)ったいまでも見られるのではないでしょうか」と指摘します。場所や、集う人々、シチュエーションなどでその場に合わせたワインをさらりと選べる人は、とてもスマートです。

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