「ここぞ」というときにハズさないワイン選び伊藤博之 柴田さなえ著「男と女のワイン術」

一方で、「品種や生産地を覚えられない」「名前が複雑でよくわからない」と思ってしまう人も多いようです。特に、多くの人が疑問を抱くのは、ワインの価格です。著者は「ワインのクオリティ(味わい)にもっとも差が出るのは、1000~3000円という価格帯」と指摘します。おいしさは、安価なワインでも高級ワインでも大きな差はないにもかかわらず、なぜ1本数百円から何十万円まで差があるのでしょうか。

なぜ、ワインの値段に大きく差があるのか

その理由は大きく2つあると著者は語ります。まず、ひとつはブドウ栽培です。ブドウの樹は、生命力が強いので、放っておくとどんどん実をつけてしまいます。そのために、ワイン用のブドウは剪定(せんてい)を施し、房をある程度の数まで絞り、少なくなった房にブドウの樹の持つエネルギーを集中させ、おいしい実を育て上げて収穫するのです。

2つ目は、ブドウの樹の樹齢です。ブドウの房が初めて実をつけるのは3~4年目ですが、高級ワインを仕込むブドウが採れる樹の平均樹齢は40年以上です。しかし、50年を超えると今度は実がつきにくくなって収穫量が落ちてしまいます。ブドウの実は1年に1度しか収穫できないので、かなりの労力がかかっているのです。

基本的なワインの値段は、このような事情を背景に決まっていきます。さらに、専門家の高評価などさまざまな要因が付加価値として加わります。値段の背景がわかったところで、次は飲み方を見てみましょう。

酸味は、冷やすとおいしくなるものと、ぬるいというか高めの温度でおいしくなるものがある。これは、ワインに含まれる有機酸の種類によるもので、実はワインを飲む際の温度にも非常に大きく影響している。(略)
ワインにおいて冷やしておいしい有機酸は、先に酸の質で述べたリンゴ酸、クエン酸、酢酸。白ワインに多く含まれる酸だと思っていい。
逆に高めの温度でおいしくなる代表的な有機酸は、乳酸。赤ワイン、ことにフランスの高級ワインに多く含まれる酸だ。
(第2章 白はマコン、赤はボルドーのメルローをまずは飲むべし。 54ページ)

甘めのワインは「冷やして」飲むのが鉄則

こうしたワインの酸味には温度、そしてワインを生むブドウの酸味も生産地の気温と、双方に「温度」が関わってくるのは非常に興味深い点です。このような背景がわかると、ワインの楽しみ方が少しずつ広がってくるのではないでしょうか。

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