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マンション組合、管理良好なら保険料割引きも マンション組合の保険(上)

2016/12/13

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 マンション管理組合の理事長をしていますが、火災保険料の上げが組合会計に響いています。ここ数年、事故による保険金の支払いはゼロですが、築30年を迎えているため高額になるようです。保険料を抑える手立てはあるでしょうか。

 一般的にマンション管理組合が加入する「マンション総合保険」は、火災や風水害、自動車の衝突などによる建物被害といった基本補償のほか、管理組合や区分所有者が法律上の賠償責任を負った場合に保険金が出る「賠償責任保険」がセットになっている。

 この賠償責任保険でカバーされる事故の大半を占めるのが給排水管からの漏水で、階下の住戸の壁紙のはり替え、家財の補償などに保険金が充てられる。給排水管が老朽化するほど漏水リスクが高まるため、損害保険各社はここ数年、築年数の経過による保険料の査定を厳しくしてきた。築30年の保険料が新築の5倍になることもある。

 もっとも、同じ築30年でも給排水管の設計仕様やメンテナンス状況などによって漏水リスクは異なるはずだ。日新火災海上保険が昨夏から扱っている「マンションドクター火災保険」はマンション管理士による診断の結果、メンテナンスが良好であれば保険料が20~30%ほど下がる。

 築30年、219戸のマンションで試算したところ、給排水メンテナンスが皆無の場合、保険料は主に「賠償責任部分」が膨らみ、年間約250万円になる場合がある。一方、過去15年間に給排水管のメンテナンス工事をしていたり、国土交通省のガイドラインに準じて作成した長期修繕計画に工事の予定があったりすると、保険料は約88万円下がるという。

 「これまでの契約件数の6割を占める築30年以上のマンションに限ると、保険料の割引率は約25%に達している」(商品開発部)

 ここにきてメンテナンス状況を保険料の査定に反映する仕組みが業界全体に広がりつつある。東京海上日動火災保険は4月、マンション総合保険の「リスク診断割引」の判定項目を増やし、管理が良好なマンションの保険料を抑えた。

 漏水リスクに関しては「漏水による保険金の支払いが過去3年で1戸当たり0.06件未満」という項目を新設。過去15年以内に給排水管を取り換えたり、サビを落とす工事をしたりしていれば、さらに保険料が下がる。

 損害保険ジャパン日本興亜も来年1月以降に保険期間が始まる契約から、「無事故割引」を導入する。1年間、保険金の支払いがゼロなら火災保険料を約20%下げる。他社との契約で1年間無事故だったマンションにも割引を適用する。

 マンション総合保険の保険料を下げるうえで、火災などの基本補償にも見直しの余地はある。万が一、マンション共用部分が全焼しても保険金だけで再建築できる「付保割合100%」の契約の場合、これを同60%くらいに抑える選択肢がある。鉄筋コンクリートの耐火構造の大規模マンションが全焼するリスクは現実には考えにくいからだ。

[日本経済新聞朝刊2016年12月7日付]

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