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アスリートを支える

マイルや自販機、カードのポイントで次世代の選手育成 日航やコカ・コーラ、消費通じて顧客と競技支援

2016/12/8 日本経済新聞 朝刊

マイルによる支援を受けて練習を続けるエアピストル女子、上田ゆい選手

11月下旬、埼玉県で開かれたエアピストルの選考記録会。上田ゆい選手(17)は予選の射撃を中断、練習ノートを開いた。「今日は自分を見失った」。スコアは348点と自己ベストの376点に遠かった。涙があふれる。

「世界で多くのライバルと出会いたい」と話す上田ゆい選手

5歳からフィギュアスケートに打ち込み銀盤のスターを夢見た。相次ぐけがに悩んでいた14歳の時、テレビで射撃を知り、転身を決めた。日本ライフル射撃協会員の7千人に加え警察や自衛隊所属の選手がひしめく。若手アスリートにとって重要なのが国際大会を含めた試合経験。ライフル射撃協会の溝部政司常務理事は「自分をコントロールできるかどうか。世界で多くのライバルと出会い、場数を踏むしかない」と話す。

日本航空はこうした選手の遠征や練習を後押しする「JALネクストアスリート・マイル」を実施。利用客からマイルの寄付を募り、日航も同額分を加算して競技団体に贈る。競技団体は特設ウェブサイトで活動を報告するほか、寄付者にサイン色紙を贈ることもある。同協会もこれまでに合計60万円を受け取り、アゼルバイジャンへの渡航や弾丸の購入費にあててきた。

「利用客と一緒になって応援する」。日航・宣伝部運営グループの佐々木順一アシスタントマネジャーは話す。東京五輪に向け、将来のメダリストをJALの乗客とともに陰で支える。

「国内に約250万台と飽和状態にある自販機に新しい魅力を加えたかった」(日本コカ・コーラの蔵前伸彦シニアマネジャー)。現在の設置台数は280台。9月末までの寄付額は130万円。東京五輪・パラリンピックまでに3000台、1億円を集めることが目標だ。

競技団体との連携も強めている。よく利用する体育館や競技場の運営者に支援自販機の設置を促してもらい、「貢献度」が高かった競技団体には寄付金を多めに分配する仕組みを取り入れている。

同社のクレジットカードを発行する国内150社のポイントを、それぞれ設定された換算レートで現金化して寄付できる仕組み。賛同した顧客は、カード会社のサイトを通じて簡単に手続きできる。

集まったお金はJOCを通じて夏季競技の国内団体に寄付され、遠征や合宿の費用に使われる。今年8月までに233万円余りが寄付された。

東京五輪に何らかの形で関わりたいと考えている企業は多い。なかでも「アスリートを応援したいという相談が多い」とJOCの秋葉将秀氏は語る。日本生命も契約者がポイントを現金化して寄付できるプログラムを9月から始めた。

[日本経済新聞2016年12月8日付朝刊]

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