なかなか会えない孫の写真 実家のTVにスマホで直送

実家のテレビで簡単に孫の写真が見られるようになる
実家のテレビで簡単に孫の写真が見られるようになる
日経トレンディ

日経トレンディがスタートアップ商品大賞に選んだ製品の中から、生活部門の大賞となった「まごチャンネル」を紹介する。

接続は簡単。画像が届くと本体の「窓」が点滅する

テレビをつければ、孫の笑顔が画面いっぱいに映し出される。遠く離れた実家のテレビですぐに孫の写真を見られるようにするのが「まごチャンネル」(チカク)だ。子や孫がスマートフォン(スマホ)の専用アプリで撮影すると、実家のテレビに接続した本体に画像が自動転送される。画像が届くと、家の形を模した本体の“窓”が点滅。テレビをつければ最新の写真や動画を大画面で見られる仕組みだ。

15年9月、クラウドファンディング「マクアケ」に出品したところ、IoTカテゴリーで史上最速となる開始50分で目標を達成。人気の原動力となったのが、セットアップと操作の簡便さだ。

新しい画像が届くと本体の「窓」が点滅する。「子供たちが家に帰ってきたイメージ」(梶原氏)
電源ケーブルとHDMIケーブルを接続するだけと、セットアップは簡単

まごチャンネルは、電源ケーブルをコンセントに、HDMIケーブルをテレビに接続するだけで設置が完了。サービスへのログイン情報などはすべて設定済みだ。「掃除機をコンセントにつないで使う感覚と同じ」(チカク代表の梶原健司氏)で、セットアップできなかったユーザーはほとんどいないという。SIMカードを内蔵し、通信にはLTE/3G回線を利用。実家にネット回線や無線LANを用意する必要もない。

開発のきっかけは梶原氏自身の経験から。過去に、自分の子供の写真を親に見せるため、実家のテレビにMacを接続。自宅から遠隔操作を行い、Dropboxで共有した写真を親に見てもらえるよう工夫したが、苦労の連続だったという。周囲に聞いてみたところ、通信機能を内蔵したデジタルフォトフレームを実家に送っても、「難しい」「電気代がもったいない」という理由で使ってくれないなど、自分の親世代と写真を共有できない悩みを持つ人が多いことがわかった。

だが、なかなか会えない孫の写真を見ると誰もが喜ぶ。子育て世代とその親の世代の間を断絶するデジタルリテラシーの壁を何とか越えられないだろうか│。そうした発想から、テレビとアンドロイドスマホの組み合わせが生まれ、まごチャンネルの開発につながった。

「家族写真を共有できるサービスや手段は数多くあるが、誰もが本当に使いこなせているかどうかは疑問」と梶原氏は話す。まごチャンネルは、本体に電源ボタンすらなく、操作に使うのはテレビのリモコンだけ。日常的に使っているもので操作でき、画面のインターフェースも極めてシンプルなため、デジタルが苦手なシニア世代でも簡単に使いこなせるのだ。

取扱説明書はイラストを多用し、シンプルでわかりやすい

まごチャンネルの価格は、1年間のサービス利用料を含めて3万9800円(税込み)。利用をさらに継続する場合は年間1万5000円かかるが、1カ月当たり1250円相当と“格安SIM並み”で手頃だ。アプリは無料で、何人でも使うことができる。百貨店での取り扱いも始まり、結婚式での両親へのプレゼントに利用されるなど、新たな需要も生まれているという。

送る写真にメッセージを添付、双方向でつながる仕組みに

テレビのリモコンを使ってまごチャンネル(受信側)で写真や動画を「お気に入り」に登録すると、送信側のスマホにそれが伝わる。今後は、写真の送信時に簡単なメッセージを添付するなど双方向のやりとりができるよう、機能を拡張したいという。

実家の親がまごチャンネルを使ったり、写真を「お気に入り」に登録すると、送信側のスマホに『ご実家が「いいね!」と言っています』などという通知が届く
チカク代表の梶原健司氏。アップルジャパンに新卒で入社。iPodなどのセールス、マーケティングなどを担当し、その後独立した

(日経トレンディ編集部)

[日経トレンディ2016年11月号の記事を再構成]

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