のれん代とは? 純資産で表せないブランド価値

「決算の貸借対照表をみていると『のれん代』の表記が散見されます。一体どういうものでしょうか」(宮城県、50代男性)
マネーを呼ぶ「マネ~き(招き)猫」のヴェリーが、読者の疑問を解決します。

企業がM&A(合併・買収)をした際に発生する買収相手のブランド価値が「のれん代」です。M&Aは相手の帳簿上の純資産を購入するという形で会計処理します。しかし、実際は買収額がしばしば純資産の時価を上回ります。知名度や技術力など金額で表せない価値を踏まえ、買収額に上乗せするためです。この差額が「のれん」で、買収した側の企業の貸借対照表に計上します。

たとえば純資産100億円の企業を120億円で買収したとすると、のれんは20億円です。上場企業ののれんは9月末時点で計24兆7000億円強に達し、ソフトバンクグループ(9984)や日本たばこ産業(2914)など積極的なM&Aで収益を拡大してきた企業が上位に並びます。

日本の会計基準では最大20年間でのれんを均等に減らしていく必要があります。「のれんの償却」と呼び、損益計算書で費用に計上します。20億円ののれんを20年間で償却するのであれば、利益を毎年1億円ずつ押し下げる要因となるわけです。

国際会計基準(IFRS)や米国会計基準では均等償却しません。かわりに毎年、買収相手の現在の価値を厳しくチェックします。買収当初の想定と収益力などが大きく変わっていれば損益計算書に減損損失を計上し、のれんを一括で償却します。日本基準に比べて平常時の利益を押し上げる半面、巨額損失が一気に出る可能性は高いといえるでしょう。

一方、買収額が純資産の時価を下回る場合の差額は「負ののれん」と呼びます。日本基準では特別利益に負ののれん発生益として計上し、純利益を押し上げる要因となります。

[日経ヴェリタス2016年12月4日付]

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