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私のモノ語り

福士蒼汰 本当に俺に必要なのか、自問自答のモノ選び

2016/12/12

買い物をするとき、「本当に俺にはおまえが必要なのか」と自問自答するという福士蒼汰さん

「買い物で重視するのは、コスパ」と人気俳優らしからぬコメントで驚かせるのは、福士蒼汰さん。主演映画「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」でこだわったモノから、仕事の必需品、プライベートでの買い物のしかたまで、23歳のトップ俳優の「モノ語り」をお届けします。

■新作のイメージは「手紙」と「音楽」から

「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」の役作りで最初に手に取ったモノは、原作の小説(七月隆文による同名の小説。宝島社文庫)です。不思議な時間軸の中で進んでいくラブストーリーで、主人公の高寿(たかとし)と愛美(えみ)の想いが切なくて。読み終わった時はすごく泣きました。

クランクイン前には、この作品の三木孝浩監督から手紙をいただきました。そもそも監督から手紙をもらう機会はほとんどないこと。映画に対する思いや意気込みが伝わってきて、うれしかったです。

手紙には「冬になると見たくなる、温度を感じる映画にしたい」と書かれていました。設定は冬ですけど、春のように温かな恋や人の想いがずっと続いている――そういう作品に僕もしたいと思いました。

手紙と一緒に音楽もいただきました。監督が選んだ音楽がUSBに10曲くらい入っていて、聴くと、柔らかくて透き通ったイメージが浮かびました。それもすごく役作りの参考になりました。

「クランクイン前には監督から手紙をいただきました。映画に対する思いや意気込みが伝わってきて、うれしかったです」

■役のグラデーションを見せるためにこだわったモノ

実際に高寿を演じるにあたって意識したのは「グラデーション」です。これは高寿が愛美と出会って、成長していく物語。出会った当初の高寿は挙動不審で、女性というより、まず人に慣れていないようなキャラクターなんです(笑)。それが最後の方では、別人のような顔つきになる。そこに向かう1日1日の変化を、グラデーションで見せていくことが大事だなと思っていました。そこで使った小物がマフラーとメガネです。

最初の高寿は髪が長めで、マフラーで顔が埋もれるようなスタイルにしています。自分に自信がないから、顔を隠してしまうんですよね。

そして、メガネをかけている。メガネはいろいろなものを試しました。フレームが丸いと、ガリ勉っぽく見えたり、ヘンにオシャレに見えたりしてしまう。高寿はそのどちらでもなくて、「最近、目が見えなくなってきたな」とメガネ屋さんに行って、お店の人に薦められたので、なんとなくそれをかけているというイメージです(笑)。だからごく普通の、四角いメガネをかけています。

そんな高寿が恋をして、だんだん見た目もスッキリしてくる。なので後半は、メガネやマフラーといった小物を少しずつ省いていく作業をしています。

上の写真が最初のころ。メガネやマフラーで顔が隠れているが、後半になると顔から小物が省かれていく (C)2016「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」製作委員会

完成作は、僕の好きな結末の恋愛映画になりましたね。わかりやすいハッピーエンドではないのですが、すごく前向きな、温かな気持ちになれる作品です。自分の中では、新しいラブストーリーになったと思っています。

■仕事に必要なモノは、シャープペンシル

こんな僕の仕事に必要なモノは……意外と何も持っていないかもしれません(笑)。ああ、台本とペンは常に持っています(笑)。

台本に書かれているセリフにはすべて意味があって、それが連なって物語になっている。セリフの一つ一つにその人が表れると思うので、どうして彼はここでこのセリフを言うのか、感情や理由を、セリフの上に書いていくようにしています。

その時使うペンは、シャーペンです。ボールペンだと裏写りしやすいですし、鉛筆だと削る作業が必要になるので、シャーペンが一番いいと思っています。

書いたものを消したい時は、二重線で消しています。自分が過去に何を思っていたのかも残しておきたいので、消しゴムは使いません。「違う」と思ったものもすべて残した上で、新しく思ったことを上書きしていきます。

■部屋にモノを増やしたくない

モノを買う時は、慎重になる方です。一つ一つ吟味してしまうので、あまり買い物自体にいかないんです(笑)。

重視することは、コストパフォーマンス。いいなと思ったモノでも、高いと迷うんです。もっと良いモノが、もっと安く買えるのではないか考えてしまうので。値段や素材を何度も見て、「本当に俺にはおまえが必要なのか」と自問自答しながら買います。だから、なかなかパッとは買えないんです(笑)。

吟味した分、買ったものは大事に使います。好きで買ったモノだからずっと持っていたいですし、実際、何年も同じ服を着たりするんです。そんな感じなので、部屋にモノは少ないです。あるのは最小限のモノだけ。好きなマンガも、モノが増えていくのが嫌なので電子書籍で読んでいます。

「部屋にモノは少ないです。あるのは最小限のモノだけ」

■機材が進化しても変わらない「心に伝わる芝居」を

電子機器といえば、「恋仲」というドラマをやっている時、VR(バーチャルリアリティー)カメラでの撮影を経験したんですよ。1台のカメラで360度全方位撮影できるんですけど、カットを割れないから、ワンシーンワンカットの一連で撮らなくてはいけなかったんです。

ゴーグルを着けて完成したものを見たら、面白かったです。たとえば、呼びかけられたほうを見ると、その人が本当に目の前にいるように見えるんです。僕とデートできるという設定だったので、呼ばれて振り向くと、自分の顔が目の前にある(笑)。打ち上げ花火を見るシーンでも、ロマンチックな気分でふと横を見ると、俺がいるんです(笑)。

映像の新しい可能性を感じました。ただ、機材の発達によって自分のお芝居も変わるかというと、そんなに変わらないのではないかと思います。

僕が演技で大切にしていることは「伝える」ということです。映像でも舞台でも、伝えたいことをいかに伝えて、見る人の心を動かすことができるかが大事だと思うんです。ただうまいお芝居とか、ただ個性的なお芝居ではなくて。心に届く、心に伝えられる役者になっていけたらと思っています。

福士蒼汰(ふくし・そうた)
1993年生まれ、東京都出身。2011年にデビュー、「仮面ライダーフォーゼ」に主演。ドラマ「あまちゃん」(13年)や「きょうは会社休みます。」などで注目を集め、15年には有村架純とW主演した映画「ストロボ・エッジ」が興収23億円超えの大ヒット。日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞した。16年は連ドラ「お迎えデス。」や映画「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」に主演。17年は三池崇史監督・木村拓哉主演の「無限の住人」に出演(4月29日公開)。主演映画「ちょっと今から仕事やめてくる」が初夏に公開予定。
(C)2016「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」製作委員会
「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」
美大生の高寿は、電車で出会った愛美に一目ぼれをして、やがて2人は恋人に。幸せな瞬間を重ねるも、そのたびに涙を流す愛美。実は愛美は、ある秘密を抱えていた。
出演:福士蒼汰/小松菜奈/東出昌大
監督:三木孝浩 原作:七月隆文 脚本:吉田智子
12月17日(土)全国ロードショー

(ライター 泊貴洋/写真 吉村永)

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