「気心知れぬ」ところがいい

――世界戦略を進める上で、どのようにグローバルリーダーを確保しますか。

「いま、米国とインドの現地法人のトップ、CEOとして非常に優秀な(現地の)リーダーを採用している。これから他の国などでも増えていくだろう。この2人は我々がスカウトしたわけだが、何がいいかというと、まず気心が知れていないのがいい」

「日本人をトップにすると、長年の部下だったりするから、私も気心が知れているわけですよ。『おい、君、もうちょっと売り上げをなんとかせえ』といったら『はい、わかりました』と即答するけど、これがダメだ。今まで、何回となく失敗してきた。費用ばっかり使っちゃって、逆にマイナスなんです。『なんでこんなに損が出るんだ』とただすと、『いや、頑張ったんですけど、逆に損しました』なんて平気でいうからね」

「それが米国のCEOとかは違うんです。『なんとかせえ』と言ったら『それなら、これだけお金はかかりますが、使って良いというなら、やります。ただ、それよりは、こっちのやり方が効果的ではないですか』ときちんと反論し、自分の考えをしっかり主張する。なれ合いじゃない。責任を持った発言をする」

「しかも外国人のCEOは(事業を)整理するのが、めちゃくちゃうまい。しがらみがないからです。我々は、もう30年やってきたら、垢(あか)もいっぱいたまっている。『そんなことは不要だから』となかなか切れないんですよ。ところが彼らは、不要なものは切っちゃう。その代わり、『新たなビジネスは何をしてほしいですか』とか、『開発経費はこれだけかかるなら、これだけの(予算)枠をとりましょう』とか、逆にいわれたりしてね」

95歳の創業者から「辞めろ」

――日清食品社長に長男の徳隆氏を据えています。後継者として、どのように育成していきますか。

「自分自身も、創業者に『お前が一番、適性がなきゃ(社長を)代われ』と、しょっちゅう言われてきました。ある時、95歳だった創業者から『お前の方針はなっとらん。お前が辞めるか、俺が辞めるかだ』と迫られたことがありました。『世界一になるとばかり言っているが、海外展開が無駄すぎる。お前の経営方針は拡大ばかりで実らん。そんな、肌感覚の無いことは、やめろ』と言われた。もう10年前のことですが」

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後継者はしつこい奴が一番
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