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悪酔い対策 ベジファーストより「オイルファースト」

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日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス
宴会シーズンのまっただ中。"12月は酒席でビッシリ"という人も少なからずいるのではないだろうか。飲み会を最後まで楽しむために重要なのが、飲み会の最初に何を食べるかだ。空腹で飲むと酔いが回るのは周知の通りだが、実は飲酒する際に選ぶ食べ物の種類によっても、酔いの回り方は変わってくるという。そこで、アルコールの吸収と食べ物の関係についてまとめた。

飲む前に、何を食べておくといいのか?

「本物の左党は塩を肴に酒を飲む」。

昔からこんなことが言われているが、「確かに」と思うことが多々ある。酒豪の多くは酒を飲み始めると箸が止まる。実際、私もその口で、酒が進むにつれ、「悪酔いする」とわかっていながらも、つい飲むことに夢中になり、食べる量が激減してしまう。

しかし、肴をほとんど食べない「酒主体の宴」の翌日は、予想通り吐き気をともなった激しい二日酔いにみまわれることがほとんどだ。

反対にきちんと食べて飲んだときは二日酔いになることはまずなく、体調も万全。「塩が肴」というと、渋くてカッコイイ気もするが、実体験から考えてもカラダにいいことは何もなさそうだ。実際、空きっ腹でお酒を飲んで、痛い目に遭った読者の方も少なからずいるのではないだろうか。

では、悪酔いしないためには、何を食べればいいのだろうか。さらに、どのタイミングで食べればいいのか。何か食べておいた方がいいのはわかるが、具体的にはよくわからない。牛乳を事前に飲むという人もいるが、本当に効果があるのだろうか。このことがきちんと明らかになれば、悪酔いや二日酔いになる確率は確実に減るはずだ。

どんな食べ物を事前(もしくは飲み会の最初)にとっておくと酔いにくくなるかは、「お酒に強くない人」にとっても重要だ。実際、知人に「お酒は好きだけど弱いんです。飲める人がうらやましいです。だから飲み会の前には牛乳やサプリは欠かせません」と話す人がいる。また、人の目を気にする日本人は、宴会などで無理をしてお酒を飲もうとする人が少なくないのだ。

今や忘年会シーズンのまっただ中。上司・同僚の前、あるいは恋人の前で醜態をさらさないようにするためにも、飲み会の前、あるいは食事中に、とっておくといいものを知っておきたいところだ。そこで、胃や腸などの消化器系のメカニズムに詳しい東海大学医学部内科学系消化器内科学教授の松嶋成志さんに「酔いを遅くする食べ物」について話を聞いた。

アルコールの血中濃度の上昇をゆるやかにする

「二日酔い、悪酔いを防ぐのに、気を付けなくてはならないのは、アルコールの血中濃度を急激にアップさせないことです。血中濃度が高くなることは酔いが回るということ。悪酔いの原因です。お酒に強くない人なら、気持ち悪くなったりフラフラしたりします。さらに、血中濃度が高くなってくると、嘔吐(おうと)したり、まともに立てなくなったりします」と松嶋先生は話す。

では、どうすればアルコールの血中濃度の上昇をゆるやかにできるのか。

「アルコールを飲んで、カラダの中でまず吸収される場所は胃です。といってもアルコール全体の吸収に占める割合はわずか5%程度に過ぎず、残りの95%は小腸で吸収されます。小腸の内壁には腸絨毛(ちょうじゅうもう)と呼ばれる突起があり、大人1人当たり数百万から数千万存在しています。これらの表面積を計算すると、平均的な体型の成人男性の場合、テニスコート一面とほぼ同じともいわれています。胃より表面積が大きな小腸のほうが吸収量が多く、吸収速度が早いわけです」(松嶋先生)

「アルコールが腸に送られれば一気に吸収されます。ですから、いかに胃でのアルコール滞留時間を長くし、小腸へ送る時間を遅くするかが、アルコールの血中濃度を上げない(=酔いを遅くする)カギになるのです」(松嶋先生)

なるほど、できるだけ胃の中に入った内容物を胃にとどめ、小腸に行く時間を遅らせればいいわけだ。実際、松嶋先生によると、胃の中での滞留時間は、食べ物によって変わるという。「胃での滞留時間」とは、「その食べ物を胃で消化して、胃から排出されるまでにどのくらいの時間がかかるか」ということ。ここで、できるだけ長く滞留する食べ物を、飲み会の前にとっておくといいわけだ。では具体的にどんな食べ物がいいのだろうか。

"お酒の前に限って"は「オイルファースト」

「それは油です。油分は胃での吸収時間がとても長い。消化管ホルモンの一種であるCCK(コレシストキニン)などが働き、胃の出口となる幽門を閉め、胃の中を撹拌(かくはん)する働きがあるのです」(松嶋先生)

何と油とは! 確かに、油は胃にもたれそうだし、胃の中での滞留時間が長くなりそうではある。しかし、食事の最初に油とは、ベジファーストとは真逆ではないか。

胃の滞留時間は、食べ物によってかなり異なる。例えば、米飯(100g)は2時間15分で消化するのに対し、ビーフステーキ(100g)は比較的長く、3時間15分程度かかる。油は最も長く滞留し、バター(50g)は12時間もかかる。こうしたデータを見ても、いかに油が長時間胃に留まるかが理解できる。これからは、"お酒の前に限って"だが、「ベジファースト」ならぬ「オイルファースト」を心掛けたい。

カルパッチョやマヨネーズを使った料理も効果あり

とはいえ、いくらアルコールの吸収を遅らせるといっても、「油を最初にとるのは、ちょっと…」と思う人も多いだろう。

「血中アルコール濃度を上げないという観点では、油分を先にとることが理にかなっています。ただし、油といってももちろんそのままではなく、刺身にオリーブオイルをかけた魚のカルパッチョ、マヨネーズを使ったポテトサラダなど油を使った前菜向けの料理は多くあります。こういった油を使った料理を最初に食べるといいでしょう。最初に食べるともたれそうですが、から揚げ、フライドポテトなども効果が期待できます。お酒と混じり合って半固形になるような食べ物だと、より腸に送られにくくなります。胃や腸にとってアルコール吸収が不利となる状況を、いかにおつまみで作るかがアルコール血中濃度を上げないポイントとなります」(松嶋先生)

「いきなり油を使った料理はきついという方には、乳脂肪分を含むチーズを食べるという方法もあります」と松嶋先生はアドバイスする。

「お酒を飲む前に牛乳」の効果は?

では、「お酒を飲む前に牛乳を飲む」という方法は効果はあるのだろうか。実際、「飲む前に牛乳を飲むと胃に膜が張って悪酔いしない」などとよく言われている。

「牛乳には4%弱ほどの脂肪分が含まれています。ですから、多少なりとも効果は期待できます。また、牛乳にはたんぱく質が多く含まれているので、胃粘膜の保護効果は期待できます。少量では胃全体に膜を張るまではいきませんが、ある程度の効果はあるでしょう」と松嶋先生は話す。

「お通しでキャベツ」は理にかなっていた!

松嶋先生によると、「油に加え、宴会の最初のうちにとっておきたいのがキャベツなど、ビタミンUを多く含む食品」だという。これらは果たして、どんな効能があるのだろうか?

「キャベツに含まれるビタミンU(キャベジン)は、胃の粘膜表層のムチンを増やす働きがあります。ムチンとは粘膜から分泌される粘液の主成分で、粘膜を保護したり、細菌の侵入を防御する役目を担っています。ムチンの層が厚くなると、粘膜保護効果が高まり、アルコールによる刺激から胃を守ってくれるわけです。わずかかもしれませんが、アルコールの吸収速度を遅らせてくれる効果もあるでしょう。ラットの実験では、ビタミンUの効果は食べてから1時間後くらいから現れるという結果が出ています」(松嶋先生)

そういえば、焼き鳥や、串揚げのお店で味噌やマヨネーズと一緒に、生のキャベツがお通しで出てくることがあるが、これはまさに「理にかなっている」ということになる。余談だが、ビタミンU(キャベジン)は正式にビタミン類に分類されている成分ではない。とはいえ、胃腸薬の名前にもなっているように、胃の健康維持に役立つことは既に知られた事実。飲み会の初めに、キャベツを積極的にとりたい。ただしキャベツを食べる時はなるべく生に近い状態が望ましい。なぜならばビタミンUは水溶性で熱に弱いからだ。

ビタミンUは、キャベツ以外にも、ブロッコリーやアスパラガスなどにも豊富に含まれているので、これらをとってもいいだろう。このほか、松島先生は、豆、山芋、オクラといったムチンそのものを多く含むネバネバ系の食材もおススメだと話す。

悪酔いしないために、タウリンやセサミンを

なるほど、ここまでの話で、酔いを遅くする(=血中アルコール濃度を急激に上げない)ために、飲み会の始めにとっておくといい食べ物はわかった。では、酒席で杯が進んだ後、血中アルコール濃度をできるだけ早く下げ、悪酔いや二日酔いにつながらないようにするために、何かできることはないのだろうか。

それは「アルコールの分解に必要な代謝物を補う」ことだと松嶋先生は言う。

「お酒を飲んで既に上昇してしまったアルコール血中濃度は、そう早くは下がりません。しかし、肝臓での代謝を助ける成分は摂取した方がいいでしょう。例えば、タコやイカに含まれるタウリン、ひまわりの種や大豆などに含まれるL-システイン、ごまなどに含まれるセサミンなどです」

「もちろん、水分の摂取も必須です。アルコールは抗利尿ホルモン作用によって尿量が増えて脱水症状に陥りやすいため、それを防ぐためにも水分は飲んだ後に限らず、お酒を飲んでいる最中も飲むようにしましょう。飲んだ後は、体内の水分維持効果がある電解質が含まれる飲料が効果的です」(松嶋先生)

        ◇        ◇        ◇

食前、食中、食後とシーンによって、食べ物(つまみ)を一考することによって、「もうしばらく酒を飲みたくない」と後悔するまでの二日酔いは自分自身で防ぐことができる。年末で宴席が増えるこの時期にこそ実践して2016年を乗り切ってほしい。しかしながら個々人のアルコールの分解能力は限界があり、それを超えればどんなにつまみ選びに気を付けても必ず二日酔いになる。飲み過ぎにはくれぐれも注意したい。

この人に聞きました

松嶋成志(まつしま・まさし)さん
 東海大学医学部 内科学系消化器内科学教授 内視鏡室長。1985年、東京大学医学部卒業。公立昭和病院消化器内科シニアレジテント、東京大学医学部旧第一内科助手などを経て、1996年、米国ミシガン大学研究員。帰国後、東海大学消化器内科講師、同准教授などを経て、東海大学医学部付属東京病院、副院長、消化器肝臓センター長。2013年、消化器内科 教授。2014年、付属東京病院 病院長。2016年、東海大学医学部附属病院 内視鏡室長。

(エッセイスト・酒ジャーナリスト 葉石かおり)

[日経Gooday 2016年11月29日付記事を再構成]

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