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「普通に働きたい」女性の真意と男性管理職の役割

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日経DUAL

こんにちは、治部れんげです。今回のテーマは働く母の「気持ち」です。

「なぜ、女性ばかりが『輝くこと』を要求されるのか」

2016年10月17日、内閣府男女共同参画局が主催した「議会における女性活躍及びメディアにおける男女共同参画について聞く会」に参加しました。第2部のパネルディスカッション「テレビメディアにおける女性活躍」が目当てです。

パネリストは、NHK、TBS、日本テレビでそれぞれ、編成主幹、部次長、室長という管理職に就く方々で、司会の明治大学副学長・牛尾奈緒美先生は、元フジテレビアナウンサー。登壇者は全員、子育てしながら仕事を続けてきたテレビ業界の女性たちでした。

議論は多岐にわたり、働く母親が広く共感しそうな内容でした。例えば「男性の働き方の変化」「世代による価値観の違い」「仕事の質を高めたい気持ちと、子どもとの時間を取りたい気持ちの間で葛藤」といった具合です。

中でも興味深く感じたのは、日本女性放送者懇談会の田代早苗さん(日本テレビ・日テレラボ室長)の次の言葉でした。

「なぜ、女性ばかりが『輝くこと』を要求されるのでしょうか。普通に働きたいだけなのに」

このフレーズには、女性たちの本音が凝縮されていると思います。田代さんは経歴もポジションも「すごい女性」です。それなのに「輝かなくていい、普通に働きたい」なんて。これはいったい、何を意味しているのでしょう?

実を言うと「普通に働きたい」「輝かなくていい」という言葉を、これまで多くの女性たちから聞きました。面白いことに、そう言う女性たちの多くが、見た目はとてもキラキラしています。高学歴で専門職だったり、大組織で活躍していたりする人ばかり。話を聞くたびに「なぜ、この人までが『普通』を求めるのだろう?」と不思議に思いました。

「普通」を望む理由は「謙虚さ」と「窮屈さ」

すぐに思いつく理由は、謙虚さ、でしょう。もしくは「謙虚であるべきというプレッシャー」のせいかもしれません。

日本に限らず、アメリカでも、同程度の能力の男女を比べると、女性のほうが遠慮しがちである事実は、研究データからも実証済みです。そこには女性自身の課題や、強いやる気や意欲を見せる女性を叩くジェンダー規範の問題があります。詳しく知りたい方はフェイスブックでCOOを務めるシェリル・サンドバーグ氏が、著書『リーン・イン』で様々なデータや事例を紹介していますので、読んでみてください。

「輝かなくていい、普通に働きたい」と女性たちが口をそろえるもう一つの理由は、日本特有のものかもしれません。

女性が働くことがまだ特別視される現状の窮屈さ。働き続けることに、過剰に意味づけをされることへの抵抗感です。特に子どもを持って働き続けている女性たちに話を聞くと、「輝く」より「自然に」「当たり前に」「普通に」働きたい、と言う人が多いのです。

何をもって「普通」と考えるかは、人によって違います。

例えば、共働き家庭で育つと、男女ともに働き続けるのが当たり前と感じるようになるかもしれません。一方で、出産退職が多い職場にいると、「子どもがいて働き続けるのは無理」と思うかもしれません。いずれにしても「輝くこと」を期待されて違和感を覚える女性がとても多いのは事実です。そこには「男性と比べて」というフレーズが隠されています。

女性が働き続けるのは「男性と比べて」まだ難しい。特に子どもを持って働き続けるのは、女性にとって「男性と比べて」容易ではない。なぜなら、多くの夫は長時間労働で家庭参加が少なく、家事育児は妻の負担が重くなりがち。だから女性は「男性と比べて」余計に頑張らないと仕事を続けられない。仕事を続ける女性も、管理職になる女性も少ないから、失敗すると「男性と比べて」目立ってしまう……。

様々な働く母親と話をしていると、希望はこんなところに収束していきます。男性は、やる気がある人も、あまりない人も、優秀な人も、そこそこな人も、当たり前のように仕事を続けている。だから、当たり前のように、ある程度までは昇進していく。能力を発揮することは求められるけれど、輝くことまでは、求められていない。私も、そういうふうに当たり前に働きたい……と。

「ああなりたい」を受け入れてくれた会社に入社

思い出すのは、大学生のころのことです。「雑誌が好き」という単純な理由で参加したある出版社の会社説明会で、ニューヨーク帰りの記者の話を聞いて「あ、いいな」と思いました。「こういうふうになれたらいいな」と。

実を言うと、その人は男性でした。

今思えば「輝く」とか「活躍」という言葉より「自然に楽しく」働く姿が魅力的に映りました。確固たるキャリアプランを持たない大学生だった私の「女性は事務職です」と言われることもあった時代の就職活動です。「同性のロールモデル探し」などしている余裕はなく、ただ、目の前にくる数少ないチャンスを直感で判断して取ったり見送ったりしていただけでした。

一つ感謝しているのは、入社面接で「私もああいうふうになりたい、と思いました」と素直に話したとき、ずらっと並んだ社長以下、役員たちが、ふむふむ、とうなずいたことです。誰も「きみは女性だから、男性記者のようにはなれないよ」とは、言わなかったのです。社長・役員面接にはおじさんとおじいさんしかおらず、女性は人事担当者一人でした。当然ですが、結婚だの出産だのした後にどうするつもりかも、尋ねられませんでした。

今になって言語化できるのは、彼らのジェンダー中立的な態度は、当時としては結構貴重なものだった、ということです。結局、その会社で16年も働くことになりました。第一子、第二子ができたとき、妊娠を伝えると、上司は決まって「おめでとう」と言った後、「いつから休んで、いつ戻ってくるの?」と尋ねました。男性上司が多く、当時はイクボスという言葉はありませんでした。こういう人たちに囲まれていなかったら、きっと私は「普通に」出産退職していただろう、と思うのです。

女性活躍の鍵を握るのは、男性管理職

女性活躍の鍵を握るのは、だから、女性本人の覚悟や能力に加えて組織で多数を占める男性管理職だと、私は思っています。輝こうが輝くまいが、働き続ける。持てる能力は発揮する。育児や介護で時間制約ができたら、時間当たりの生産性を最大化し、それが認められる。

これが可能になったとき、「女性活躍」とか「女性が輝く」という言葉は不要になるでしょう。「普通に働きたい」と願う女性たちは、決してやる気がないのではありません。男性と同じように、当たり前に、女性も働く時代になってほしい「だけ」なのですから。

「人口減少だから女性活躍が必要」といった言葉は、はっきり言って「能書き」です。そうした理屈を唱えることより大事なのは、目の前にいる部下や後輩の彼女に何を話すか。それは、彼女と同期入社の男性と同じなのか、違うのか。この男性社員に割り振る仕事は、同年入社同職種の女性にも割り振るのか。そうでないなら、なぜなのか。

あなたの言動の積み重ねが、目の前の彼女を、頼りになる戦力にすることもあれば、諦めてマミートラックを歩く人にも、するのです。女性が輝かなくても、当たり前に、普通に働き続けられるように、何ができるか。男性管理職には、ぜひ自分の問題として、考えてほしいのです。

治部れんげ
 昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。1997年一橋大学法学部卒業後、日経BP社入社。経済誌の記者・編集者を務める。14年からフリーに。国内外の共働き子育て事情について調査、執筆、講演などを行う。著書『稼ぐ妻・育てる夫―夫婦の戦略的役割交換』(勁草書房)、『ふたりの子育てルール』(PHP研究所)。東京都男女平等参画審議会委員などを務める。

[日経DUAL 2016年11月1日付記事を再構成]

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