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横綱は『君の名は。』と『ポケモンGO』、嵐は大関 日経エンタテインメント! 2016年ヒット番付

日経エンタテインメント!

2016/12/5

日経エンタテインメント!が選んだ「2016年のヒット番付」

1年間のエンタテインメント界を振り返り、日経エンタテインメント!が毎年発表している「ヒット番付」。これは、視聴率や興行収入といった「セールス」、どれだけ新しい取り組みをしたかを示す「新規性」、メディアへの露出などの「社会影響度」などに基づき、テレビ、映画、音楽、本、ゲームなどオールジャンルのソフトと人を対象に、ヒットの度合いを評価したものだ。

2016年版のヒット番付は上記の通り(詳細は2017年1月号特集として掲載)。この顔ぶれを改めて見ると、2016年のエンタテインメント界は、予想もしなかったビッグヒットが相次いだ1年だったと言える。

(C)2016「君の名は。」製作委員会

その象徴が、現在もロングランとなっている映画『君の名は。』だろう。コアなアニメファンの間ではかねてより評価の高かった新海誠監督の作品。しかし、前作『言の葉の庭』(13年)の興行収入は約1億3000万円に過ぎない。それが、本作は200億円超えも視野に入るメガヒットとなった。

興収80億円を突破し、邦画実写映画No.1となったのは『シン・ゴジラ』。1954年から続く誰もが知るシリーズだが、前作の『ゴジラFINAL WARS』(04年)は興収13億円弱どまり。まさかの大復活を果たし、シリーズの最高記録を更新している。

往年のキャラクターによる意外なヒットといえば、深夜1時台に放送されたアニメ『おそ松さん』もそう。主役の6つ子を豪華声優陣が務めたことなどから、当初は女性アニメファンを中心に人気に。

関連グッズが売れ、様々なタイアップが成功することでブームが拡大。日頃、アニメに縁のない『an・an』『SPUR』といった女性ファッション誌の表紙を飾り、ビームスなどのブランドとコラボレーションをするまでになった。

■ヒットの小粒化は過去のもの

これまでの実績や視聴環境を考えれば、アニメや特撮のファンが支持する“ジャンル内ヒット”にとどまっていてもおかしくはなかった。その枠を超えたのは、まずは作品が多くの人の心を動かす普遍的な魅力を持っていたからにほかならない。『君の名は。』は、大切な人に出会うまでを追った練り上げられたストーリーを、数多くのヒット作を手がけたスタッフによる緻密で美しい映像で表現。『シン・ゴジラ』は、ゴジラ=災害が起きたときの政府の対応などにリアリティーを持たせつつ、困難に正面から立ち向かう姿を描く。『おそ松さん』は、個性の違う6つ子が織りなすギャグあり兄弟愛ありの物語や、愛らしいキャラクターデザインが支持された。

そして、その魅力が幅広い層へ波及したのは、SNSを中心とした口コミ効果が大きかった。『君の名は。』は、監督の一般への知名度が低いことなどを考慮して4万人以上の大規模な試写会を開催。公開前から作品の魅力を積極的にアピールした。一方、『シン・ゴジラ』はゴジラのビジュアルを公開まで徹底的に隠し、『おそ松さん』も6つ子がイケメンキャラになる「F6」など話題になりそうな情報はあえて放送前に出さなかったという。アプローチは正反対だが、いずれも口コミでの拡散を狙った戦略が奏功したといえるだろう。

これまでは消費者の嗜好が細分化し、パーソナルなメディアであるSNSが普及したことで、ヒットの規模は小粒化する傾向にあると言われてきた。しかし、Twitter、Facebook、LINEなど多様なツールがすっかり定着し、その利用方法も成熟。むしろ、今は力を持ったコンテンツであれば、SNSによりその規模を大きく広げられる環境が整ってきたことを、この3作品のビッグヒットは示しているといえる。

今や、その拡散力が及ぶのは国内だけの話ではない。英・ロンドンのウェンブリーアリーナで日本人として初めて単独公演を開催し1万2000人を集めたBABYMETAL、YouTubeの週間再生回数ランキングでこちらも日本人初の1位を獲得したピコ太郎など、16年は海外でこれまでよりもさらに高いレベルで評価される才能が出てきた年でもある。

ジャンルや国の壁をネットの力を使って越え、さらに大きなヒットを生み出す。振り返れば2016年は、そんな“新メガヒット時代”の幕開けの年として位置付けられるのかもしれない。

(注)文中の映画の興収は編集部調べ。

2016年のヒット番付選考基準
テレビ番組、音楽、映画、本、ゲームソフトなど、オールジャンルのエンタテインメントソフトを対象に、セールス(視聴率、パッケージ売り上げ、イベント動員など)、新規性(エンタ界にとって、自身にとってどれだけ新しい取り組みをしたか)、社会影響度(メディアへの露出、ファンやユーザーへの影響はどれくらいあったか)などに基づき、ヒットの度合いを評価した。

(日経エンタテインメント! 山本伸夫)

[日経エンタテインメント! 2017年1月号の記事を再構成]

日経エンタテインメント! 2017年1月号


出版 : 日経BP社
価格 : 750円 (税込み)


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