自筆メモを瞬時にデジタル化 手書き派注目のノートPC最新2in1パソコンYOGA BOOKを試してみた

ノートパソコンとしてもタブレットしても使えるYOGA BOOK。だがもっとも魅力を感じたのは「手書きとデジタルの両立」だった
ノートパソコンとしてもタブレットしても使えるYOGA BOOK。だがもっとも魅力を感じたのは「手書きとデジタルの両立」だった

パソコン(PC)やデジタル好きのパワーユーザーから熱い注目を集めている「YOGA BOOK」(ヨガブック)。ノートパソコンとしても、タブレットとしても使える「2in1」というタイプだが、実際に使用して感じたのは、ビジネスに役立つ新しいデジタルデバイスとしての可能性だった。

これまでにないキーボードを採用

以前はデスクトップとノートに二分されていたWindowsデバイスだが、最近、デスクトップPC、ノートPC、タブレットPC、そしてノートPCとタブレットPCの中間である2in1と、ジャンルが広がってきている感がある。

2in1というジャンルに属するのは、いわゆる、メインのコンピューターとしても、モバイルに便利なタブレットとしても使えるジャンルの製品の総称で、一般的にはタブレットPC+キーボードのスタイルを持つものを示すケースが多い。マイクロソフトのSurface BookやアップルのiPad Proなどの影響で、2in1の製品は広く一般に認知されてきているようだ。

そのジャンルで、特にパワーユーザーと呼ばれる人たちの関心を集めているのがレノボジャパンから発売された「YOGA BOOK with Windows(以降、YOGA BOOK)」だ。これまでにないキーボード「Halo(ハロ)キーボード」を採用し、従来とは異なる2in1に仕上がっているという。実際に使用してみると、たしかに新しい可能性を持つと感じさせるデジタル機器だった。

キーボード一体型なのに10型タブレット並みの大きさ

YOGA BOOKは10.1型ISPパネルを搭載した2in1。サイズ的には9.7型のiPad Proよりも一回り大きい程度だ。キーボードは分離しないが、重量は690gと軽量なので、10型タブレットと比べても大差のない大きさに収まっている。軽量にもかかわらず、直線で構成されたボディーはしっかりとした剛性感を持つ。

液晶部とキーボード部は、独特のヒンジで接続されている。適度に液晶パネルを傾斜させればノートPCとしても使えるし、閉じた状態から360度開けば、タブレットPCのように使える。後述するリアルペンを使った手書き入力も使いやすい。

1920×1200ドットの液晶パネルは16:9ではなく16:10。一般的なワイド画面と比べると、縦が少しだけ長い。オフィスツールのように縦にスクロールするタイプのソフトウエアの場合、画面が広く使えるため、こちらのほうが便利というビジネスパーソンも多いのではないか。液晶の発色も十分満足できるレベルで、WebのHD動画コンテンツが問題なく楽しめる。

インテル Atom x5-Z8550 プロセッサーを採用し、フラッシュメモリー64GB、メモリー容量4GBを搭載したYOGA BOOK(直販価格5万2800円 Windowsモデル、税別)

外部ポートは、充電ポートを兼ねたMicroUSB2.0とMicroHDMIの2種。いわゆる通常サイズのコネクターは挿せないので、必要に応じて変換コネクターを用意する必要がある。microSDカードを利用できるため、ストレージ容量を増やすことも可能だ。

MicroSDカードは専用パーツで抜き出す方式だ

何もない板にキーボードが浮かび上がる

YOGA BOOKで最も注目されている点は、「Haloキーボード」だろう。

平面の板の上にキーボードの模様が浮かび上がる、バックライト式のタッチキーボード

何もない平面の板の上にキーボードの模様が浮かび上がる、バックライト式のタッチキーボードだ。フラットな盤面上に浮き上がるキーを打つと、短い振動とほぼ同時に「ピッ」という電子音が鳴る。Android搭載の端末ではおなじみの、いわゆる「打感」があるタッチキーボードといえばわかりやすいだろうか。

キーピッチは18.1ミリほど確保されているので、フルサイズキーボード感覚で扱える。実際にテキストを打ってみたところ、最初は少し戸惑ったが、慣れれば普通のキーボードとほぼ同じ感覚で入力できるようになった。

連続して打っていて気になったのは、独特の電子音だ。静かな室内で操作しているとキーに触れる度に聞こえる「ピピ ピピピピピ ピピピ」という音に戸惑った。このあたりの感覚は、人によっても使う場所でも違ってくるので、自分で調整したほうがよいと思う。

キーボードの中央下には、タッチパッドがある。真ん中の四角い部分がカーソルで左右の細長い部分がクリックボタンになるが、これは慣れないとなかなか使いこなしが難しい。指を置いた時点でクリック扱いになるうえ、右クリック、左クリックが指を置く場所によっては遠くなってしまう。限られた評価期間の間には慣れることはなかった。とはいえ、このあたりは好みと慣れの問題にもなる。液晶パネルを直接タッチして操作することもできるので、それを利用する方法もあるだろう。

キーボードが手書きデバイスに早変わり

Haloキーボードには、普通のキーボードのモード以外にも、手書き入力をサポートする「クリエイトモード」がある。今回、YOGA BOOKを試用してみて、最も便利だと感じたのはこのモードだ。

鉛筆マークのボタン(赤く囲んだ部分)を押すとクリエイトモードになる。こんな感じのスタイルで直接手書き入力できる

クリエイトモードにするとキーを表示していたバックライトが消え、平らなセンサーになる。この上で付属のデジタイザー(スタイラスペン)を動かすと、そのまま手書き入力ができる。

従来のタブレットや2in1では、多くが「手書き入力=液晶パネルをなぞる」という手法だったのに対し、今度のYOGA BOOKは「紙に書いたメモをデジタルコピーする」という方法をとっている。

クリエイトモードで使用するには、対応するアプリケーションが必要になるが、YOGA BOOKには「Windows ink ワークスペース」がプリインストールされているので、これを使えばいい。付箋、スケッチパッド、画面スケッチの3種類のモードがあるので、いずれかを起動し、切り替えたHaloキーボード上で文字を書いてみると、ペン先の動きがそのままディスプレーに表示される。

ユニークなのは、この機能がHaloキーボード上に紙のノートを置いても利用できる点だ。

紙へのメモとデジタル入力が同時に行える

YOGA BOOKにはクリエイトモード専用の紙のノートが付属している。デジタイザーはボールペン機能を持つペン先が選べるので、専用ノートをHaloキーボードの上に載せて、実際に紙のノートにメモを取っていくと、画面でも同じメモが表示される。

つまり、YOGA BOOKを使うと、リアルな紙に書いたメモと、それをデジタルデータ化したファイルが一度に手に入ることになる。これが便利なのだ。

専用の紙のノートとデジタイザーが付属する
専用ノートはこのようにセットして使う。やっぱり専用というだけあって、しっくりくるサイズだ
右側のノートに書いたメモがデジタル化されて左側のディスプレーに表示されている(上はAndroid版、下がWindows版 写真提供 レノボ・ジャパン)

例えば取材をしてそれを原稿にまとめる職業の場合、取材メモをYOGA BOOKで取っておけば、紙のノートに書かれたメモと、それをデジタル化したデータが同時にできる。原稿を書く場合、紙のノートを見ながら書いていくこともできるし、外出先などで取材ノートが手元に無い場合はデジタル化したメモを呼び出せばいい。

実はこの二刀流、現在も工夫しながらやっていることだ。ただし、これまでは取材メモをスキャナーでデジタルデータに変換し、そのデータをパソコンに保存しておく必要があった。ところがYOGA BOOKがあれば、この手間が省けるだけでなく、スキャナーすら不要になる。これは個人的にたいへん画期的なことで、このビジネススタイルを実現できるだけでYOGA BOOKを購入するコストが還元できると思ったほどだ。

市販のレポート用紙を同じようにセットしても入力できた。紙とデジタルデータの両方が一度に作れるのだ

これは、ほかの職業でも応用できるはず。実際、デジタル機器がこれだけ普及した今でも「メモは手書き」という人は意外に多い。

ビジネスパーソンなら、会議の議事録作りに活用してもいい。アイデアが次々と出てくるような活気がある会議だと、ノートPCに直接打ち込むスタイルでは、手書きメモより速度が遅くなる場合が多く、内容が薄くなりがちだ。対策として、会議の様子を録音して後日音声データを聞きながらテキスト化するという方法もあるが、結果的にメモを起こすのに、会議の2倍、3倍の時間がかかることも珍しくない。

YOGA BOOKがあれば、音声データを録音しながら、手書きメモを直接デジタルデータとして保存できる。デジタルデータの出来が良ければ、そのままテキスト化するだけだし、もしメモが読みづらくても、音声データを参考にしながら作成すればテープ起こしをするよりもかなり早く仕上げられるだろう。

学生なら講義ノートをとってもいいだろうし、プライベートで仲間と旅行計画を立てるなんていうときにもデジタル手書きメモは有効な方法だと思う。

紙のメモのメリットはソフトウエアの使い方を覚えなくても記録できることだ。一方、デジタルデータのメリットは、何枚でも複製できるうえに、編集や保存も一瞬ですむという点だ。

「デジタル」の利便性の高さと、感覚的な「手書き」がうまく融合したスタイルこそ、YOGA BOOKとHaloキーボード最大のメリットだろう。クリエイティブモードは、活用次第でデジタルライフがより深く楽しめる可能性を持つと感じた。

5万円台という価格も魅力

個人的には、これまでの2in1には何かが足りないと感じる製品が多かった。スペック(特に画面解像度)が低かったり、タブレットPCに無理やりキーボードを追加したような作りのものや、軽さやデザイン性を追いすぎてボディーが貧弱だったり。

しかし今度のYOGA BOOKは、このクラスとしては十分なスペックに高解像度液晶パネルや強度のある作りを両立させたデザイン、そして手書きとデジタルがうまく融合したクリエイティブモードなど、とてもよくまとまっている印象だ。直販サイトでは価格は現時点で5万2800円。ノートパソコンやタブレットは高価格化が進んでいるだけに、この価格帯に食指が動く人も多いだろう。

YOGA BOOKには、今回ご紹介したWindows10 Home 64bitを搭載した「YOGA BOOK with Windows」モデルのほか、Android 6.0を搭載した「YOGA BOOK」の2種類の基本モデルがある。これに加え、通信機能を持たせたLTE版があり、直販モデルでは全部で4モデルある。発表当初の税抜価格は下記のとおり。

YOGA BOOK (Android版)WiFi-版 3万9800円
YOGA BOOK (Android版)LTE版 4万4800円
YOGA BOOK with Windows WiFi-版 5万2800円★評価機
YOGA BOOK with Windows LTE版 5万9800円
※すべて税別

ちなみに筆者が買うとすると、Windowsの基本モデル、つまり今回の評価機と同じ製品を選ぶ。その理由を挙げるとすると、いつも自分が仕事で使っている環境が持ち出せるということが1つ。その条件にあうのは、Windowsモデルである。

もう1つは、通信環境。Windowsの基本モデルだと無線LAN環境は必須になるが、出張先で使う用途は、メールチェックや簡単なブラウジングがメイン。そうすると通信環境は最低限で十分なので、スマートフォンのテザリングで解決できる。

もちろんLTEモデルでもそれは可能で、テザリングの手間がかからない分、そちらのほうが便利だ。しかし、そのために通信会社と契約する手間がかかる上、月額料金を支払わなければならない。しかも、本体の価格も7000円高い。こういったことを考えると、Windowsの基本モデルが最適だという結論だ。

(ライター 中山一弘/編集協力 マイカ)

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