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全米最長8キロのネコよけフェンス ハワイの野鳥保護

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

全長8キロ余りに及ぶフェンスの設置が、ハワイ火山国立公園でこのほど完了した。目的は、米国で絶滅の恐れがあるハワイシロハラミズナギドリを野良ネコから守ること。ネコを防ぐフェンスとしては全米一の長さとなった。(参考記事:「野外のネコは排除されるべきか、米で議論」)

ハワイ語で「ウアウ」と呼ばれるこのミズナギドリは、公園内にあるマウナ・ロア火山の斜面で、溶岩石の割れ目の奥に巣を作る。高いところでは標高約3000メートルの地点でも営巣が確認されているが、それほどの高度でも、野良ネコはこの鳥や雛を捕食している。巣穴の外で待ち伏せたり、中に入り込んで襲ったりするのだ。

今回設置されたフェンスで、公園内に残ったおよそ50組の繁殖ペアが保護される。ハワイ諸島全体では、約1万5千羽がコロニーを作って生息している。

捕食動物を遮断する保護フェンスが最初に導入されたのは、外来種の大量移入が問題となったニュージーランドとオーストラリアだ。ハワイでは2011年、オアフ島のアホウドリ保護のため、このタイプのフェンスが約620メートルにわたって初めて使用された。今回の保護フェンスは、ハワイの国立公園では5例目となる。

米国立公園局は今回のフェンス設置に当たり、米国魚類野生生物財団、米国魚類野生生物局、米国鳥類保護協会、ハワイ太平洋公園協会、そしてハワイ大学の太平洋共同研究ユニットと連携した。2013年から設置が始まったが、営巣期間の妨げにならないよう、作業できるのは1月から5月の間だけ。高さ約1.8メートルのフェンスは上端がカーブして柔軟に曲がり、ネコが越えられないようになっている。

火山の山頂に近い標高約2400~3000メートルの場所にフェンスを立てるのには多大な労力を要した。資材と作業員は全てヘリコプターで運ぶ必要があった。設置チームはひょう、強風、酷暑や極寒と戦わなければならなかった。

「メンバーが最も苦労したのは設置場所の整備ではないかと思います」と、米国立公園局の生物学者、キャスリーン・ミサジョン氏は言う。「フェンスの基礎が安定するよう、8キロ余りのルート全てで、大きなハンマーを使って手作業で地面を叩いていったのです」

フェンスの完成により、マウナ・ロアにある約2.4平方キロを超す営巣環境が保護される。ミサジョン氏によれば、新たに絶滅危惧リスト入りしたクロコシジロウミツバメやハワイツグミも、今後このフェンスで保護できる可能性があり、現在すでにその役割を果たしているかもしれないという。

ネコたちの大きな影響

ハワイには、米国での絶滅が危ぶまれる種の3分の1が生息している。そして、国内の絶滅の記録には落胆させられる。78%がハワイで起こっているのだ。米国に130種いた固有の鳥類は半分以上が姿を消し、残る種も危険な状態にある。

「不幸なことに、ハワイは米国における絶滅危惧種の首都という、喜べない名誉をたびたび与えられています」と話すのは、米国魚類野生生物財団の上席科学者、スコット・ホール氏だ。

絶滅の大きな原因の一つが外来生物だ。ハワイには、人間が住むようになるまで、コウモリ以外の陸生哺乳類が存在しなかった。今では、シカ、ヤギ、ブタが主要8島の多くで見受けられ、ハワイ島を歩き回る野良ネコは推定で50万匹にのぼる。

過去18年に見つかったハワイシロハラミズナギドリの死骸のうち、72%は野良ネコが原因と考えられている。2013年の研究では、ビデオカメラを設置したハワイシロハラミズナギドリの巣穴14カ所のうち、8カ所でネコの活動が撮影された。全米では、ネコが殺す鳥の数は年間数10億羽とされる。

激しいネコ論争も解決?

野良ネコの保護を訴える人々は、野良ネコの集団が他の外来種同様に根絶あるいは移動させられることに声高に反対している。ハワイ州土地自然資源局が提出した、国有地での野良ネコへの餌やりを禁じる法案は不成立に終わった。法案に関する公聴会にネコ愛護側の人々が多数押しかけ、何時間にもわたって証言をしたことが大きかった。

米国鳥類保護協会のハワイ事業ディレクター、クリス・ファーマー氏は、「ここでは、ネコが主要な捕食者です」と話す。「在来種に与える影響が何であれ、一般市民は外来種に強い懸念を抱いているのです」

ネコの愛護活動家を別にしても、野良ネコの一掃は難しく、時間も費用もかかるだろう。フェンス設置も費用はかさむが、根絶を実施する上での問題を回避できる解決策であり、野良ネコの保護論者たちを憤慨させることもない。ネコがフェンスを越えるのに使える草木を刈り込むなど、少しの維持管理を除けば、費用がかかるのは通常、設置時だけだ。

この国立公園のフェンスが功を奏するかどうか、判断するのはまだ早い。しかし2004年には、ハワイガンの営巣環境保護と資材や設置方法の実証を兼ねて、小規模な試験的フェンスが設置された。現在、フェンス内にはガンが毎年戻ってきており、ネコの存在もネコによる捕食も記録されていない。

「保護は実際に成功しています」とファーマー氏は言う。「ハワイで進行中の取り組みは、決して負け戦ではありません」

(文 Jackie Snow、訳 高野夏美、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2016年11月22日付]

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