マネー研究所

日経マネー 特集セレクト

50代は増やす、60代は守る 達人のポートフォリオ

日経マネー

2016/12/26

PIXTA
日経マネー

定期的な現金収入があり投資期間も長い50代と、リタイア後の60代では、資産運用の目的やスタンスが変わってくる。個人向け資産運用支援サービスを手掛けるガイアの中桐啓貴さんに、各世代の投信ポートフォリオを聞いた。

「50代は老後生活への準備期間と割り切って、資産を着実に殖やしながら運用スキルを磨くことを考えましょう」というのは、独立系ファイナンシャルプランナー会社、ガイアの中桐啓貴社長。資産運用は60歳や65歳で終わりではなく、一生続けていくもの。リタイア後の生活を支える運用の「原資」をつくる、大事な期間が50代だ。

50代半ばならリタイアまでにはまだ10年程度の期間があり、仕事の収入もあるので、ある程度のリスクを取って老後資金づくりに取り組める。基本となるのは、投信による国際分散・積み立て投資だ。

下の円グラフが、ガイアが50代向けに提案する投信ポートフォリオの一例。この配分を目安に運用資産を割り振り、積み立てていく。年率の期待リターン(利回り)は5%程度。予想リスクは10%強だ。初期投資500万円で毎月5万円以上の積み立て投資なら、利回り5%として10~15年で2000万円の老後資金をためられる。

リスクが10%強ということは、年間に最大2割程度(リスクの2倍)の値下がりはあり得ると考える。この一時的な資産の減少を許容できるのであれば、このポートフォリオで運用してOKだ。10~15年の投資期間があれば、一時的な損失は取り戻せると考える。

運用資産のうち約6割を国内外の株式投信に振り向けることで、高めの利回りを目指す。為替ヘッジのある先進国債券投信を15%入れているのは、資産全体の変動を緩やかにするためだ。マイナス金利下で投資比率を高めにくい国内債券の代替という意味合いもある。

「マルチアセット」とは、相場状況に応じて資産配分を随時変更する運用スタイルのバランス型投信のこと。「トレンド・アロケーション・オープン」や「BNYメロン・リアル・リターン・ファンド」などだ。こうした投信も、資産全体の増減をマイルドにする緩衝材になる。

国内外の株式や債券では、市場平均並みの成績を目指す低コストのインデックス型投信を使うのが基本だが、「良好な実績としっかりした運用哲学のあるアクティブ型投信も半分くらい組み入れて、プラスアルファの収益を狙ってもいいでしょう」と中桐さん。

特に株式クラスでは、市場平均を上回る実績を残す投信も少なくないので、運用の一部に取り入れるといいだろう。また、価格変動を抑えた銘柄選定を行う低ボラティリティータイプの投信を使い、リスクの抑制を図ってもいい。

■定期収入は実力分配型から

こうして50代で殖やした老後資金が、60代以降の生活を支える。

リタイアで年金以外の収入が乏しくなると、毎月の生活費の一部を運用資産で補う必要が出てくる。そこで考えたいのが、下図にあるような「コア資産」と「インカム資産」の2分割だ。資産の役割を明確に分けて運用していく。

コア資産とは、老後も中長期で育てていくための資産。長生きリスクに備える資産ともいえる。50代のポートフォリオよりもリターンとリスクを多少抑えめにして、国際分散投資を続ける。

そして、残りの半分がインカム資産。生活費の足しとして、分配金を得るための資産だ。基本的には、毎月分配型投信を用いる。

ここで注意したいのは、「実力に見合った分配金を出している投信を選ぶこと」(中桐さん)。シニア層に人気が高い外国REIT(不動産投信)の毎月分配型投信のような、高分配を続けて基準価額がどんどん下がっている(資産を取り崩している)投信ではなく、運用で得た収益に見合った分配金を着実に出す投信を選びたい。

上図のインカム資産は、実力分配型投信を3本組み合わせた例。投資先の資産クラスを分散した方が、やはり安定運用につながる。

■この人に聞きました
中桐啓貴さん
FP法人ガイア社長。山一証券、メリルリンチ日本証券を経て、米国留学しMBA(経営学修士)を取得。帰国後に独立し、FP法人ガイアを設立。

(日経マネー 小谷真幸)

[日経マネー2017年1月号の記事を再構成]

日経マネー 2017年2月号

著者 :日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 730円 (税込み)


マネー研究所 新着記事

ALL CHANNEL