宴会の季節到来 酔わない飲み方、7つのウソ・ホント

日経Gooday

飲み会シーズンを元気に乗り切る飲み方のコツって?(c)PaylessImages-123rf
飲み会シーズンを元気に乗り切る飲み方のコツって?(c)PaylessImages-123rf
日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

お酒を飲む機会が多いこの季節。大いに飲んで楽しみたいけれど、悪酔いや二日酔いはしたくない、という人は多いだろう。そんな皆さんのために、ちまたで語られる、酔わない飲み方、二日酔いにならない飲み方に関する噂が、ウソかホントかを取材を基に整理してみた。これで安心して飲み会に参加できるぞ。

噂その1 空きっ腹で飲むと酔う
答え ホント!

通常、体の中に入ったアルコールは、約20%が食物とともに胃から、残り80%が小腸から吸収された後、肝臓へと運ばれ代謝される。食物が消化されるまでのあいだ胃の幽門(胃の出口)は収縮しており、アルコールも小腸へすぐに流れず胃に留まるため、吸収も遅れる。

しかし、空腹時にお酒を飲むと、消化される食物がないため、アルコールは胃を素通りしてほとんどが小腸に流れ込み、アルコールの吸収が早くなってしまう。そのため、空腹でお酒を飲むと、酔いやすいというわけだ。このとき、飲んだお酒がアルコール度数の高い、濃いものなら、なおさら急激に血中のアルコール濃度は高くなり、酔いやすくなる。

医師で薬局経営者でもある狭間研至さんは、「お酒を食事やおつまみと一緒にとると、アルコールが胃に留まる時間が延びるため、吸収が緩やかになり、血液中のアルコール濃度が急激に上がるのを抑えられます。また、お酒だけを飲んでいる場合に比べ、飲むペースも抑えられるので一石二鳥です」とアドバイスする。

噂その2 枝豆、焼き鳥は酔い防止にもなる
答え ホント!

では、どんな食べ物が良いのだろうか。ビールのおつまみの代表選手といえば枝豆。実はこれは理にかなっている。というのは、肝臓の機能がしっかり働くには十分なたんぱく質が必要だが、枝豆=大豆は「畑のお肉」といわれるほどたんぱく質が豊富な食材で、100gに約12gものたんぱく質を含んでいるからだ。

動物実験では、高たんぱく質のエサを与えられたラットでは、血液中のアセトアルデヒドの量が増えにくいという報告もある。枝豆と同じようにたんぱく質が豊富な焼き鳥などの肉類、刺し身などの魚、卵料理もお薦めだ。

また、タコやイカ、ホタテ、シジミといった魚介類には、たんぱく質のほか、タウリンという成分が豊富に含まれる。タウリンは、胆汁の分泌を促したり、アルコールの代謝に必要な酵素の作用を助けたり、肝細胞の再生を促進する作用があるといわれている。その意味でもお酒のお供にふさわしい食べ物といえる。

アルコールの代謝過程では、ビタミンやミネラルも失われやすい。それらを補給するには、サラダやフルーツなどをとるといい。

一方、「飲む前に牛乳を飲んでおくと、胃に膜ができてアルコールの吸収が抑えられる」という噂もあるが、これは間違い。そもそもアルコールの分子はごく小さく、牛乳で膜ができたとしてもアルコールはそのすき間を通過して吸収されてしまう。「牛乳の膜がアルコールの吸収を抑えるというより、アルコールの刺激で胃壁が荒れるのを和らげる効果が期待できるということです」と狭間さん。

ただし、牛乳にはたんぱく質も多いため、前述したように、アルコールの代謝を促す効果は期待できそうだ。酔い防止ではなく、胃粘膜を保護する効果を望むなら、牛乳と同様に脂肪分を含むチーズやナッツ、レーズンバターなどもいい。

噂その3 水を飲みながらお酒を飲めば悪酔いしにくい
答え ホント!
お酒を飲むときは水をチェイサーにすることを忘れずに(c)Martin Damen-123rf

「お酒を飲むと、尿がたくさん出るため脱水状態になりやすく、それが頭痛やめまいなどの原因になります。これを防ぐには、飲酒時には十分な水分補給が大切です」と三菱UFJニコスの産業医、中野里美さんは話す。

特に、ウイスキーや焼酎など、アルコール度数が高い酒の場合、血液中のアルコール濃度が急激に上昇しやすく、肝臓の負担が大きくなるため「チェイサー」として水を一緒に飲むのは不可欠といえる。

自分が脱水しているかどうかの目安としては、頭痛の有無のほか、「おしっこの色」があるという。狭間さんは、「脱水状態になると、おしっこの色が濃くなる。そうならないよう意識して水分をとってほしい。お酒を飲んでいるときにはトイレでおしっこの色が、透明から薄い黄色であることを時々確認するといいでしょう」とアドバイスする。

最近では、アルコールと一緒にトマトジュースを飲むとアルコールの代謝が促進されるという研究結果も発表されている。

焼酎100mLとトマトジュース約480mL、または焼酎100mLと水480mLを飲む実験で、トマトジュースを飲んだグループの方が血中のアルコール濃度が低くなるほか、血中アルコール濃度が低下するスピードも速まったという。トマトに含まれるブドウ糖、果糖などの糖類と、アラニン、グルタミンなどのアミノ酸などがアルコール分解酵素の活性を高めるためといわれているが、詳細なメカニズムはまだわかっていない。

ちなみに、ウオツカをベースとするトマトジュースを用いた「ブラッディマリー」というカクテルがあるが、これは酔い予防も考えた科学的なお酒といえるだろう。

噂その4 チャンポンすると二日酔いになりやすい
答え ウソ!
複数の種類のお酒を飲むこと自体は二日酔いとは関係ない(c)ximagination-123rf

「昨日はチャンポンしちゃったから二日酔いがひどいよ」―。そんな会話を耳にすることもしばしば。しかし、二日酔いのなりやすさと、複数の種類のお酒を飲む“チャンポン”飲み自体に関係はない。

二日酔いの大きな要因は、自分の肝臓のアルコール処理能力を超えて飲酒してしまうかどうかにある。何種類のお酒を飲もうと、適量を守っていれば基本的には二日酔いにはならないのだ。

では、なぜ“チャンポン”飲みをすると二日酔いになりやすいと感じてしまうのか。「お酒の種類を変えると、飲み口が変わるために、おいしく感じます。ついついお酒が進んでアルコールの摂取量自体が多くなってしまうのです。また、いろいろと飲んでいるうちに、自分がどれだけ飲んだのかわからなくなってしまい、適量を超える危険性も高まります」と中野さんは説明する。

また、飲むピッチが早い人は血液中のアルコール濃度が上昇しやすく、酔いやすい。いろいろなお酒を楽しみたいときには、まずはゆっくりと飲むように心がけ、自分がどれだけ飲んだかを覚えておくことが重要だ。

噂その5 飲酒後のサウナでアルコールが抜ける
答え ウソ!

「お酒を飲んだ後に、サウナや温泉に入ると、発汗作用でアルコールが抜けてスッキリする」という噂があるが、これは大きな間違い。「飲酒後のサウナや入浴は、発汗によりさらに体の脱水を進め、かえって血中のアルコール濃度を高めることにもなります。血流が乱れて気分が悪くなったり、脱水が脳卒中や心筋梗塞などの重篤な疾患を引き起こす原因にもなりかねないので厳禁です」と中野さん。

また、酔って足下がおぼつかない時に入浴すれば、転倒の危険もある。湯船で寝てしまえば溺れる可能性もある。飲酒後の入浴は命に関わるほど危険だ。

同様に、ランニングやサッカーなどの激しい運動を行った直後の飲酒も危険だ。心拍数が高まり血流が良くなっているため、アルコールが回りやすい。また、アルコールが代謝され、無毒な炭酸ガスと水になるまでには筋肉も使うため、疲労の回復が遅れる可能性もある。

お風呂は「飲んだら入るな」。ランニングは「走ったら飲むな」である。

噂その6 月経中、女性は酔いやすい
答え ホント!

酔いやすさは、その日の体調によっても大きく左右される。その一つが、女性の月経周期だ。一般に、排卵後から月経中にかけては、体全般の機能が低下しがち。アルコールを代謝する力も弱くなるので、いつもと同じ量を飲んでも酔いやすくなる。

また、排卵後は、プロゲステロン(黄体ホルモン)という女性ホルモンが多く分泌されるが、このホルモンの作用でイライラや抑うつ感、やる気が起きないなど、精神的に不安定な症状を起こす月経前症候群(PMS)になる人も少なくない。抑うつ感を振り払おうと、ついつい普段よりお酒の量が増えてしまいがちなことも、悪酔いや二日酔いを助長する原因になる。できるだけ月経中の飲酒は控えめにしたい。

このほか、男女問わず、睡眠不足や、風邪などで体調不良の時も、アルコールを代謝する力が弱くなり、酔いやすく、二日酔いになりやすいので注意が必要だ。ストレス解消のためにお酒を飲むという人も多いが、そういった精神状態のときには深酒してしまいがちに。そんなときこそ、適量で早めに切り上げるのが肝心だ。

噂その7 長年飲み続けるとお酒に強くなる
答え 半分ホント!

お酒の強さは、体の中でアルコールが代謝されてできるアセトアルデヒドを代謝する能力の高さ(活性型、低活性型、非活性型)によって決まる。このうち、活性型の人は飲んでもすぐに赤くなることはなく、非活性型の人はほとんどお酒を飲めない。

一方、低活性型の人は、お酒を飲んでいるうちに、だんだんと酒量を上げても酔いにくくなってくる。つまり、「トレーニングで強くなる」わけだ。これは、飲酒を続けるうちに、肝臓でのアルコールの代謝速度が速くなっていくのが一つの理由だが、それに加え、脳のアルコールに対する反応のしやすさが変化することも影響している。つまり、脳の神経がアルコールに順応し、アルコールの酔いに対する耐性が上がるのである。

こうしたアルコールに対する反応のしやすさは、アセトアルデヒドを分解する酵素以外の遺伝的な影響も大きいとされている。活性型の人(顔が赤くならない)でも、すぐに酔ってしまう人がいる一方、赤ら顔なのに大量に飲んでもケロッとしている人がいるのはこのためだ。

なお、アルコールに反応しにくく、若い頃から酒に強い人は、逆にアルコール依存症のリスクが高いといわれているので注意が必要だ。

(ライター 武田京子)

この人に聞きました

中野里美(なかの さとみ)さん
三菱UFJニコス統括産業医。1990年、東京女子医科大学卒業後、慶応義塾大学医学部内科学教室に入局。都立広尾病院などを経て、2007年より三菱UFJニコスの統括産業医として社員の健康管理を行っている。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会専門医、日本医師会産業医、労働衛生コンサルタント。
狭間研至(はざま けんじ)さん
医師、ファルメディコ代表取締役社長。1995年大阪大学医学部卒業後、大阪大学医学部第一外科に入局。国公立病院で外科、呼吸器外科医として診療に携わる。2002年に医学博士受領後、現在は、医療法人嘉健会思温病院院長として地域医療に取り組むとともに、在宅療養支援に特化した薬局を運営するファルメディコの代表取締役社長を務める。薬剤師あゆみの会、日本在宅薬学会理事長。

[日経Gooday 2014年11月21日付の記事を、2016年12月3日に更新]

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