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大洗の割烹旅館が名所に 新・聖地巡礼(下)

アニメ「ガールズ&パンツァー」で町おこし

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NIKKEI STYLE

2015年11月の公開から1年ものロングラン上映を続ける大ヒットアニメ「ガールズ&パンツァー 劇場版」の聖地、茨城県大洗町を訪ねた。大洗町は「ガールズ&パンツァー(ガルパン)」を活用した町おこしに積極的に取り組み、繰り返し巡礼に訪れるリピーターも多いようだ。

4カ月先まで予約で埋まる

「ガールズ&パンツァー」は、2012年10月から翌年3月までテレビ放送され、昨年、劇場版が公開された。ストーリーは、女子高生たちが「戦車道」という架空の競技の全国高校生大会に出場し、優勝を目指すというものだ。設定は異色で、戦車道は古くから華道や茶道に並んで女性のたしなみとされ、様々な流派の家元も存在する。

ヒロインの西住みほは、西住流家元の次女。県立大洗女子学園戦車道チームの隊長として指揮を執り、臨機応変に大胆かつ鮮やかな手腕を発揮する。なお、戦車道では、あくまでも競技の機材として戦車を運用し、ルールにのっとって対戦することになっている。

こうした奇想天外な設定がある半面、劇中の背景に描かれた町並みは、現実の大洗町をかなり忠実に再現している。どのくらい似ているのか。スマートフォンで実際の町並みとアニメのキャラクターをAR(拡張現実)技術を使って重ねることができるアプリ「舞台めぐり」を活用して、次の劇中シーンと現地の写真を見比べてみた。

カメラのアングルが異なるので少しわかりづらいかもしれないが、肴屋本店という割烹(かっぽう)旅館の外観やその2階部分にあるエアコン室外機までもが細かく描き込まれている。ガルパンファンが現実の大洗の町に親しみを持つ理由の一つになっている。

ちなみにこのシーンは聖グロリアーナ女学院との試合(テレビ放送第4話)で、大洗町内の市街地戦に突入したときのものだ(住民は観戦会場に避難しているもよう)。大洗女子学園チーム西住隊長の戦車が対戦相手の戦車に激しく追い回されている。この後、相手の戦車1台がカーブを曲がりきれず、肴屋本店に突っ込んで店が壊れてしまった(劇場版でも再び戦車が突入した)。これがウケて、肴屋本店はガルパンの聖地の一つとして数えられるようになったという。

ファンの間で肴屋本店の人気は高く、同店によれば「宿泊客のほとんどはガルパンファン」とのことだ。週末や休前日の予約は4カ月先まで埋まっている。特にガルパン関連の大きなイベントが開催されるときの反応は早く、開催日が発表されるやいなや、前日の宿泊予約が埋まるという。

キャラクターの絵馬を奉納

海沿いの小高い丘の上にある大洗磯前神社も、テレビ放送と劇場版の両方に登場し、ガルパンの聖地として人気がある。劇場版では、写真正面の鳥居の向こう側にある、かなり急な階段を果敢に戦車で下っていくシーンがある。

ここを訪れた日は、大洗の郷土料理である「あんこう鍋」のシーズンを前に、神前で「鮟鱇奉納包丁式」という儀式が行われ、にぎわっていた。ガルパンに鮟鱇奉納包丁式は登場しないのだが、見学者の中にはガルパンファンと思われる人も少なくなかった(ガルパン関連の服を着ていたり、関連グッズを持っていたりする)。

大洗にはガルパン巡礼のリピーターが多い。話を聞いてみると「何度も大洗に来るうちに、ガルパンだけでなく、大洗そのものも好きになっていく」という。

栃木県から10回以上通っているというファンは、「町ぐるみでガルパンを盛り上げているし、商店街の人たちもやさしい。毎度、関連グッズを買って帰るのが楽しみの一つ。ガルパンに直接関係ないイベントでも、大洗で何かあれば来るようになった」と話す。

さて、この神社の絵馬奉納所に目を向けると、そこは巡礼者の絵馬であふれていた。願い事を書くというより、ガルパンのキャラクターたちを描いて奉納している。

よく見ると、西住隊長の誕生日を祝う絵馬が目立った。たとえば「大洗と西住殿のますますのご発展を願って みほ誕 2016.10.23」というメッセージが手描きイラストとともに書かれていたりする。

実は取材日の1週間前(10月23日)は西住みほの誕生日という設定になっていて、大洗で誕生日イベントが開催されていた。当日は日曜日だったこともあり、大勢のファンが参加したという(実際に参加したファンの話では「2000人くらいと聞いている」という)。こうしたファンが絵馬を残していったのだろう。

大洗では、西住みほ以外の人気キャラクターたちにも誕生日イベントがあり、そのほかにも大小様々なイベントが開催されている。町ぐるみでガルパンを盛り上げているので、商店街にいくと店先にはキャラクターの等身大立て看板が並び、「この店でしか買えない」とか「〇〇個限定」といったオリジナルの関連グッズを販売していたりする。

横浜からクルマで3時間かけて通っているというファンは、まさにこうした部分を楽しみに通っているという。「大洗には、この1年で20回くらいは来た。ほかの町にも聖地巡礼に行ったことがあるが、町が面白くなければ、これほどは通わない。おいしいものもいっぱいある」と話す。

来年12月から、ガルパンの"最終章"となる新作が全6章構成で順次イベント上映される。大洗の聖地巡礼はまだまだ続く。

「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の舞台・秩父へ

最後に紹介するのは、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(「あの花」)の舞台となった秩父(埼玉県)である。この作品がオリジナルアニメとしてテレビ放送されたのは2011年の春。その後、2013年8月に劇場版が公開されてから3年たつが、いまだ巡礼者が絶えない「聖地」となっている。

「あの花」は、小学生だったころ、「超平和バスターズ」というグループを結成して遊んでいた仲良し6人組の話である。ある日、山の中の秘密基地で遊んでいたとき、気まずい出来事が起こる。秘密基地を出た後、出来事の中心にいた本間芽衣子(あだ名は「めんま」)が不慮の事故で死んでしまい、残りの5人は複雑な気持ちを抱えたまま疎遠な関係になってしまう。

皆が高校生になった夏、超平和バスターズのリーダー格だった宿海仁太(あだ名は「じんたん」)のもとに、めんまがゴーストとなって現れた。「お願いをかなえてほしい」という。そこから、止まっていた超平和バスターズの時間が再び動き出す――というストーリーだ。感動作として人気を呼んだ。

秩父を訪れるなら、西武秩父駅前の秩父観光情報館で「めんまのおねがいさがし」という聖地案内のパンフレットを配布しているので、はじめに入手しておくといいだろう。週末は50人以上、平日でも20人くらいがパンフレットをもらいに来るという。

「あの花」の聖地として一番人気があるのは、テレビ放送のオープニングで毎回登場する「旧秩父橋」だという。超平和バスターズの仲間がよく遊んでいた場所とされている。この橋の下にある少し急な階段も、劇場版のポスターの背景などに使われていて人気がある。

オープニングで描かれたこの橋の形はとても印象的で、現地を訪れる前から楽しみにしていた。実際に訪れてみるとまさにこの絵の通りだったのだが、橋の全体像はイメージと少し違っていた。次の写真でわかるだろうか。

実はこの橋のすぐ隣にもう1本橋がかかっている。国道が通る新しい「秩父橋」だ。アニメでは、小学生の目の高さから橋を描いたのだろう。新しい秩父橋の上部が旧秩父橋(現在は遊歩道)と重なって、1本の橋であるように見えていたのだ。劇中にも、それを示唆するシーンがあるのだが、実際に訪れてみて「こういうことだったのか」と、ちょっとした発見をした気分になった。

西武秩父駅から旧秩父橋に向かうバスの中でも小さな発見があった。このバス路線沿いには、あの花の聖地が2つあり、最寄りの停留所に差しかかったときだけ、車内アナウンスが「めんま」の声に変わるのだ。あとで西武観光バスの秩父営業所で尋ねてみたところ、「札所十七番入り口」というバス停の手前では、以下のようにアナウンスしていると教えてくれた。

「(チャイム)次は、札所十七番入り口、札所十七番入り口、だよ♪ 定林寺に行きたい人は、ここで降りましょう。走行中は、座席の移動はしないでください。とーっても危ないよ♪」

あの花ファンにはうれしい演出だろう。

「聖地巡礼」のモデルケースに

次に向かったのは、同じバス路線沿いにあるもう一つの聖地「定林寺」である。秩父三十四カ所観音霊場の十七番札所になっていて、正真正銘の巡礼者が訪れる。ここも小学生だった超平和バスターズがよく遊んでいた場所であり、ゴーストになっためんまの願いをかなえようと、高校生の超平和バスターズがたびたび集まった場所でもある。

この写真を撮っているとき、背広を着た3、4人の男性がやって来て、くしくも同じ舞台めぐりのアプリを使って写真を撮り始めた。声をかけてみると、関西にある自治体の観光課と鉄道会社の方々だった。聖地巡礼のモデルケースとして「秩父を視察に来た」という。

実は、この関西の自治体の町が人気アニメ作品の舞台となっていて、来年、舞台めぐりにこのアニメ作品のコンテンツを追加するらしい。すでにスタンプラリーのようなアナログのイベントは行っているが、やはり時代はデジタルだと感じていて、舞台めぐりに期待していると話していた。

聖地の地元が巡礼者の受け入れに積極的であることは、巡礼者にとっても居心地よく、喜ばしいことだろう。

さて、視察団を見送った後、境内の脇にある絵馬の奉納所に目を向けると、ここでもあの花巡礼者の絵馬がずらっと並んでいた。定林寺では、あの花のキャラクターが描かれた絵馬を奉納できる。中には「北京から」と記された絵馬もあり、「ずっと探しているんですが、今、やっとめんまを見つけた。ありがとう」と書いてあった。

※AR写真に含まれる「ガールズ&パンツァー」のキャラクター画像の著作権は、GPFP、GPPに帰属する。同じく「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」のキャラクター画像の著作権はANOHANA PROJECTに帰属する。

(渡辺 享靖)

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