調整目立つホテル系REIT 押し目買いのチャンス?

日経マネー

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異次元金融緩和で息を吹き返したREIT(不動産投資信託)。旺盛な物件取得や新規上場など関連の話題も多い。これからの投資のチャンスはどこにあるのか、不動産証券化コンサルティングを手掛けるアイビー総研代表の関大介氏が解説する。

トランプ候補が米大統領選挙を制したことで、REIT価格も短期的には株価の動きに揺さぶられる局面がありそうだ。ただ、Brexit騒動の時もそうだったが、REITのディフェンシブ性が評価されれば、いずれ落ち着きを取り戻すと見ている。

REIT価格は2016年4月以降、調整色を強めており、東証REIT指数は10月5日以降、1800ポイントを割り込んで推移している。中でもホテル系REITの下げ(利回り上昇)が目立つ。これは押し目買いの好機と見ていいのだろうか。

全上場REITのうち、4月末時点で上場第2期以降であり、10月末時点で上場している50銘柄の単純平均利回りは、4月末から10月末までの間に0.46%上昇している。同期間中、ホテル系4銘柄の利回りは、インヴィンシブルの2.89%上昇を筆頭に、いちごホテルリート1.96%、ジャパン・ホテル・リート1.35%、星野リゾート・リート0.47%と、いずれも平均を上回る上昇を示している。また、10月末時点の単純平均利回り(4.12%)を下回る銘柄は、星野リゾート・リート(3.68%)だけだ。

投資家は収益悪化を嫌気

ホテル系銘柄が目立って調整しているのは、今春以降、ホテルの客室稼働率悪化が明確になってきたためだ。宿泊料金の引き上げで利用者に敬遠された可能性が高い。

ホテル系銘柄は、ホテルの売り上げや収益によって賃料が変動する契約をテナントと締結している比率が高い。前述の利回りが1%以上上昇している3銘柄は、賃料全体に占める変動賃料の割合が36~42%と高い。投資家はホテル市況の悪化によって分配金減少リスクを嫌気しているとみられる。

2016年6月に国や東京都が打ち出した規制緩和の影響も無視できない。東京都では一定の条件を満たせば、今後、宿泊施設の容積率を最大500%上乗せすることが可能となる。投資家は将来的な客室の供給過剰リスクも意識するようになっている。

短期的に見ると、ホテル系銘柄への投資は減配リスクを意識する必要はありそう。また、大幅下落を嫌気した投資家の「ロスカット」で投資口価格が続落する可能性も高い。だが、割安感が出ているのも事実だ。

判断は難しいところだが、訪日観光客数の増加傾向は続いており、客室稼働率の悪化や宿泊単価の下落がいつまでも続くとは考えにくい。また、客室稼働率の高い物件や、容積率緩和の影響を受けにくい地方物件の保有比率が高い銘柄の中には、ホテル系ということで一緒くたに売り込まれている銘柄もある。2年以上といった長期的な視点での投資を考えるなら、今のホテル系銘柄は投資妙味がある状態と言えそうだ。

関大介(せき・だいすけ)
不動産証券化コンサルティングおよび情報提供を手掛けるアイビー総研代表。REIT情報に特化した「JAPAN-REIT.COM」(http://www.japan-reit.com/)を運営する。

[日経マネー2017年1月号の記事を再構成]

日経マネー2017年1月号

著者 :日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 750円 (税込み)


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