毎月分配型の減配相次ぐ 投信マネーの流れに転機かQUICK資産運用研究所 清家 武

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新陳代謝が活発な投資信託市場では、過去のファンドより新しいファンドが注目される傾向があり、時代とともに売れ筋ファンドは大きく変化を遂げてきた。足元では大型の毎月分配型ファンドで分配金を引き下げる動きが広がり、毎月分配型に集中していた資金の流れが変化する可能性がある。

毎月分配型が席巻

過去10年間の投信市場を振り返ってみた。

2007年末の純資産総額の首位は「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」で、2位は「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」。両ファンドはそれぞれ「グロソブ」「グロイン」と呼ばれ、毎月分配型ファンドの代表格になった。

「グロソブ」の純資産は5兆円を超え、「グロイン」は2兆円を突破。両ファンドが残高ランキング(各年末時点)の1位、2位を占める状態は、09年ごろまで続いた。

同時期には「マイストーリー分配型(年6回)Bコース」「財産3分法ファンド(不動産・債券・株式)毎月分配型」「GW7つの卵」などのバランス型ファンドも人気化した。

しかし、08年のリーマン・ショックが投信市場にも大きく影響を及ぼす。多くのファンドの運用成績が悪化し、大型ファンドから資金が大量に流出した。

一方で、09年以降の景気回復時の上昇相場では「野村グローバル・ハイ・イールド債券投信(資源国通貨コース)毎月分配型」などの通貨選択型ファンドがブームになった。

さらに「ブラジル・ボンド・オープン」などのブラジル債券型ファンド、「短期豪ドル債オープン(毎月分配型)」などの豪州債券型ファンドのように価格変動リスクの大きいファンドが好成績を残し、投信市場をけん引した。

10年にはギリシャ危機に端を発した欧州危機が懸念され、12年前半ごろまで不安定なマーケットが続くが、日米の短期金利差が縮小し、為替ヘッジコストが低減したことで、円ヘッジ外債型ファンドなどが人気を集めた。

12年末以降は資金流入が加速

12年末以降は政府、日銀による金融緩和や景気刺激策などを受けて、円安が進行し、日本株相場も大きく上昇。多くのファンドの基準価格が大幅に値上がりし、投信市場への資金流入が加速した。

特に、米国の景気回復傾向が続き、「フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)」「新光 US-REITオープン」などの米国REIT型ファンドや「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」などの米国ハイイールド債券型ファンドが主役になった。

一方で、中国、ブラジルなどの景気減速懸念を受けて、新興国型ファンドから資金が流出。先進国と新興国で、ファンドの人気は二極化した。

15年末の純資産の首位は、14年末と同様に「新光 US-REITオープン」となり、高い分配金を背景に人気を集めた海外REIT型ファンドがランキングのうち6本を占めた。

また、16年11月7日には「フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)」の残高が、14年10月9日以来、残高首位を維持してきた「新光 US-REITオープン」を上回った。

減配で毎月分配型に転機

このように過去10年間の投信市場の中心は毎月分配型ファンドだったが、16年4月以降、大規模な毎月分配型ファンドの減配が相次いでいる。ファンドの収益を超えた分配金の支払いについて金融当局が問題視していることなどが影響しているとみられる。

ファンドは当期の収益や過去の収益の蓄積からだけでなく、「収益調整金」からも分配ができる。収益調整金とは、新たな投資家のファンドの購入(追加設定)によって、既存のファンド保有者の分配可能原資が減らないように設けられた勘定科目だ。購入(追加設定)の多いファンドは収益調整金が膨らみ、分配可能原資が拡大する。その結果、ファンドの収益水準を超えた高い分配金が実現できる。

ただし、分配金が支払われた分だけファンドの基準価格は下がる。投資家は分配金の高さだけに注目するのではなく、分配金を加味した基準価格の値動きを確認することでファンドの運用成績を正しく把握できる。

分配金に対する投資家の理解が進むことで、従来のような毎月分配型ファンド一辺倒という、売れ筋ファンドの傾向に変化がでるかもしれない。

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