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津田大介のMONOサーチ

津田大介 iPhone 7 Plus スマホ2台持ちやめられる

2016/12/7

今回は津田大介氏が「iPhone 7 Plus」を使った感想をお届けする

日本版ではいわゆる「おサイフケータイ」機能が搭載されたiPhone 7 Plus。さっそく入手し、使い込んできた津田大介氏だが、FeliCa機能の使い勝手は予想以上だったようだ。その一方で日本独自仕様であるカメラのシャッター音に関しては「真剣に議論を始める時期に来ているのではないか」という。

■auのiPhoneでドコモのiDが使える

予想より早く1台に集約できるかもしれない。これまでは、iPhoneとAndroidのスマートホン(スマホ)の2台持ちだったのだが、FeliCa機能と防水機能の搭載で2台を持ち続ける理由がなくなりつつある。「iPhone 7 Plus」は取材用のカメラとしても十分使えるレベルになったようだ。僕が入手したのは、新色のツルツルしたジェットブラック。2世代ぐらい前のユーザーには、劇的な変化を感じられる新製品だ。

そもそも、僕がスマホを2台持ちする大きな理由は、いわゆる「おサイフケータイ」、つまりFeliCa機能をスマホで使いたいからだ。これに慣れてしまうと本当に便利で、Suica、楽天Edy、iD、QUICPay、WAON、nanacoなどほとんどの電子マネーや、スターバックスやヨドバシカメラなどポイントカードまで含めて、FeliCa機能を日常的に使っている。数えてみたら、12種類も使っていた。これまでiPhoneにはその機能がなかったので、Androidのスマホも手放せなかったのだ。

僕にとってのFeliCa機能は、時間を買っているイメージだ。仕事柄移動が多く、例えば日中、テレビ番組の収録を終えて事務所に戻り、そのあとシンポジウムやラジオ番組、イベント、講演など動き回る。その合間に空き時間を捻出し、ネットをチェックしてツイッターやメルマガなどの作業も行う。待ち合わせの時間ギリギリまで作業していることも多いため、慌ただしい都内の移動にはたいていタクシーを使うのだが、そのときは必ず、小銭を用意する必要のないFeliCa機能対応の車を探して乗っている。現金を持ち歩かなくてよいし、コンビニや飲食店の支払いもパッとタッチして会計が済む。しかも、履歴がデータで残る。それならクレジットカードでもよさそうだが、カードはデータをやりとりする時間が意外とかかる。パッと触れてすぐ決済が済む、おサイフケータイにはかなわないのだ。だから乗車時にFelica対応のタクシーを探すということだ。

そうした細かい時間節約のためにはFeliCa機能が必須。なので、やむを得ず2台持ちしていたので、今回のApple PayでのFeliCa対応はすごくうれしい。使い始めてみると、まだ全てのサービスに対応しているわけではないが、タクシー乗車時に一番使用頻度の高いNTTドコモのiDが使えることがわかった。iDはSuicaのようにチャージする必要がないので、タクシーのように金額が大きくなる決済に向いている。しかもauのiPhoneで使えるのだから、キャリアの壁も乗り越えてしまった。ほかのサービスも次第に対応していく方向性だろう。一方、もっとも使用頻度の高い楽天Edyは、Apple Payに非対応。Edyに対応したら移行してもいいと思っている。これまでは、全てのサービスにフル対応するまで2台持ちはやめられないかと思っていたのだが、予想より早く、2台持ちをやめて1台に集約できそうだ。

もうひとつ、2台持ちだった理由が防水だ。これまでのiPhoneは防水ではなかったので、ロックフェスの会場などでは雨にぬれることを心配してカバンにしまい込んでいた。日常生活では入浴しながらネットを見ることが多いが、やはりそれもAndroidを使っていた。今回ようやくちゃんとした防水機能になったので、これで安心して風呂場に持ち込める。

■仕事に使えるカメラの完成度

もうひとつ仕事に役立っているのが、カメラだ。取材で撮影した写真をリポートに入れても、違和感がない。iPhoneのカメラは以前から定評があったが、やはりスマホで撮影したことがわかるレベルだった。今回のカメラはまったく見分けがつかない。普通のデジカメで撮るより iPhone 7で撮った方が良いと思える完成度だ。取材のためにコンパクトデジカメを持ち歩いていたが、今後は持ち歩かなくてよいレベルになったと感じた。

中でも2倍拡大モードがうれしい。「iPhone 7 Plus」はレンズが2つ並んだデュアルカメラで、これにより背景がボケた一眼レフっぽい写真が撮影できるのだ。スマホの光学ズームはずっと求めていたもので、これまでのスマホではなかなか表現できなかった「背景ぼかし写真」が簡単に撮影できる。夜景も、少し前の機種だとノイジーになってしまう暗さでも奇麗に撮れる。

簡単に、背景がボケた写真がサクっと撮れる

カメラ機能では、動画の手ぶれ補正も強力だ。これが優秀で、いつも通り歩きながら撮影してもスタビライザーをつけたみたいに安定している。取材に行った先で動画を撮影し、時にはそれを自分の番組でオンエアするケースもあるので、実用に耐える動画が撮影できるようになったのは大きい。スカイプでの中継もiPhoneでOKだ。

オフィスの中を歩き回って動画撮影。手持ちでも、揺れのない動画が簡単に撮影できる

SNSに写真を載せるのが当たり前の今、多くの人が自分の写真を印象的にしたいと思っている。このカメラ目当てでiPhone 7を購入した人も多いだろう。僕もインスタグラムをやっているので、もっといろいろな写真を撮影してみたいと思う。

■ローカル対応だからこそ、国際標準に合わせるべき

ただし、カメラのシャッター音は相変わらず大きい。この仕様は日本だけ。もうそろそろ通信業界が消費者庁や総務省などにも呼びかけて、オフにできるようにしたほうがいいのではないだろうか。盗撮防止のために音が消せないにしても、スクリーンショット(スクショ)を撮るときまで同じ音がする必要はないのではないだろうか。せめてスクショと撮影で切り替えるぐらいのことはしてほしい。子どもの寝顔やペット写真をとろうとしてもシャッター音で台無し、といった話もよく聞く。このガラパゴス仕様については、真剣に議論を始める時期が来ているのではないかという気がする。

画面を保存するのにもいちいち大きなシャッター音が鳴り、周囲の人が振り向くような状況は日本だけ

シャッター音がイヤな人は、これまでだと米国など海外のシムフリー版を買って使う選択肢があった。しかし今回から、Appleはそれぞれのローカル展開を始めている。そのため、米国の iPhone 7を買うと、Apple PayのSuica機能が使えない。Suicaをとるかシャッター音をとるかという選択は結構なジレンマだ。

そもそも盗撮は、スマホの責任という話ではない。デジカメにはシャッター音が消せるものもあるし、Microsoft Pixなど、シャッター音が消せるアプリもある。盗撮行為そのものをシャッター音だけで抑止できるわけではない。監視カメラを強化したり、満員電車にならないよう企業のテレワークを推進するといった、もっと別の視点から解決していくべき問題だし、日本のスマホも国際標準に合わせるべきだ。せっかく撮影機能がここまで良くなったのだから。

●今回のまとめ●

物としての質感、製品の完成度はやはりさすがAppleだと思わせられた。ただ正直なところ、ちょっとさみしい気分を感じたのだが、“驚き”はなかった。以前は新機種を手にするたび、新機能に驚いたり、アプリの起動や動作全体がきびきび速くなっていくといった体感的な差が感じられ、感動したものだ。毎回、新機種に買い替え、前機種が「iPhone 6s Plus」だったこともあって、大きな差が実感できなかったのだ。最近の風潮として、新製品情報が発売前にリークされるのも驚きを減らしているのだと思う。

驚きより実感したのは、必要不可欠な度合いが高まったこと。iPhoneとAndroidの2台持ちで使ってきたからこそ、新iPhoneの良さが良くわかる。Androidも確かによくなってきているのだけれど、細かい使い勝手はやはりiPhoneのほうが上。これまでのiPhoneに欠けていた、防水やFeliCa対応機能といった日常的に欲しかった機能が充実したこともあって、使って満足できる正統な進化をしていると思う。フルのFeliCa対応になったら、そのときこそ、iPhone1台持ちに変えるつもりだ。

価格的には、相変わらず高いApple製品なので、毎年買う必要はないけれど、数世代前のスマホをまだ使っているのなら、買い替える価値はアリ。節目となる機種は買ってみるべきだし、今回の「7」は正統な進化。2世代ぐらい前の機種を使っているユーザーには、劇的な変化を感じられる新製品だと思う。

欲しかった新機能が搭載され、満足の「iPhone 7 Plus」
津田大介(つだ・だいすけ)
ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。「ポリタス」編集長。1973年東京都生まれ。早稲田大学社会科学部卒。大阪経済大学客員教授。京都造形芸術大学客員教授。テレ朝チャンネル2「津田大介 日本にプラス+」キャスター。フジテレビ「みんなのニュース」ネットナビゲーター。一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)代表理事。株式会社ナターシャCo-Founder。メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。ソーシャルメディアを利用した新しいジャーナリズムをさまざまな形で実践。主な著書に『ウェブで政治を動かす!』(朝日新書)、『動員の革命』(中公新書ラクレ)、『情報の呼吸法』(朝日出版社)、『Twitter社会論』(洋泉社新書)、『未来型サバイバル音楽論』(中公新書ラクレ)ほか。2011年9月より週刊有料メールマガジン「メディアの現場」を配信中。

(編集協力 波多野絵理)

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