個人向け国債に妙味 預金代替や現金贈呈も

個人向け国債の人気が高まっている。日銀が導入したマイナス金利政策で銀行の定期預金金利が低下するなか、相対的に金利が高いのが背景だ。一部の金融機関では現金贈呈などの特典も用意する一方、口座管理手数料を求められるケースもあるので注意が必要だ。預金の代替としての役割は期待できるが、同時に投資益も確保したい人は他の金融商品と組み合わせる必要がある。

個人向け国債は固定3年、固定5年、変動10年の3種類がある。最低金利はいずれも0.05%(税引き前)。期間を問わず0.01%まで下がった大手銀行の定期預金より高い。1万円から購入でき、個人投資家にも手が届きやすい。

財務省によると、2016年4~11月の発行額は2兆2260億円と前年同期に比べ56%増えた。個人向け国債は証券会社などを通じて応募し、財務省が翌月に応募額に基づいて発行する。分かりやすく説明すると、個人投資家は翌月発行分の国債を証券会社などに予約するような形になる。

大和証券は4~10月期の個人向け国債の販売額が前年同期の約4倍だった。野村証券も2倍となった。財務省は好調な販売動向を踏まえ16年度の発行計画を当初より約3割多い2兆4500億円に引き上げた。

個人向け国債の発行額の6割以上を占めるのが変動10年だ。変動型は新発10年債の利回りが半年ごとに反映される。マイナス金利の影響で金利は最低保証の0.05%で張り付いているが、金利が上昇すれば金利上昇の恩恵を受けられることが人気の背景だ。

口座手数料に注意

それでは実際に購入するにはどうしたら良いのか。まず銀行や証券会社などの金融機関で専用の口座を開設する必要がある。取扱機関は10月1日時点で全国1049。取引の注意事項などが記載された各機関の申込書類に署名・押印し、免許証など本人確認ができる書類を提出すれば、一般的に申し込みから1週間ほどで口座を開設できる。店舗での手続きが必要な金融機関もあるが、インターネット証券を利用すれば自宅で手続きを済ませることも可能だ。

口座開設では手数料にも注意したい。一部の金融機関では管理手数料が月100円ほどかかるため、個人向け国債の金利を上回らないか確認する必要がある。発行から1年が過ぎれば1万円単位で中途換金ができるが、直近2回分の利子が差し引かれる。

最低保証利回りに加え、金融機関が打ち出す現金贈呈などのキャンペーンも魅力となっている。大和証券は11月のキャンペーンで変動10年と固定5年の購入金額の合計から過去の一定期間に既に保有していた個人向け国債の売却額を差し引いた「対象金額」に応じて現金をプレゼント。たとえば100万円分の国債を新規購入すれば3000円の現金がもらえる。10億円までの購入者が対象だ。SMBC日興証券も対象金額に応じた現金プレゼントのキャンペーンを上限なしで実施している。

野村証券は現金贈呈には上限を設けず、変動10年と固定5年の対象金額に応じて現金を贈呈するキャンペーンを9~10月に実施。ネット証券大手の楽天証券は、購入金額の合計が10万円以上の顧客を対象に楽天グループの「楽天スーパーポイント」と1対1の割合で交換できるポイントを付与するキャンペーンを10月に実施した。

証券各社のキャンペーンには「貯蓄から投資へ」の流れをつくる狙いがある。個人向け国債をきっかけに新たな個人投資家と接点が生まれれば、投資信託や社債など他の金融商品の購入につながる可能性がある。一方、キャンペーンは期間が区切られている場合もあるため、申し込む際は各社のホームページなどで確認する必要がある。

他商品とペアで

資金に余裕のある人は他の金融商品と組み合わせて全体の利回りを高める方法がある。安定性を求める人は金利が通常より高めのネット専用の定期預金などに一部資金を振り向ける手もある。リスクをとれる人は個人向け社債なども検討対象になるだろう。

ネット支店の専用定期預金は個人向け国債の下限金利を上回る金利もある。預金金利は固定となるため変動10年と組み合わせれば、金利上昇の恩恵を受けられる。個人向け社債以外でも為替変動リスクを抑えた海外債券を組み入れた投資信託などを購入すれば、より高い金利が見込める。

冬のボーナス時期を迎え、お金の使い道を考える時期になってきた。個人向け国債はキャンペーンなどをうまく活用すれば、歴史的な低金利下でも安定性を確保しながらある程度の利回りを確保できる運用が期待できる。(池田将)

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