ダイエットには「基礎代謝を上げる」という方法があります。運動をしなくても、「生きているだけで自然と消費するエネルギー」である基礎代謝を上げることで、いつも通りの食事をとってもスリムな体形を目指せるとされています。
この考え方は家計を守るためのテクニックとしても使えます。
「当たり前の生活」を見直す
家庭で使うお金は、大きく「固定費」と「変動費」の2種類に分けられます。「固定費」とは住居費、保険料、通信費といった、毎月の支出額があまり変わらない費用のことをいいます。「変動費」とは食費、交際費、被服費のように月によって使う金額が変化する費用のことを指します。
運動をすることで積極的に消費するエネルギー(生活活動代謝)は「変動費」に、生活をしているだけで無意識に消費する基礎代謝は「固定費」に例えられそうです。
では、変動費と固定費の両面をもつ光熱費について考えてみましょう。
日ごろから電気をこまめに消すなど省エネを心がけることで電気代を抑える場合、行動をすればするほど支出が抑えられます。変動費を抑えるためには運動するなど、相応の行動を伴うという点が生活活動代謝に似ています。
一方、電力プランを見直したり契約アンペアを変更したりすれば、一度実行するだけでその後、日々の行動に関係なく支出を抑えることができます。固定費はいったん改善すれば、後は何もしなくても支出を継続的に削減できるという点で、基礎代謝の上昇を目指すことに似ています。
このように考えると、変動費に比べて、固定費を抑える方が自然に続けやすく、少ないストレスで家計を改善できそうです。基礎代謝が高いと痩せやすくなるというダイエットのコツに似ていますね。
また、固定費が高いと日々節約に励んでも成果が出にくい上、「節約疲れ」になってしまう可能性もあります。当たり前だと思っている毎月の支出を見直すことができれば、今の家計の悩みは改善できるかもしれません。
固定費軽減の第一歩は通帳の熟読
では、固定費を削減するためには何が効果的なのでしょうか。
変動費はお財布から現金やカードを取り出して支払うことが多いため、目につきやすく無駄遣いをなくそうという節約心が働きやすくなります。ところが、固定費についてはクレジットカードや口座振り替えにしていることが多いため、無関心になりがちです。
固定費を見直そうと思い立ったときには、まずはクレジットカードの明細書や各種料金の引き落としに指定している銀行口座の通帳を半年分ぐらい、熟読してみることをお勧めします。
時間をかけてゆっくり眺めることで、「やっぱり住居費が高すぎるかな?」とか「毎月引き落とされているこの300円って何のお金だったっけ?」など、普段意識していない出費に気づくことがあります。
住居費、保険料、通信費などの代表的な固定費については、費用を抑えるための「王道」のような方法がいくつかあります。
住居費については周辺相場と見比べた上で大家さんに家賃の交渉を試みたり、住宅ローンの借り換えを検討したりすること。保険については、加入した当時よりも貯蓄が増えているなら、手元の備えができた分、保障を減額したり解約したりすることを検討するのも大切です。
通信費は契約時に付加したまま放置していたオプションを外したり、スマートフォン(スマホ)と自宅の通信キャリアを統一したり、利用状況によっては格安スマホを検討したりするのもよいでしょう。
そのほか、子どもの習い事、コンテンツ見放題などの定額サービス、通うのをやめてしまったスポーツジム、年会費がかかるクレジットカードなど、支払いっぱなしのままほとんど利用していないサービスなどがないか、見直してみましょう。これらの費用を削減できれば、年間にすればかなりまとまった金額の節約ができるかもしれません。
支払い方法も工夫
また、支払い方法を工夫することで有利になることもあります。
光熱費は通常、コンビニエンスストアで支払うよりも口座振り替えにする方が割引を受けられます。民間の保険会社の保険料(商品による)や国民年金、NHK受信料などは「年払い」など、まとめて払うことで割引になります。また、固定費はクレジットカード払いにすれば、ポイントの還元があります。
毎日とか、消費のたびごとに節約を意識して家計改善するのは大変でも、毎月必ず払う費用の見直しであれば取り組みやすいでしょう。本当に必要な費用なのかどうかを考える「固定費の棚卸し」をぜひ、試してみてください。
