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ヒラリー、アンチ票で敗北 現代の働く女性像とズレ?

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NIKKEI STYLE

本当に接戦だった――。

得票数では、わずかとはいえヒラリー・クリントンがドナルド・トランプを上回っていた。アメリカの選挙方式である「選挙人制度」(各州でより多くの得票数を獲得した候補がその州の選挙人数すべてを獲得し、選挙人の獲得数の合計がより多い候補が勝利する制度)がなければ、ヒラリーが大統領になっていた。

「まさか、こんなことになるとは――」「不安で仕方がない。思わず涙が流れた」

大統領選の激戦区であり、今回の選挙の行方を大きく左右した州の一つ、ここオハイオでも、こんなことを話す人は少なくない。

にぎやかな雰囲気で始まった開票速報を流すテレビ番組も、トランプが勝利する州が増えていくと、司会者もコメンテーターたちも「まさか」と顔がこわばっていくのがわかった。選挙の様子を知らせる街の電光掲示板に目をやりながら、信じられないといった様子で立ちすくむ人たち。アメリカに大きな"ショック"が駆け巡った。

11月8日の投票日から一週間近くたった現在でも、トランプ批判のプラカードをかかげるデモは全米約50カ所で起こり、お隣カナダの移民局ホームページにはアクセスが殺到、一時パンク状態になったという。多くのメディアでは、これまでの政治に対する国民、特にワーキングクラスの怒りが今の政権に向けられ、トランプを新大統領に担ぎ上げたと報道されているが、怒りの矛先はむしろこれから大統領になるトランプ氏の方に向いているように見える。

共和党候補の当選は当然の結果か

これまでの歴史を振り返れば、アメリカの歴代大統領は第2次大戦後、民主党と共和党がほぼ交代で入れ替わってきた。その候補者たちが掲げてきたスローガンも、その多くに"Change"を連想させる言葉が使われ、現政権からの脱却と新政権への期待を米国民に向けてあおるものだったといえる。

その歴史からすれば今回の選挙では、民主党のオバマから共和党の候補者に入れ替わるというのが順当な流れだったのかもしれない。その候補が、暴言を繰り返し、人種差別や女性蔑視など、様々な問題を起こすトランプであったということを除けば。

暴れん坊のトランプに悩まされた共和党だったが、決め手を欠いた対立候補のヒラリーに助けられるかのようなかたちで政権を奪取できたことは間違いない。

女性に嫌われた? ヒラリー

アメリカの歴史に、女性大統領という新しい1ページを刻むかもしれなかった今回の大統領選挙。黒人初の大統領となったバラク・オバマのときとは大きく異なっていたことがあった。それは、ヒラリーに対する女性層の熱の低さだ。

オバマが大統領選に出馬した際には、多くの国民、特に黒人層が新たな歴史の幕開けに興奮し、涙まで流すものも少なくなかった。女性初の大統領、こちらも大きなターニングポイントになるはずだったのに、周囲からはオバマ大統領の選挙戦の時のような熱を感じることができなかった。オバマの選挙戦の応援ボランティアをしていたという女性も、「今回は特に応援しようとか、彼女の力になりたいとか、彼女だから是非大統領になってほしいというような熱気は感じられなかった」と話す。

実際、CNNが実施した投票日の出口調査の結果をみると、ヒラリーに投票した女性は54%。これに対し、トランプは42%の女性票を獲得している。もしも、女性から圧倒的な支持を集めていたら、この数字はもっと差が開いていたはずだ。ちなみに前回の大統領選挙では、オバマが女性から55%の支持を得た一方、対立候補のロムニーは44%の女性票を獲得しており、今回の結果とほぼ変わらぬ得票率だった。

女性でヒラリーを支持したのは54%
クリントントランプその他・無回答
男性41%53%6%
女性54%42%4%

では、なぜヒラリーはそこまで女性の支持を集めることができなかったのか。一つには、先ほどのボランティア女性の発した言葉に、その答えが含まれているかもしれない。

彼女だから、ぜひ大統領になってほしいというようなことは感じられなかった――。

ヒラリーは選挙戦当初から、女性に向けたメッセージを送り続けてきた。時には演説で、時にはテレビCMで、ツイッターで。しかし、様々な方法で送られるメッセージが女性たちの心に響いたかといえば、疑問が残る。「わざとらしくて、突っ込みどころ満載」「まったく共感できない」「女性の代表みたいなセリフがむかつく」など、むしろ批判的な言葉が多くの女性から聞かれた。

テレビやラジオのワイドショー番組では、夫ビル・クリントンの度重なる不倫スキャンダルにもヒラリーが離婚を決意しなかったのは、今回のチャンスを虎視眈々(たんたん)と狙っていたためではないかなど、彼女の策士ぶりを皮肉る番組も流れていた。強ければ強いほど、隙がなければないほど「嘘っぽい」「人間味がない」など、女性からの支持を逃していった可能性はある。

裕福な家庭に育ち、学生時代からエリート街道まっしぐら、弁護士、ファーストレディー、国務長官という華麗なる経歴を持つヒラリーの発言は、男を押しのけてでも闘う、ひと昔前のフェミニズムを連想させた。このフェミニズムは、現代の働く女性にはしっくりこなかったようだ。「家庭やプライベートを犠牲にしてまで、彼女のように仕事をバリバリする気はない」「ヒラリーには女性としてのソフトな部分が欠けているように思える」「孫を抱きながらほほ笑んでいる写真、これって撮影の時だけしてるんでしょ」など、どこか共感できない女性像がヒラリーには見え隠れしたという女性が驚くほど多かった。

発言するほどに広がる女性たちとの距離。最終的には女性蔑視発言をしたトランプにさえ、女性の支持を奪われることになったのは皮肉としかいいようがない。

CNNの出口調査によれば、今回の選挙戦で「相手候補が嫌い」という理由で投票を決めた人のうち、トランプが嫌いだからヒラリーに投票したという人の割合は39%、ヒラリーが嫌いだからトランプに投票した人は51%に上った。

「嫌いではないほうの候補に投票した」人のうち51%が「ヒラリーが嫌い」
クリントントランプその他・無回答
強く支持する53%42%5%
条件付きで支持48%49%3%
対立候補が嫌い39%51%10%

近年まれに見る「嫌われもの対決」は、僅差だったもののトランプに軍配があがった。マイナス要因があまりにも多かったトランプに、普通にいけば勝てるはずだったヒラリーが負けた要因は、最後まで「嫌われもの」のレッテルをはがすだけの決定打を出せなかったことにありそうだ。

もちろん、熱狂的にヒラリーを応援する女性の中には、旧来のフェミニズムの実現を歓迎する人もいただろう。しかし、自己実現の手段としての仕事ではなく、生活のために低賃金で働く女性や、移民の女性、シングルマザーなど、様々な女性たちが既存のエリート層に抱く拒否感が、初の女性大統領誕生を阻む一因となったことは間違いない。彼女たちにとっては、ヒラリーの「大きな夢を持つ、全ての少女たちに。あなたたちが望めば、何にだってなれる、大統領にでも。今夜はあなたたちのための時間です」(ヒラリーが民主党候補指名を確実にした時のツイッター)という言葉は空虚に聞こえたに違いない。

ちなみに現代の働く女性には、ヒラリーよりも、トランプの長女イバンカへの支持が厚いようだ。35歳のイバンカは、180センチの長身を生かしてファッションモデルとして活躍しただけではなく、名門ペンシルベニア大学を首席で卒業した頭脳派で事業家としても優秀、かつ3児の母でもある。彼女が展開する働く女性向けのファッションブランド"Ivanka Trump"は人気を集めている。「闘う」イメージとは真逆の上品なたたずまいが注目を集め、トランプ陣営の広告塔としても大きな役割を果たしたとされている。

小路夏子(しょうじ・なつこ)
 日経BP社で雑誌編集記者として約9年間働いた後、夫の仕事の都合で渡米。突然放り込まれた米国での生活を通して、現地の文化やトレンドなどを執筆している。

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