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1%未満も続々 アクティブ投信でも手数料下げ 投信の保有コスト(下)

2016/11/22

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 市場平均以上の運用成績を目指すアクティブ型の投資信託に関心があります。最近は信託報酬が低い商品も登場していると聞きますが、最新の状況を教えてください。

 信託報酬は投信の運用や管理にかかる費用として運用資産から毎日差し引かれ、運用会社や信託銀行、販売会社に支払われる。保有期間中はずっと負担する必要があるので、長期保有すればするほど運用成績への影響が大きくなる。

 日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)などの指数に連動するよう運用するインデックス投信に比べ、市場平均を上回る成績を目指すアクティブ投信はコストがかさみやすい。ファンドマネジャーなどが経済予測をしたり、企業を訪問したりして投資する銘柄を選別するためだ。モーニングスターによるとインデックス投信の信託報酬は平均で年率0.64%、アクティブ投信は同1.49%だ。

 しかし昨年以降、投信の手数料の下げが加速している。確定拠出年金向けの低コストのインデックス投信が一般向けに売り出されたことがきっかけだ。金融庁が金融機関に対し顧客の利益を重視するフィデューシャリー・デューティーの徹底を求めていることも背景にある。この低コスト化の波はアクティブ投信にも押し寄せている。

 大和住銀投信投資顧問が今年3月以降に設定した「ひとくふう」シリーズの信託報酬は0.25~0.30%。ピクテ投信投資顧問が2月から運用する「iTrust」シリーズも0.89~1.33%。どちらもアクティブ投信の平均を下回る。

 アクティブ投信でも信託報酬を低くできるのは、投資先の選別などにコストをかけずに運用するためだ。例えば「ひとくふう」やアセットマネジメントOneの「たわらノーロードplus」は、主に機関投資家などに提供している金融工学の手法や人材を活用。株価や業績などのデータを基に投資先を決める。

 国内株なら指数採用銘柄や配当利回りが高い銘柄同士で運用成績の変動幅が最も小さくなるように配分することで、長期的に指数を上回る運用成績を目指す、といった具合だ。投資先を調査する担当者を置かないため人件費が抑えられる。

 iTrustシリーズも含め、販売会社をインターネット専業証券中心に絞っているのも特徴だ。購入時に投資家が受け取る目論見書をネットで閲覧できるため、販売促進のための費用を抑えられる。

 これらの投信は、長期で資産形成を目指す投資初心者が積み立て投資をする際の受け皿になりそうだ。ただ、「低コストというだけですべての投資家が満足するとは限らない」(楽天証券経済研究所ファンドアナリストの篠田尚子氏)。

 例えば分配金を受け取る機会は年1回なので、毎月分配型のように定期的に分配金を受け取りたい人には不向きだ。こうした特色が自分の投資の目的に合うかどうか、判断する必要がある。

[日本経済新聞朝刊2016年11月16日付]

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