ポンペイ犠牲者の石こう像をCT撮影 当時の生活を推測
イタリア・ポンペイの街は、大災害の代名詞として歴史に名高い。紀元79年、近接するベスビオ山が噴火し、一瞬にして多くの住民の命を奪った。この古代都市ポンペイで、大がかりな修復プロジェクトが進んでいる。陣頭指揮をとるイタリアの考古学者マッシモ・オサンナ氏は、「2000年前の社会を目の前で写真撮影したかのように」当時の姿をはっきりと克明に、そして多角的に現代によみがえらせたいと考えている。
今回のプロジェクトで注目されているのは、犠牲者の詳細な体内画像を作成するコンピューター断層撮影、いわゆるCTスキャンの導入である。スキャンにかけられた遺体は、過去の発掘で火山灰の中から掘り出されたものだ。固まった灰の中に石こうを流し込んで再現した石こう像の中には、犠牲者の骨や歯が含まれる。これを分析することで、その持ち主が管楽器を吹く演奏家だったのか、くぎを口にくわえる大工だったのかが分かると、プロジェクトに携わる歯科医師たちは語る。また、犠牲者の性別、年齢、出生地、社会経済的地位を推測するのにも役立つという。
(日経ナショナル ジオグラフィック社)
[ナショナル ジオグラフィック 2016年4月14日付記事を再構成]
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