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アニメの舞台がスマホARで進化 新・聖地巡礼(上)

「この世界の片隅に」の広島・呉を行く

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NIKKEI STYLE

大好きなアニメや映画のロケ地・舞台を訪ねて作品の世界に浸り、記念に写真を撮る――。こうした「聖地巡礼」の世界に新しい風が吹いている。

一つは、ここ数年アニメでも意識的に実際の街を舞台に選び、街並みを忠実に描き込んだ作品が増えていることである。あの場面はどこかと、アニメファンたちが楽しんでいる。

もう一つは、聖地巡礼用のスマートフォン用アプリが出てきたことだ。ポケモンGOのようなAR(拡張現実)を用いて、聖地で撮る写真の中にアニメのキャラクターを写し込む機能がある。これを使えば、より思い出深い写真を残せるのではないか。

そんなアニメ作品の「聖地巡礼」の旅に出かけてみた。最初の目的地は、11月12日に封切りされたばかりの『この世界の片隅に』の舞台、広島市と呉市だ。

主人公が訪れた街で写真を

『この世界の片隅に』は広島県呉市に生きるごく普通の市民であるすずさん(主人公)の日常を通して戦争を描いている。当時の誰もが経験したであろう悲しみと、それでも生きていく人々のたくましさと優しさに満ちた作品だ。原作は、こうの史代の同名コミックで、2009年に文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した。

映画化にあたっては、資金の一部をクラウドファンディングで募ったところ、3000人以上の原作ファンから計3912万円(映画ジャンルで当時の国内最高額)を集めて話題になった。そして、ヒロインのすずさんの声を演じるのは、朝ドラ「あまちゃん」で人気の女優・のん(能年玲奈から改名)である。

物語はすずさんの少女時代から始まる。実家は広島市の海辺の町にあり、海苔(のり)づくりを営んでいた。少女時代のすずさんは、お使いで広島市の中島本町にある料理屋に海苔を届けにいく。中島本町というのは、現在の広島平和記念公園のあたりだ。

実はここでの出来事が映画の終盤のシーンにもつながる伏線になっている。一つめの聖地として、小さなすずさんと一緒の写真を撮った。写真の腕はさておき、作品世界とのつながりを感じる一枚になった。

このAR写真を撮影するのに「舞台めぐり」という聖地巡礼者向けのスマホアプリを活用した。アプリを起動すると、あらかじめ登録された聖地の場所をGPS(全地球測位システム)連動の地図上に表示してくれるので、初めて訪れる場所でも迷わずにたどり着ける。写真の中に配置するキャラクターの大きさや位置は自由に変えられる。構図を変えながら何枚か撮影するのも楽しいだろう。このアプリは、現在「orange」(長野県松本市)や「弱虫ペダル」(神奈川県・江の島、箱根ほか)など50タイトル以上のアニメ作品に対応している。アプリのユーザーは20~30代が中心だという。

次の画面写真は、舞台めぐりの「足あと」というログのページである。自分が撮った写真と撮影場所の地図、アニメ作品の該当シーンを一覧できる。

物語の舞台は、すずさんの嫁ぎ先である広島県呉市に移る。呉駅のすぐ近くには「くれ観光情報プラザ」という案内所があり、映画に登場するシーンのロケーションマップを配布している。聖地巡礼をするなら入手しておこう。

ここからは呉観光ボランティアの会の福原実夫会長と西山元康さんの協力を得て呉の「聖地」を巡った。

最初に向かったのは「三ツ蔵」と呼ばれる蔵のある場所だ。すずさんが嫁いだ北條家は山の裾にあり、そこから市街や闇市へ向かう小道の脇に「三ツ蔵」がある。劇中で何度も登場する。

福原さんは、「北條家があったと思われる正確な場所はわからないが、すずさんはたぶんこの道を通っていったんですよ」と案内してくれた。最初は少し曲がった細い下り坂を進む。そのたたずまいは、新しい住宅に囲まれていながらも、どことなく郷愁を誘う。しばらく歩くと、そこだけタイムスリップしたかのような趣の三ツ蔵の前に着いた。文字通り3つの蔵が並んでいる。ここで写真を撮った。

三ツ蔵をあとにして、さらに道を進むと公園に出る。福原さんは「公園の向こうは朝日町といって、昔、遊郭があったところです」と教えてくれた。

戦艦大和を建造したドックを見下ろす

すずさんの夫・北條周作さんは、日本海軍呉鎮守府で軍法会議録事として勤務していたという設定だ。「裁判所の書記のような仕事」(福原さん)という。

当時の呉は東洋一の軍港だった。呉の市街から見て、JR呉線よりも海側はすべて軍港だったという。どのくらい広いかというと、港の東側をゆっくりクルマで移動しながら、福原さんが「ここまでが軍港だったんです」と教えてくれた場所まで、直線距離にして3kmくらいあるだろうか。呉鎮守府や海軍病院といった施設はもちろん、造船所や兵器工場、倉庫などが並んでいたという。次の写真の一番左にある建物は、戦艦大和を建造したドックだ。この港に浮かぶ戦艦大和を、すずさんたちは眺めていた。

呉の海軍下士官集会所は壁の色は変わっているが、建物は当時のまま残っていた。呉での新生活を始め、気苦労の多いすずさんを夫の周作さんが呼び出して息抜きに誘う場所だ。現在は自衛隊の集会所になっている。

アニメは当時の街並みを徹底した考証によって再現したという。今回撮影した呉や広島の街並みは戦災と戦後の復興によって変わってしまった部分が多いが、そこにARを使って戦争の時代を生きた登場人物を重ねてみると、すぐに「この世界の片隅に」の作品世界に引き戻されてしまう。と同時に、70年を経て私たちが恵まれた世界にいることを意識せずにいられない。

映画を見たあと、劇場が自然に拍手で沸いた。舞台となった場所を訪ねると、一段と感慨が深まるだろう。

次回「下」(11月下旬掲載)ではヒット作「ガールズ&パンツァー」の茨城県大洗町と、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の舞台、埼玉県秩父市を訪ねる。

※AR写真に含まれるキャラクター画像の著作権は、こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会に帰属する。

(渡辺 享靖)

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