「ムダ」や「遊び」も伝えるテクニックジャパネットたかた前社長 高田明氏(9)

通信販売大手ジャパネットたかた。前社長の高田明氏はテレビ通販王国を一代で築き、お茶の間の人気者ともなりました。朝から晩までテレビカメラの前に立ち続け、「伝える」ということを追究してきた高田氏。一見、「ムダ」や「遊び」と思える所作が、当たり前と思っていた光景を一変させ、「伝える力」になると説きます。

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ジャパネットたかた前社長 高田明氏

20代の俳優さんが俳優養成学校に入るとしましょう。先輩の名人の演技を見て勉強するわけです。そして5年、10年、20年と学んでいく。そしてその甲斐(かい)あって、実に演技とか台詞(せりふ)の出し方とかがうまくなった。ところが、ある人から見てみたら、その人が名人になっているかといったら、なっていないのです。

彼は50歳になって確かに上手にはなっているのだけれど、他人から見たら「あれ、20年間で演技はうまくなっているけど、何か昔の若い時の方が魅力があったよね」といわれる。「何かその人の持つ魅力がないね」っていうふうに他人には感じるわけです。

「ムダ」をぱっと出せる人が名人

実は彼には重要なものが欠けていました。50歳ぐらいでその道で芸を極めた人がぽっと瞬間的にアドリブで会話や演技の中に挟む「ムダ」が彼にはなかったのです。そのムダをぱっと出せる人が名人と言われる。それを心理学では「マイクロスリップ」と呼びます。

何か障害があった時に機転をきかせて瞬間的に軌道修正して活動を円滑にする技です。ある本でマイクロスリップのことを読んで、私は本当にそうだと思いました。

私も29年間やってきた中で、撮影中にぱっと突然、カメラに寄っていって顔を大写しにするといったことを時々やっていました。他にも、生放送中に「ちょっと待ってね~」と言って5秒間、画面から消えたりしたこともあります。相方のMC(司会)はびっくりしてしまいます。

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