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大ナゴヤを行く

「最も魅力に欠ける都市」 名古屋を嫌わんといてちょ 大ナゴヤを行く

2016/11/19

(右から)名古屋駅、名古屋城、「なごやめし」

 「最も魅力に欠ける都市」――。名古屋市が実施した全国主要8都市の「都市ブランド・イメージ調査」のショッキングな結果に衝撃が走っている。リニア中央新幹線の開業を控えた名古屋駅の再開発ラッシュ、名古屋城の天守閣木造復元構想、独自の食文化「なごやめし」の人気……。街に活気はあるのに、なぜ、「名古屋」の魅力が伝わらないのか。名古屋市は魅力発信やマイナスイメージ払拭に向け、“最下位脱出”作戦を始めた。

 「今、マイナスの面ばかりで注目されている」「リニアの開業で、名古屋を通過するだけの駅にしてはいけない」。9月、愛知県の展望を検討する懇談会。有識者からは名古屋の将来を懸念する意見が相次いだ。議論の念頭にあったのは、市が7月に公表した名古屋市による「都市ブランド・イメージ調査」の結果だった。

 調査は札幌市や東京23区、京都市など主要8都市の市民に実施。名古屋市は「買い物や遊びに行きたい」都市として最下位。「最も魅力に欠ける都市」の項目でも最上位というショッキングな結果となった。

 なぜ、名古屋は人気がないのか。同市の担当者は「税収も人口も減っておらず、これまで観光資源などを積極的にPRしてこなかったツケ」と自戒を込め分析。河村たかし市長は「行きたくない都市ナンバーワンだ。危機感を持って面白い街に変貌させる」と発破をかける。

名古屋市が作った「自撮り」スポット集

 巻き返し策の第1弾として、名古屋市は10月、名古屋城周辺のスマートフォンの「自撮り」スポットを集めたA4版4ページの冊子を作り、人気を高める作戦を練る。その名も「みんなで発信 ナゴヤの魅力」。今後は栄、大須などのエリアごとに数種類を作成。市民レベルで、交流サイト(SNS)を使った情報発信にも期待を寄せる。担当者は「市政資料館の中央階段など、観光ガイドに載っていないスポットを掘り起こす」と意気込む。

 名古屋市は5月、戦略会議を立ち上げた。年度内に(1)街のブランドイメージ(2)市民の誇り(3)メディア戦略――などを柱としたアクションプランをまとめる方針を掲げる。

 名古屋市がイメージアップ作戦を打ち出した背景にはマイナスイメージへの強い危機感がある。街に魅力があれば、観光客の増加につながることはもちろん、「『住んでみたい』と思ってもらえるようになる」(市ナゴヤ魅力向上室)という。

 さらに将来、リニアが東京から大阪まで延伸した場合、乗客が名古屋を通過する「名古屋飛ばし」を懸念する声は根強い。今後、狙うのは「もちろん『最も行きたい都市』の第1位」。だが、「東京や京都は強敵。まずは大阪などより上位に行きたい」(同室)というのが本音のようだ。

 もっとも、名古屋市は来年度以降も主要8都市のブランド・イメージ調査を継続していく。まずは、「名古屋市の都市の魅力度など、立ち位置を確かめていく」(同室)というのが現実路線のようだ。

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 「名古屋城」「中日ドラゴンズ」「トヨタ自動車のクルマ」――。都市ブランド・イメージ調査では、名古屋といえば、こんなイメージが浮かぶという。

 最近は大都市「名古屋」として、新たなイメージが形成されつつある。東京、大阪に比べ、高層ビルが少ないとされたかつての面影はすっかり影をひそめる。

 現在、リニア開通を控え、名古屋駅前は再開発ラッシュに沸く。高層オフィスビルや商業施設などが続々と誕生。新たな観光スポットとして、名古屋城天守閣の木造復元構想も浮上している。

 さらには、台湾ラーメンや味噌カツ、あんかけスパが自慢の店舗が東京に進出するなど、「なごやめし」の人気は急上昇。全国区の知名度を誇り、今や、魅力的な観光資源はたっぷりある。

 観光庁の調査では、2015年の愛知県の宿泊者数は1662万人で全国10位。うち観光目的となると、全国23位(383万人)と一気に順位を下げる。現状はビジネス客が大半を占めるとみられる。

アジア大会の開催が決まり、愛知県庁に掲示された看板

 20年の東京五輪・パラリンピックに続き、招致に成功した26年の夏季アジア競技大会の開催、27年のリニア開業。名古屋が注目され、集客力が高まるイベントが相次ぐ。 愛知の観光に詳しい名古屋外国語大の横山陽二准教授(広報論)は「05年の愛知万博に向け、中部国際空港の開港など街づくりの明確な戦略があり、街に活気を生み出した」と指摘。その後の10年を「失われた時間」とみており、「魅力アップには、いま一度、愛知県と名古屋市が密接に連携し、中長期的な街づくりのビジョンが重要だ」と提言する。

 「名古屋」の魅力をいかに全国に発信し、街のマイナスイメージを払拭していくのか。“最下位脱出”には、名古屋力が問われている。

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 名古屋市の都市ブランド・イメージ調査 全国の主要8都市に5年以上住んでいる20~64歳にインターネットを通じて質問。各都市418人ずつ、計3344人から回答を得た。質問は10項目。「最も魅力的に感じる都市」「最も魅力に欠ける都市」といった項目のほか、各都市を訪問したいか(訪問意向)、在住する都市への誇りや愛着の度合いなどを尋ねた。
 名古屋市は訪問意向の項目でも1.4ポイントと最下位だった。トップの京都市(37.6ポイント)に大きく離された。7位の大阪市は16.8ポイント。

(名古屋支社 文 江藤俊也 写真 今井拓也)

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