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もうかる家計のつくり方

「公務員だから安泰」は甘い 赤字垂れ流し家計 家計再生コンサルタント 横山光昭

2016/11/16

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 「やはり夫の小遣いが10万円って、多すぎですよね……」と言うパート主婦のSさん(44)。どうやら私に同意を求めている様子です。夫が小遣い削減に協力してくれないと悩み、家計相談に来ました。

 夫(48)は役職がある公務員で、手取りは毎月42万円ほど。Sさんは専門職のパートで、手取り16万円ほど。中学2年、中学1年の息子2人がいる4人家族です。夫婦で約58万円の収入があれば、生活には十分足りるはずです。

 ですが、残念なことにS家の家計は赤字です。もともとは夫の収入からSさんが14万円もらい、残りを夫が自分で管理するという「別財布」の家計管理方法でした。貯蓄は夫がすることになっていたので、Sさんは予算を使い切っても安心していました。

 しかし貯蓄ができないだけでなく、毎月のように赤字を出し、夫の親に援助してもらうという状況でした。そのため急きょ、収入の全部をSさんが管理することになったといいます。

 夫は家計のやりくりにあまり関心がなく仕事中心。赤字にもかかわらず、「現状維持で大丈夫」と言うそうです。Sさんが老後資金について相談しても、「定年になれば退職金が2000万円以上出るし」「年金も多分、心配ない」「再任用制度もできたから」など、自分の将来にかなり楽観的な見通しを持っているそうです。

 ですが、年金暮らしの親の援助に頼って暮らすのは決して褒められたことではありません。現在、貯蓄は370万円あるとはいえ、子どもは年子なので大学進学などの教育費も同時期に必要になると覚悟して、ためなくてはいけせん。

 また、退職金が2000万円出るそうですが、老後生活で何か不測の事態が起きたときにはこれだけでは安心できません。現状ではボーナスからも貯蓄できていないということですから、根本的に家計のやりくりを変える必要があります。

 家計管理の方法を変えてから始めたという家計簿を見てみてると、食費12万円と夫の小遣い10万円が目に付きました。

 聞くと、夫の小遣いの使い道はほぼ趣味だそう。夫は多趣味でゴルフ、釣り、山歩きなどアウトドアを好み、仕事上の付き合いも兼ねていることを口実に、積極的に出かけるのだそうです。

 また、小遣いとは別に夫が好きでこだわって買った自動車にかかるお金も家計費から出ています。ローン、保険、ガソリン代で月6万円強です。家族も一緒に乗る前提で購入したものの、ほとんど夫がアウトドアに出かけるときにしか使っていません。こうなると、夫の小遣いはなんと実質16万円ほどになっているともいえるでしょう。

 12万円を超える食費は、外食を楽しむ回数が多いのが原因です。そのほか、育ち盛りの子どものためにいつも食材を余分に買いすぎ、腐らせて捨ててしまうことが多いこと、おやつと称して冷凍食品を中心に軽食を食べさせていることなども高額になっている原因です。

 「子どもにはしっかりした教育を受けさせなくてはいけない」という考えのSさんは、2人の息子を塾に行かせつつ、評判のいい家庭教師を雇い、ほぼ強制的に勉強させています。そのため、教育費も比較的高額です。

 夫婦とも、それぞれにこだわりがあり、そのこだわりに関する支出がかさんで赤字になっていることがわかりました。後はどう絞っていくかです。

 まずは、月のやりくりを黒字にすること、親の援助に頼らない生活にすること、夫も家計に巻き込むこと――の3つを目標にしました。

 食費は支出が膨らんでいる原因がはっきりしていたので削減は簡単でした。外食の回数を減らし、食材の無駄をなくすため購入した食材のメモを残し、使い切ったらそのメモを消す方法で管理しました。単純で当たり前のことをしただけで、月4万円以上減らせました。

 また、子どもが嫌がっていた家庭教師はよく考えた末、やめることにしました。

 問題は夫の小遣いです。夫には家計表とともに、小遣いと自動車関連費が家計の中にどのぐらいの割合を占めているのかを見せながら話し合いました。これから教育費が本格的に必要になって貯蓄はすぐなくなるだろうということ、自分たちの老後は2000万円の退職金と年金だけでは豊かに暮らせない可能性が高いことなど、様々なことについて時間をかけて話し合いました。時には私のところに夫婦で話を聞きに来ることもありました。

 夫からは最初、「家族も自動車に乗せる」などの提案しか出てきませんでしたが、ようやく「小遣い額は変えず、趣味を控えることによって自動車維持費は自分(夫)が払う」ということでまとまりました。大きな改善ではないかもしれませんが、少し前進です。

 こうして支出は11万8000円減り、家計は6万4000円の黒字になりました。毎月貯蓄ができますし、ボーナスからも使途不明金を出さないようにして貯蓄していく計画です。当初目標に掲げたことは、すべて達成できたといえます。

 大手企業に勤める人や公務員は安定した収入があり、年金などの社会保障、退職金も見込めます。しかし、それらに期待するあまり、貯蓄を積極的にしなくても安心しているケースをよく見ます。確かにいまは安定しているのでしょうが、将来も必ずそうだという保障はありません。いざお金が必要なときに「こんなはずじゃなかった」ということにならないよう、油断することなく準備をしてほしいと思います。

「もうかる家計のつくり方」は隔週水曜更新です。次回は11月30日付の予定です。
横山光昭(よこやま・みつあき) マイエフピー代表取締役。家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。お金の使い方そのものを改善する独自のプログラムで、これまで1万人以上の赤字家計を再生。書籍・雑誌の執筆や講演も多く手掛け、「年収200万円からの貯金生活宣言」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)をはじめとする著書は累計180万部。近著は「『老後貧乏』はイヤ!」(日本経済新聞出版社)。

「老後貧乏」はイヤ! 貯められない家計の治し方

著者 : 横山 光昭
出版 : 日本経済新聞出版社
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