『クリミナル・マインド』 ハマる人が増え続ける秘密
FBIの天才捜査官役 マシュー・グレイ・ギュブラーが語る
FBIに実在するエリートチームBAUがプロファイリングで犯人を追い詰める『クリミナル・マインド FBI行動分析課』。2005年の誕生以来、CBSネットワークのロングランヒット作として君臨している。
『クリミナル・マインド』は、難事件が起こった地域に精鋭チームが専用機で飛んで、プロファイリングによって犯人像を特定し、いち早く逮捕する。その徹底したプロフェッショナルぶりが最大の魅力だが、捜査官たちの過去や私生活が描かれることでキャラクターをより身近に感じられることも大きな見どころとなっている。9月から日本初放送中のシーズン11でもそれは変わらず、捜査官の出産や新キャラクターの加入など、登場人物たちが常に変化し、見る者を飽きさせない。
3つの博士号を持つ天才捜査官ドクター・スペンサー・リードを演じ続けているのに加え、一部のエピソードで監督や脚本も手がけるマシュー・グレイ・ギュブラーに、本作の魅力、そしてシーズン11の見どころを聞いた。
――誕生から12年経ちましたが、全米での視聴者数は変わらず絶好調。日本をはじめ世界中で人気です。本作はなぜこんなに長く愛され続けているのでしょうか。
リアルなところはわからないけど、脚本が素晴らしいことがひとつの理由だと思うよ。BAUチームのメンバーそれぞれの物語もいいし、捜査のストーリーも面白い。プロデューサーで脚本家でもあるエリカ・メッサーがシーズンごとにチームを成長させているところも大きいのかな? 人間は成長しないとつまらない存在になってしまうからね。そして、キャストやスタッフが家族のようになっているから、演じることが非常に楽しいんだ。その楽しさが見る人にも伝わっているのかな。
リードとマシューの関係性
――あなたが演じるリードもシーズンごとに成長していますが、リードの役柄から受けた影響はありますか。逆に、あなた自身がリードの役に反映しているところは?
長く演じていると、彼から得るものもあるし、逆に僕が役に影響を与えることも当然ある。実はシーズン1ではリード役に自信が持てなかったんだ。というのは、僕はもともと俳優をめざしていたわけではなかったから。でも、それはリードも同じで、FBI捜査官になろうとしていたわけではなく、彼もギデオン(マンディ・パティンキン)に才能を見出されて捜査官になっていった。今は僕自身の気持ちがキャラクターに入っていって、できるだけリアルに演じられたらと思っているよ。
――ところで、BAUは女性が子育てをしながら働き続けるにはとてもハードな職場ですが、出産後に復職するメンバーがいるなど、母親や子育てに優しい職場です。そこにはキャストやスタッフの思いが込められているのでしょうか。
僕の家は母親や姉が強くて、逆に父親の方が繊細なので、男性より女性の方が強いと思ってるところがあるんだけど(笑)、確かに女性のエリカ・メッサーがシーズン5以降、製作総指揮に加わってから、そういう面が強まっているかもしれないね。
――シーズン11には、新キャラクターとして司法心理学者のタラが登場します。彼女はチームにどんな影響をもたらすのでしょうか。
タラは学者なので、ちょっとリードと似たタイプ。だから、演じるアイシャ・タイラーも僕のように早口で話さないといけないんだけど、彼女はスタンダップコメディでも活躍している人だから問題ないよ。タラはみんなをくっつける役割を果たしていたプレンティス(パジェット・ブリュースター)のような存在になるんだ。新しいキャラクターが入ると、その人の目線からBAUメンバーを描くことができるので、僕らのまた新しい一面を楽しんでもらうことができると思うよ。
見せすぎないことがモットー
――そのプレンティスもゲスト出演しますが、久しぶりの共演はいかがでしたか。
非常に嬉しかった! 彼女とはプライベートでも仲良しで、旦那との出会いのきっかけを作ったのも僕なんだ。ちなみにプレンティスはシーズン12にもゲスト出演するらしいよ。長く続けているとキャラクターがカムバックすることもあって、面白いよね。
――ほかに帰って来てほしいキャラクターはいますか?
ぜひ、過去に僕が監督したエピソードで捕まえた犯人に登場してほしいな。
――マシューさんの監督エピソードは特徴的で、とてもわかりやすいのですが、ご自分ではそれはなぜだと思いますか。
すぐわかってもらえるのは、僕にとって一番嬉しいこと! 僕は見せすぎないことをモットーにしてるんだ。その方が見る人の想像を広げられ、より恐怖を感じさせることができるでしょ? あと真逆のものを組み合わせることも心がけてる。シーズン10に登場したMr.スクラッチは巨人だと思わせておいて、小柄な人をキャスティングした。ギャップがあると、さらなる怖さが生まれると思うんだ。
――キャスティングも監督がされるんですね?
物語は俳優を通して語られるから、キャスティングは監督にとって一番大事なこと。絵描きが色を選ぶのに匹敵するほど大事だから、脚本を制作するときにどんな人物か書き入れることもあるし、キャスティングに4週間かけたこともあるよ。加えて、衣装と音楽、セットのデザインにも凝るから、僕の監督エピソードはわかりやすいのかもしれないね。
(ライター 及川 静)
[日経エンタテインメント! 海外ドラマSpecial 2016[秋]号の記事を再構成]
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