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人気1位の「ZenFone 3」 性能上々、2枚SIMに対応

日経トレンディネット

2016/11/16

日経トレンディネット

大手携帯電話会社よりも安い通信料金でスマートフォン(スマホ)を使える「格安SIM」が人気だ。格安SIMの広がりに合わせて、格安SIMなどを自由に入れられる端末「SIMフリースマホ」のバリエーションも急速に増えている。

特に、海外メーカー製のSIMフリースマホは高価格なハイスペック端末から、低価格だがコストパフォーマンスに優れた機種まで、ラインアップが幅広い。なかでも台湾のASUS(エイスーステック・コンピューター)の「ZenFone」シリーズは、高い人気を誇っている。

2016年10月7日、ZenFoneシリーズの新機種「ZenFone 3」が発売された。ZenFone 3は「ZenFone 3 Deluxe」「ZenFone 3 Ultra」とともに発表された3機種のうちの一つで、フルHD(1920×1080ドット)表示の5.2型ディスプレーに8コアCPUと3GBのメモリーを搭載。3機種のなかでは最も標準的なモデルだ。

実売価格は3万9800円前後と決して安価ではないが、その処理能力に加え、2枚のSIMカードで同時に電話を待ち受けられる「DSDS(デュアルSIM・デュアルスタンバイ)」に対応することから注目を集めている。価格.comのスマホ人気ランキングでも1位だ(2016年10月16日~10月22日の期間)。

このZenFone 3は、実際どれほど「買い」なのだろうか。

■外観と持ちやすさが変わった

まずは外観をチェックしてみよう。ZenFone 3のカラーバリエーションは、サファイアブラックとパールホワイトの2色。今回レビューしたパールホワイトは、前面と背面がどちらも白く、側面やカメラ・指紋リーダーの縁取りなどが淡いゴールドになっている。

ZenFone 3の前面。前機種まではどの色でも黒で統一されていたが、本機種からはカラーバリエーションに合わせた色に変更されている

音量調節キーと電源キーは右側面、SIMトレーは左側面に配置。上面には3.5mmイヤホンジャックがある。一方、下面の入出力端子は、USB Type-Cが採用されている。

ZenFone 3の下面。側面のメタルフレームは全周に渡って丸みを帯びている。入出力端子はUSB Type-Cに変更された

手に持ったときの感触はこれまでのZenFoneシリーズと大きく異なる。従来は背面が左右にゆったりとカーブを描いた樹脂素材で、手のひらへの収まりが良かった。一方、ZenFone 3では背面がフラットなデザインになり、素材も前面と背面がガラスに、側面がメタルフレームに変更になった。昨今のスマホとしては一般的なデザインである。

ガラス素材は2.5Dと呼ばれる面取り加工が施されており、側面の丸みを帯びたメタル素材との一体感が高い。ガラス表面のコーティングと相まって、なめらかな手触りだ。

一方で、旧デザインによる独特の持ちやすさは失われた。背面のパネルが固定式になったのでバッテリーを取り外せない。

また、ガラス素材のためすべりやすい。膝の上に置いたたところ、何度も落としかけた。これまで以上に注意して取り扱う必要があるだろう。

新デザインのZenFone 3(左)と、旧デザインのZenFone Go(右)の背面を比較。ZenFone 3では背面が樹脂素材からフラットなガラス素材に変更され、カメラの下に指紋リーダーを搭載する

■CPUとメモリーの実力は?

続いてスペックをチェックしてみよう。下の表はZenFone 3と、ライバル端末であるDSDSに対応するモトローラの「Moto G4 Plus」のスペックをまとめたものだ。特に優れている項目は赤字で強調している。

ZenFone 3とMoto G4 Plusのスペック

ZenFone 3はフルHD(1920×1080ドット)表示に対応した5.2型のディスプレーを備えている。5.5型のMoto G4 Plusより本体のサイズは一回り小さく、重さも13g軽い。

フルHD表示なのでYouTubeやHuluといった映像コンテンツを美しい画質で楽しめるし、軽いので映画を1本楽しんでも持っていた手があまり疲れない。ただし、画面サイズが小さいため映像の迫力は劣る。

ZenFone 3とMoto G4 PlusのCPUコア数、メモリー容量、ストレージ容量は同じだが、CPUの動作周波数ではZenFone 3が勝っている。

ベンチマークアプリの「Geekbench」でテストを実行したところ、ZenFone 3のスコアは「847/4087(それぞれシングルコア/マルチコアでのスコア、以下同様)」だった。Moto G4 Plusは「712/3016」なので、マルチタスク性能ではZenFone 3に軍配が上がる。

ちなみに、Androidスマホのリファレンス機であるグーグルの「Nexus 5X」(5万円前後)のスコアは「1227/3421」、ASUSの「ZenFone Go」(2万円前後)は「387/1313」だ。ZenFone 3は安価なZenFone Goはもちろん、5万円前後のNexus 5Xよりもマルチタスクに強い結果となった。

実際に筆者がプライベートでよく使うアプリをZenFone 3にインストールしたところ、アプリの起動や切り替えはとてもスムーズで、動作の遅さに対する不満は感じられない。いくつかのアプリを同時に動作させてみてもパフォーマンスは低下しない。

筆者は、スマホでのイベント撮影やSNSの投稿が多く、撮影した写真を加工したり、ブラウザーで調べた内容をもとに投稿を補足したりといった作業をスマホで連続して行っている。

安価な端末では次第にパフォーマンスが低下して困っていたが、ZenFone 3では最後までパフォーマンスが落ちなかった。マルチコアCPUと3GBのメモリーによる効果は大きいようだ。

■2回線同時待ち受けに対応

ZenFone 3は2枚のSIMカードをセットし、2回線で同時に電話を待ち受けられる。電話の着信時にはSIMカードの名前が表示されるので、どちらの番号にかかってきた電話なのかわかる。

ただし、Moto G4 Plusと同様、データ通信が利用できるSIMは1枚のみ。ZenFone 3ではデータ通信用に指定したSIMカードが自動的に4G(LTE)ネットワークを使うように設定され、もう1枚のSIMカードは3Gネットワーク専用となる。

ZenFone 3では、nanoSIMサイズとmicroSIMサイズのSIMカードをそれぞれ1枚ずつセットできる。ただし、microSIMサイズのSIMカードはmicroSDカードとスロットを兼用する仕組みになっており、どちらか片方しかセットできない。そのため、2枚のSIMカードとmicroSDカードを同時に装着できるMoto G4 Plusには劣る。

「デュアルSIMカード設定」画面。ZenFone 3はDSDSに対応しており、2枚のSIMカードで同時に電話を待ち受けられる
着信時にはSIMカードの名前が表示される

SIMカードスロットはトレータイプ。nanoSIMとmicroSIMがセットできるが、microSIMとmicroSDは同時にはセットできない

■指紋リーダーを使って操作できる

続いては、インターフェースをチェックしてみよう。

ZenFone 3には、ASUSのスマホやタブレットでおなじみの独自UI「ZenUI」が搭載されている。ZenFone同士なら違和感なく乗り換えられるだろう。

ZenUIはカスタマイズ性が高く、例えば、アプリドロワーがあるAndroidの標準的なホーム画面から、iPhoneのようにアプリドロワーを持たないものに切り替えできる。画面に並ぶアイコンの数も3×3から5×5までの間で選択可能だ。「テーマ」アプリで配布されているテーマを適用すれば、外見を変えられる。

ZenUIのホーム画面。縦横のアイコンの数を増減させたり、アプリドロワーを持たないタイプに変更したりできる
通知パネルは項目の追加や並び替えに対応する

ZenFone 3からは、背面に搭載された指紋リーダーによる操作も追加された。

指紋リーダーに触れるだけでスリープを解除したり、着信に応答したりできる。指紋を登録しなくても、端末の起動中に指紋リーダーをダブルタップすることでカメラを起動したり、シャッターを切ったりといった操作が可能だ。

ただ、別のアプリを利用中にうっかり指紋リーダーに指が触れ、意図せずカメラを起動してしまうことが何度かあった。カメラを起動するのに必要なタップの回数を3回以上に増やすなど、カスタマイズできるようになるとうれしい。

指紋リーダーの設定画面。電話を受けたりシャッターを切ったりといったタッチコントロールも利用できる
指紋リーダーは背面にあるため、人差し指を登録しておくと使いやすい

インターフェースで最も残念だったのは、バックライトが備わっていないナビゲーションキーだ。暗い場所ではホームキーやバックキーが見えない。

幸い、画面を縮小表示して片手で操作しやすくする「片手モード」にすれば、画面内にナビゲーションキーが表示され、暗がりでも操作できるが、標準機能としてバックライトを備えてあれば、そんな工夫も必要ない。バックライトの改善はぜひともお願いしたい。

ZenFone 3でもナビゲーションキーは光らない。片手モードをオンにすれば暗がりでの操作を補える

■暗い場所でも撮影しやすい

最後に、カメラ機能をチェックしてみよう。

ZenFone 3には、1600万画素のアウトカメラと800万画素のインカメラが搭載されている。アウトカメラは暗所に強い「レーザーAF(オートフォーカス)」に加え、自然な色合いで撮れる「デュアルカラーLEDフラッシュ」、光学式の手ぶれ補正機能を備える。

カメラアプリの撮影モードは標準の「オート」をはじめ、ホワイトバランスやシャッター速度などを設定できる「マニュアル撮影」、6400万画素相当で撮影できる「超解像度」など、20通りから選択可能だ。

カメラアプリのUIはこれまでのZenFoneシリーズを踏襲。シャッターの隣にあるボタンで「オート」と「マニュアル撮影」を素早く切り替えられる

ZenFone 3は、シャッターボタンに触れてから撮影されるまでのタイムラグが非常に短く、ピントが合っていればシャッターに触れるとほぼ同時に撮影できる。ピントが合うまでの時間も短く、シャッターチャンスを逃しにくいカメラだ。

撮影した写真は肉眼で見たままの色合いがほぼ再現されている印象だ。オートで撮影してもホワイトバランスが崩れにくく、色調が偏ったり色味が薄くなったりすることはない。

「オート」で撮影した写真。カラフルな色使いの遊具も目で見たままの雰囲気で撮影できる
花にクマバチが来た瞬間を撮影。端末のレスポンスが良いので、シャッターチャンスに対応しやすい

ZenFone 3のカメラは最大4倍のデジタルズームに対応している。「超解像度」モードで撮影すれば粗さを抑えられるので、4倍ズーム時でも比較的鮮明に撮影できる。

また、光学手ぶれ補正とレーザーAFによって暗い場所でも撮影しやすい。フラッシュ撮影時の色合いも自然だ。

「オート」作例と同じ位置から「超解像度」で4倍ズーム撮影した遊具の写真。画質が粗くなるデジタルズームでも、オートのままで撮るより綺麗な写真が撮れる
薄暗い室内で撮影した写真。レーザーAFによって暗くてもピントが合いやすい
LEDフラッシュはデュアルカラーなので、色合いが崩れにくい

なお、インカメラに切り替えると自分撮り用の「美人エフェクト」が有効になる。目の大きさを強調したり、美肌に見せたりといった、プリクラ風の写真を手軽に撮影できるのが面白い。

インカメラの撮影モードは全部で10種類。「オート」や「自分撮りパノラマ」などに切り替えられる。

インカメラでは「美人エフェクト」モードが標準にセットされている。プリクラ風の自分撮りがカメラアプリだけで撮影できる

■ZenFone 3は買いか?

ZenFone 3は、前機種ZenFone 2よりもスリムになった。2GHzの8コアCPUと3GBのメモリーを搭載し、マルチタスクにも強い。端末の動作も非常に軽快で、長時間連続で使い続けても動作が緩慢になりにくい。スペックの高いスマホがそろう大手携帯電話会社から乗り換えて格安SIMデビューを飾るのに、処理性能が良いZenFone 3はおすすめだ。

2回線で同時に電話が待ち受けられるDSDSに対応するのにも注目だ。例えば、大手携帯電話会社のSIMと格安SIMを組み合わせて使うと、SIM1枚だけで使うより通信料金を抑えたりもできる。

ただ、同じDSDSに対応するモトローラの「Moto G4 Plus」と比べると、惜しい部分もある。

ZenFone 3ではSIMカードを2枚セットするとmicroSDカードが使えない上、セットできるSIMカードのサイズもmicroSIMとnanoSIMそれぞれ1枚ずつに限定される。一方、Moto G4 PlusはmicroSIMサイズのSIMカード2枚とmicroSDカードを同時にセットできるだけでなく、nanoSIM用のサイズ変換アダプターも2つ、標準で付いている。

価格も3万9800円前後のZenFone 3に対し、Moto G4 Plusは6000円ほど安い3万3400円前後で購入できる。処理性能や外観の高級感ではZenFone 3が勝っているが、実用性を重視するならMoto G4 Plusを選んでもいいだろう。

まとめると、ZenFone 3は1万~2万円台の安価なスマホよりもワンステップ上の性能や質感を求める人におすすめだ。マルチタスクに優れた処理能力を持つため、一般的な使い方であればストレスを感じることは少ないだろう。レスポンスが良く色合いも自然に撮れるカメラを備えているので、スマホのカメラ機能を重視する人にもおすすめしたい。

ただし、2回線での同時待ち受けを主目的とするのなら、SIMカードのサイズに柔軟に対応できて、microSDカードスロットが独立しているMoto G4 Plusを買うのもありだろう。

(ライター 松村武宏)

[日経トレンディネット 2016年10月26日付の記事を再構成]

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