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有名シェフとコラボ、ご当地グルメ…進化する機内食

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ひと昔前は「パサパサで、いまひとつおいしくない」といわれていた機内食。今や「機内食を楽しむためにビジネスクラスに乗る」という人が出てくるまでになっています。航空会社の多くが実力あるシェフを囲い込み、ケータリング会社との連携を強め、客室乗務員(CA)を教育し、サービスの質を高める努力をしています。

今、ビジネスクラスの機内食が"スゴイ"のです。

JAL:和食「くろぎ」の味を機内で味わえる

2013年以降、欧米とオーストラリア、東南アジア路線で「スカイオーベルジュBEDD(ベッド)」というサービス名で"最上級の機内食"を提供する日本航空。「日本料理 龍吟」の三つ星シェフの山本征治さんら、世界に誇る一流の料理人約10人の監修のもとにメニューを開発しています。

2016年3月には東京・湯島の名店「くろぎ」オーナーシェフの黒木純さんを迎えて、本格的な和食の提供を開始しました。先付けからデザートに至るまで徹底的にこだわっていますが、デザートとして「厨 菓子 くろぎ」の甘味を出したところ、大好評を得ています。

9月1日には、ロンドン発羽田行きのファーストクラスとビジネスクラスに、「日本料理アカデミーUK」の副理事長である林大介さんとコラボレーションした和食が登場。2008年の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)で日本料理の調理責任者を務めた林さんによる、外国人の口にもあう和食が人気だそうです。

そもそも機内食は、継続的に仕入れられる現地の食材を使って作るのが一般的。現地調達の食材や調味料でいかに本格的な和食を作るか、料理人の腕次第ともいえます。「ロンドン発羽田便では、昆布やかつお節だけでなく野菜や鶏のブイヨンなども使用して、外国人にもわかりやすい味に工夫した本格和食が味わえます」(JAL商品・サービス企画本部 開発部 客室サービスグループ マネジャーの綱島寛哲さん)

CAはiPadを見ながら盛りつけ

日本航空は、経営破綻と再生の過程で「いかにサービスの品質を向上させるか」を追求、その方策の一つとして「機内食の質を高める」ことに注力しました。シェフが監修した料理を、常に最先端の技術を取り入れるケータリング工場内で徹底管理して調理。調理後には急速冷却して機内に搭載。離陸後の加熱や盛りつけは教育を受けたCAが正確にスピーディーに行います。すべての過程における業務の質を、意識とチームワークの向上によって改善したといいます。

盛りつけの際は、シェフの料理を一つの芸術作品ととらえ、忠実に再現するために、ワンプレートごとにシェフが作った動画をiPadで確認します。

中・長距離路線ではお米の産地にもこだわります。日本発の便では「新潟県奥阿賀産今摺米」、海外発便では「南魚沼産コシヒカリ」のご飯を提供しています。CAが、しゃもじを持って炊きたてのご飯を茶わんによそう姿を見ていると、機内であることを忘れてしまいそう。

「JALのビジネスクラスって、こんなことに挑戦しているの?と思われるぐらい常に新しいことに取り組んでいきたい」(綱島さん)。エコノミークラスでも9月からハワイ便で資生堂パーラーとのコラボレーションを開始して、大変な人気です。12月からは日本発の長距離線の2食目として、熊本復興支援のための機内食「AIRくまモン」(太平燕など)を開始するとのことです。

エミレーツ航空:本格的な和食をハラールで実現、乗客の6割が希望も

ドバイをハブとして世界の全大陸に就航するエミレーツ航空は今年、日本路線の和食メニューをリニューアル。羽田、成田、関西国際空港とドバイを結ぶ路線のファーストクラスで懐石料理を、ビジネスクラスでは懐石弁当の提供を開始しました。

ドバイのホテルで副総料理長として働いていた佐藤竜太さんをホットキッチン副総料理長として迎えました。さらに日本国内のケータリング会社、ゲートグルメジャパンと提携。成田空港から半径1キロ以内に農場を有する北総ベジタブルなどから新鮮な食材を調達して調理。お米は千葉県産のコシヒカリ(時期により異なる)、食器は「ノリタケ」とコラボした特別デザインのものを使い、日本の食文化を目でも楽しめるよう演出しています。

ビジネスクラスで和食を選択する乗客は日ごとに急増。和食6割、洋食4割ということもあり「常に和食人気を実感している」(同社)そうです。ちなみに、佐藤さんによれば「これまで食べたことがなかったけれど、初めて食べてみて好きになった外国人ウケのする食材ベスト3」は、1位・あん肝、2位・大葉、3位・ユズとか。

エミレーツの和食で注目すべきは、ハラール食の人にも楽しめることでしょう。和食作りの顔ともいえる「酒」や「みりん」などのアルコールを使わずに味にコクを出すため様々な工夫をしています。甘みの調整には砂糖や蜂蜜、ブラウンシュガーなどを使い、硬水と軟水を使いわけることもあるそうです。「昨今、ハラール食は各国で取り上げられています。近い将来、みりんや酒の代用となる何かが、我々の食卓にも広く流通するのではないかと感じています」(佐藤さん)

エールフランス航空:ミシュラン星シェフのメニュー、フライトに合わせて焼くパンへのこだわり

「エールフランスに乗ればフランス料理の今の姿が見えます。常に革新的で新しいものを取り入れていくのがフランス料理。メニューを考案するミシュランスターのシェフたちは世界中の香辛料や食材を仕入れ、新しい味を発見し、進化を続けています」と語るのは、同社PRマネジャーの山本裕美子さん。

パリ発のビジネスクラスのメーンディッシュ4種には、ミシュランスターのシェフが監修した料理を1種入れています。200年以上の歴史を持つパリの名店「ル・グラン・ヴェフール」のオーナーシェフであるギィ・マルタンさんらスターシェフの食事が、機内でいただけるのです。彼らは9~11カ月という時間をかけ、「フランス料理の親善大使になった思いで」(山本さん)メニューの考案から調理、盛りつけ、サービスの研修までを行うそうです。

料理と併せてエールフランスが40年以上こだわり続けているのがパン。ミニバゲット、多種穀物入りハードロールパン、デニッシュ(ミニクロワッサン、チョコレート・レーズン入りデニッシュ)などをフライトの時間に合わせて焼き上げ、機内に運びます。湿度の高い日本でもフランスで食べるのと同様の「パリッと感」を出すため、職人は本場で研修。焼き上げたパンは温かい状態で供されます。

「おいしいものをたっぷり召し上がってください」という思いが詰まったエールフランスの機内食。今年7月6日、パリ発成田行きのAF276便には、機内食を監修したイヴ・カンドボルドさんも搭乗し、ビジネスクラス席の乗客に機内で彼がその場で盛りつけた料理を提供するというサプライズイベントも行いました。

ヘルシーな食への流れ、「ご当地グルメ」の楽しみも

航空機内でおいしいものが提供されるようになったのはいつからなのでしょうか。

作家で航空ジャーナリストの秋本俊二さんは「2001年にスイス航空が東京・四ツ谷のオテル・ドゥ・ミクニと組み、オーナーシェフの三国清三さんが手がけるメニューの提供を開始。これが一流シェフとエアラインのコラボレーションの走りでした」と話します。以降、「日本航空が黒木純さんや山田チカラさん、ルフトハンザ航空がザ・ペニンシュラ東京(アダム・マティス総料理長)などと組んでいきました」。

さらにこの1、2年で、和食のシェフが多くの航空会社の監修に名を連ねるようになりました。背景には、機内食にもヘルシーさを求める世界的な流れがあるようです。

「シンガポール航空が世界の著名なシェフを集めて結成した『インターナショナル・カリナリー・パネル(ICP)』の一人に選ばれた『菊乃井』の懐石名料理人の村田吉弘さんは、『高カロリーで油たっぷりの機内食は、胃にも負担が大きく、利用者が気の毒』とおっしゃっていました。それほど、昔の機内食はヘルシーではありませんでした」(秋本さん)。シンガポール航空に乗る際には、秋本さんは迷わず村田さんの懐石料理「花恋暦」を選ぶとのことです。

エールフランスでも、野菜のみで構成するメーンディッシュをファーストクラスで提供したところ「機内にいると軽い食事で十分」と大好評。その後、ビジネスクラスでの提供も開始しています。今後の機内食は、健康的でおいしく、五感で楽しめるものがさらに求められてくるでしょう。

機内食の進化の要因として、秋本さんは「ビジネスクラスのサービス開発競争の激化も大きい」といいます。「大手エアラインは上位顧客にターゲットを切り替えています。ファーストクラスとビジネスクラスの2割の顧客が収益の8割を生み出すというマーケットの構図があるためです。機内食の進化は、その航空会社がどれだけコストをかけられるかによりますが、エミレーツなどは食材も、盛りつけも格段に進化しているといえます」

今後、各社の機内食はさらに個性豊かに品質を競い合うようになるでしょう。一例として秋本さんが高く評価するのがスイス航空。スイス各地の郷土料理(ジュラ、ザンクト・ガレン、ティチーノ、チューリヒ、グラールスなど)をその地の有名シェフが監修しています(スイス発の長距離路線のファースト、ビジネスクラス向け)。

「新鮮な素材を使ったスイスの伝統的な地方の料理をデザートまでいただけるぜいたくな機内食です。その地方のワインやデザートなどには特別感があります。オーストリア航空も10種類ものコーヒーを用意していますが、その土地ならではの料理をいただけるのも機内食の大きな楽しみといえます。いわゆるご当地グルメは今後、トレンドの一つになってくるでしょう」(同)

袋に入って冷たいままのカチカチなパンや、パサパサの食感の機内食なんて今は昔。高度1万メートル、雲の上に浮かぶ機体の中で、地上と同等レベルの食事を楽しむ時代になりました。

さぁ次は何を食べに乗ろう。

(ライター 大崎百紀)

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