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スポーツイノベーション

AIやVR駆使 最新技術でスポーツ関連ビジネス展開 東芝、NTTデータ、IBM、五輪狙い技術アピール

2016/11/7 日経産業新聞

富士通は3D(3次元)センサーでゴルフスイングを計測してアドバイスするシステムを開発している

IT(情報技術)各社が人工知能(AI)や仮想現実(VR)といった最新の技術をスポーツに活用する動きが広がっている。東芝はAIをラグビーの分析に応用する実証実験を開始。NTTデータはVRを使う打撃練習システムをプロ野球球団に売り込む。東京五輪・パラリンピックなどに向けスポーツ関連ビジネスを盛り上げる動きが今後も相次ぎそうだ。

企業活用する
技術
スポーツ
の種類
概要
日本
IBM
ワトソンマラソン観客が集中するポイントを分析し、危険を予知
NTT
データ
VR野球プロ野球選手向け打撃練習システム
富士通AIゴルフゴルフの上達を支援するシステム
CTCビッグ
データ
分析
野球公式記録を入力、集計して球団やメディアに配信
東芝AIラグビー試合映像からプレー分析
NECAIスタジアム群衆誘導に必要な10分先の混雑状況予測

東芝は画像・音声認識とAI関連技術であるディープラーニング(深層学習)を組み合わせてラグビーの試合映像を自動解析し、競技の分析に使う実証実験を始めた。対象は東芝ラグビー部。試合映像から選手とボールを追跡し位置を推定する。今後、特定のプレー結果につながる要因解析など戦術作りにつながるシステム開発も進める。

音声合成や画像認識などをクラウドで提供する自社のAIサービス「リカイアス」の技術を活用した。従来の競技分析には、動きを把握するために選手にセンサーを付けて数値を測っていたが、東芝の技術では不要になるという。慶応義塾大学理工学部青木研究室が協力する。関連する特許を共同で出願中だ。

NTTデータはプロ野球球団運営の楽天野球団(仙台市)とVRを使う打撃練習システムを開発し、東北楽天ゴールデンイーグルスの選手の毎日の練習メニューに本格的に組み込む。実在する各球団の投手の投球を変化球の曲がり方を含め忠実に再現するのが特徴。米大リーグやテニスなどの他のスポーツを含め、売り込み先の開拓を進める方針だ。

日本IBMは2017年2月開催の東京マラソンでAI技術を活用したコンピューター「ワトソン」などを使い大会運営を効率化する実証実験に乗り出す。ソーシャルメディアへの投稿や監視カメラの映像を分析して安全確保につなげるほか、過去の大会の天気や課題といったデータを使い、大会の効率を高めることを目指す。

自社技術アピールもコスト課題

現時点では最新のIT(情報技術)をスポーツに応用する動きはそれほど活発ではないとされる。企業の基幹システムや各種インフラなど、優先度の高い市場が他にもあるためだ。ただ、世界中の人が注目するスポーツイベントは自社技術をアピールする絶好の場にもなる。巨額の広告費を拠出する企業にとっては費用対効果を問う声に対応する必要もある。

東京五輪・パラリンピックやラグビーワールドカップなど、国内では2020年までに大きなスポーツイベントが相次ぐ。東京マラソンや野球・サッカーを中心とするプロスポーツなど国内の関連需要も堅調に推移している。一般の人にはわかりにくい企業のITシステムなどにくらべ、華々しいスポーツイベントに関連づけた方がアピール効果が高くなる可能性はある。

NECや富士通、NTTといった企業は、東京五輪の国内スポンサー最高位の「ゴールドパートナー」として名を連ねる。国際オリンピック委員会(IOC)のスポンサーに情報システム大手の仏アトスがいるにもかかわらずだ。

1社150億円ともいわれる費用負担が発生するため、株主をはじめとする利害関係者からは費用対効果を厳しく問われることにもなる。技術をアピールし関連需要の掘り起こしを急がなければ、経営責任を問われかねないだけに、IT企業の経営者らがスポーツ関連ビジネスにさらに力を入れるかもしれない。経営者たちのメダル争いにも注目したい。

(戸田健太郎)

[日経産業新聞11月7日付]

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