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人口49人 瀬戸内海「アートの島」を行く

2016/11/14

かつての製錬所が美術館として生まれ変わった

 700を超える島々がうかび、ゆるやかな時間が流れる瀬戸内海。今月6日まで開催された「瀬戸内国際芸術祭2016」で拠点となった島のひとつに、本州側から10分の「犬島」(岡山市)がある。芸術祭をきっかけに瀬戸内海の島々の魅力にはまり、その後も繰り返し訪れては島の人々と交流を深める人たちも多い。自然とアートが融合した島の魅力をみてみよう。

■歩いて一周できる

岡山市の宝伝港から犬島行きの船が出る

 犬島は本土の岡山市の宝伝港から定期船で10分ほどの場所に浮かぶ小さな島だ。犬島の周りには、犬ノ島、地竹の子島などの小さな島々があり、あわせて犬島諸島と呼ばれている。唯一の有人島である犬島も、周囲約4キロ、面積0.54平方キロと歩いて一周できてしまうほどの大きさだ。

 船が島に近づくにつれ、赤茶色の巨大な煙突が見えてくる。明治時代に建てられた銅製錬所の遺構だ。もともと石切り場として栄えていた犬島は、製錬所ができたこともあり、一時は5000人から6000人が集まるにぎやかなエリアとなった。しかし、1919年に精錬所は閉鎖され、人口は激減。昭和に入り資源大手の日本硫黄が工場を建てたものの、会社の解散とともに工場も閉鎖された。その後、香料大手の曽田香料(東京・中央)も工場を建設するが、現在では撤退している。

 企業の撤退とともに人々も立ち去り、現在の人口はわずか49人(2016年9月末時点)。小学校と中学校をかねていた「犬島学園」も1991年に廃校となった。子育て世代は島を去り、65歳以上の人口が7割を超えて、島に残る人たちは時折、「文字通りの限界集落です」とつぶやく。

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