非難してるの? problemの影の意味に気をつけろ!デイビッド・セイン「影の英語」(3)何かあったか尋ねる

ひとつの言葉は様々な顔を持っています。日本人の言葉が意図していない意味合いで伝わることもあります。日本人向けの英語教育で豊富な経験を持つデイビッド・セインさんが、日本人が使いがちな言葉から「影にある意味」を紹介します。今回は、とてもポピュラーな単語 problem を取り上げます。

problem は実は非常にネガティブなニュアンスがあります。ただちに解決しなければならない「問題」であったり、できれば無視すべきことであったりします。ポジティブ思考の人が避けるひと言が problem なのです。

◇   ◇   ◇

同僚に「何かあったの?」と尋ねてみます。problem を使うと次のようになるでしょうか。相手はどんな風に受け取るでしょう?

▲What's your problem?
正しい訳: 何が問題なの?
影の意味: いったい何が気に入らないの?

どうも相手が気に入らないらしい。いったい何が気に入らないの? 相手の不可解な言動に対して非難が見え隠れします。

次の表現だとどうでしょう?

▲That's your problem.
正しい訳: それはあなたの問題です。
影の意味: 迷惑だから、こっちに頼まないでください!責任転嫁しないで。

かなりくだけた表現になります。それは「私の問題じゃないでしょ。あなた自身の問題なんだから、こっちへ持ち込まないでちょうだい」。その件については相手と一線を画したい気持ちの表れになります。

▲This is a serious problem.
正しい訳: これは深刻な問題です。
影の意味: この問題の解決は無理でしょう。

problem 自身に「問題」というネガティブな意味があります。そこへ持って来てserious 「深刻な」がつけば、事は重大です。希望の見えない言い回しになります。

▲What's the problem?
正しい訳: 問題は何ですか?
影の意味: なぜ、できないの?

「(いったい全体)問題は何なの? できるでしょう、普通。なぜできないのかなあ」というニュアンスで相手ができないことにいら立っているようです。

▲We have to solve this problem.
正しい訳: この厄介な問題を解決しなければなりません。
影の意味: この課題についてもっと検討しないといけません。

solve problem「問題解決」という重要な局面にあります。もっと、考えなくちゃ……と「重い課題」が突きつけられています。

これなら「影の意味」はない!

人々が直面する問題は特にビジネス分野では problem 「問題」ではなく、改善やさらなる発展や成功に導く可能性であるのが真実です。成功している人々は、ポジティブに聞こえる言葉を選びます。その例を見てみましょう。

◎ Is everything okay?
すべて順調ですか?

余裕がなさそうに動き回ったり、何か悩み事や問題のありそうな人に対してかける言い回しで、「大丈夫ですか?」のニュアンス。誰に対してでも気軽に使えます。

◎ You need to take care of this.
(あなたの問題なのだから)自分で処理しないとね。

状況を冷静にとらえた言い回しになります。

◎This is a great opportunity.
これはいい機会です。

serious problem 「(深刻な問題ととらえずに)頑張って対応すればいいことがあるかもしれませんよ」と相手を励ます表現になります。

◎Is something wrong?
何かあったの?

この言い回しに否定的な意味合いはありません。深刻にならずに客観的に相手に問いかけているニュアンスです。

◎We need to look at this issue.
この課題に目を向けなければなりません。

「問題を解決する」という重さを出さずに「この課題を考えていい結果を出しましょうよ」と前向きな視点でとらえた言い回しです。

problemとissue の本当の使い方

アメリカの会社ではネガティブなニュアンスを持つ言葉を避ける傾向にあります。ましてや、ビジネス文書に残すようなことはできるだけ、しません。

例えば、problem と issue、どちらも辞書を引けば「問題」となっています。しかし、実はネイティブは感覚的にこの言葉を使い分けています。We need to solve this problem. 「私たちはこの問題を解決しなければなりません」と言いますが、We need to solve this issue. とはあまり言いません。つまりproblem とは「解決しなければならない問題」で、ネガティブなニュアンスがありますが、issue は「議論すべき/取り扱うべき問題」となるのです。例えば Our main issue today is the project budget.「本日の主要議題はプロジェクトの予算についてです」となります。

We're having a problem with our refrigerators. 冷蔵庫に何か問題がある。

Our refrigerators are defect. 冷蔵庫は欠陥品だ。

という代わりに

We're having an issue with our refrigerators.

と言えば大げさにはなりません。

She has mental problems. 彼女は精神の問題を抱えている。

という代わりに

She has mental issues.

という言い方を選ぶ方が無難です。

と、言いつつも、実は最近 “issue” でさえ、ネガティブなニュアンスがあると考える人たちも増えてきました。”She has mental issue.” であってもネガティブであるというわけです。それなら、かえって正直にストレートに言う方が安全であると考える傾向になりつつあります。言及しなければならないときは、批判的に聞こえないように注意することが必要になります。

The motor on our refrigerators overheats. うちの冷蔵庫のモーターがオーバーヒートした。

She suffers from panic attacks. 彼女はパニック障害に苦しんでいる。

このような表現こそがビジネスには向いていると考えられているのです。

Keep on going!

:D セイン

デイビッド・セインの「ビジネス英語・今日の一場面」は木曜更新です。次回は11月17日の予定です。
デイビッド・セイン(David Thayne)
米国出身、20数年前に来日。 翻訳、通訳、執筆、英語学校経営など活動は多岐にわたる。企業や学校の人気セミナー講師。英語関連の出版物の企画・編集を手掛けるAtoZ(http://www.atozenglish.jp)・AtoZ 英語学校代表。長年にわたる豊富な英語教育経験を生かし、数多くの英語関連書籍を執筆。著者に「英語サンドイッチメソッド」シリーズ(アスコム)、「カシオ英会話学習機 入門ビジネス英会話 Joy Study」、「TOEIC テスト完全教本 新形式問題対応」(研究社)などの他ベストセラーも多数、累計300万部以上の著作を刊行している。日本経済新聞、朝日新聞、毎日新聞などでコラムを連載。NHK の日本語学習番組にレギュラー出演。英語教育推進事業団(EEPS) の学術顧問。受験生向けの英語学習サイト(http://david-thayne.com/)と日本文化を英語で紹介す る英語学習サイト(http://www.wakaru.guide/ )を監修。

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