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電気代支払いも可能 仮想通貨で決済・送金 普及前夜の仮想通貨(下)

2016/11/8

ビットコイン形のチョコレート

 ビットコインなどの仮想通貨で買い物ができるようになってきたと聞きます。実際、どのように使うのでしょうか。

 仮想通貨でモノやサービスの支払いができる場面が増えてきた。5月に成立した改正資金決済法で、仮想通貨を「支払い手段」として明確に定義づけたことでさらに弾みがつきそうだ。

 仮想通貨の取引所「コインチェック」を運営するレジュプレス(東京・渋谷)はLPガス販売の三ツ輪産業(東京・港)と提携、7日から電気代をビットコインで払えるようにする。今年4月、電力小売りを始めた三ツ輪の子会社イーネットワークシステムズ(ENS)の契約者が対象だ。

 コインチェックに設けたビットコイン口座から毎月、電気代を引き落とし、レジュプレスが円に換えてENSに支払う。支払い方法は今までと同じだが、電気代の削減分をビットコインで還元するプランもある。「現在200件程度の申し込みがある」(大沢哲也経営戦略本部長)という。

 10月にはVISAブランドのプリペイドカードにビットコインで入金できるサービスも始まった。カンム(東京・渋谷)が発行するVISAプリペイドカード「バンドル」が対象。利用者はビットコイン口座から円換算で上限月12万円を入金でき、カードは国内外のVISA加盟店で使える。

 ビットコインの決済・送金などの利用件数は2016年5月、世界で毎日約20万件、利用金額は1億~2億ドル前後。来年には今年の4倍に拡大するとの予測がある。国内では約2500店がビットコインでの支払いに対応しているという。

 その一つ、東京・六本木のハッカーズバーでは、客の1割弱がビットコインで飲食代金を支払う。店側がデジタル端末にビットコインの送り先アドレスとQRコード、円換算額を表示。客がスマートフォンで読み取ると支払い完了だ。

 みらい総合法律事務所(東京・千代田)では、M&Aなどを担当するチームに限定し、弁護士費用の支払いがビットコインでできるようにした。送金手数料や初期導入コストが低いため、今後は資金決済目的で取り扱う企業が増えると予想。いち早く導入することで「チームの信頼性向上につなげる」という。

 ビットコインのメリットは海外への送金コストが安いことだ。約10万円を海外送金する場合、一般的な銀行送金では手数料などが3000~5000円程度かかるが、ビットコインは原則、送る側・受け取る側とも数円~数十円。「ビットコインは低コストな国際決済・送金システムに大きな役割を果たす」(大和総研)とみる専門家は多い。

 ただ、ビットコインの相場は変動幅が大きい。1日で2割程度上下することもあり、金額を確定して行う決済・送金といった実需取引ではまだ利用しにくいとの指摘も多い。8月には香港のビットコイン取引所で、顧客口座から6500万ドル(約65億円)がハッキングによって消失する事件があり、安全性の確保も引き続き課題となっている。

[日本経済新聞朝刊2016年11月2日付]

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