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変わるアリーナ バスケBリーグは音と光で新規客獲得

2016/11/4 日本経済新聞 朝刊

試合終了後にコートが開放され、光るボールで遊ぶ子供たち

感動の記憶、興奮の体験を生み出すスタジアムやアリーナが変わろうとしている。デジタル環境の整備やエンターテインメント性の追求によって観戦者に新たな楽しみ方を提供し、ビジネスチャンスを創り出す。2020年東京五輪・パラリンピックにもつながる「実験」が始まっている。

「エネルギーを送ってください!」。MCの呼びかけに応じた観客がスマートフォン(スマホ)を振るたび発光を増していくマスコット。コート上に選手を大写しするプロジェクションマッピング。試合開始前の選手紹介といえばスポーツ興行の見せ場の一つだが、プロバスケットボール「Bリーグ」の大阪エヴェッサの演出は国内で群を抜く。

プロジェクションマッピングで床に映像を投影する、試合前の選手紹介

大阪市の府民共済SUPERアリーナを本拠とするエヴェッサは、プロクラブとして05年から活動するが、新リーグ開幕を前に集客策の練り直しを迫られた。「バスケを見たことのない人に興味を持ってもらうため、バスケの試合らしくない感じを目指すことにした」。興行担当の手塚明子さんが話す。

LEDで光るエヴェッサの応援キャラクター「スーパーまいどくん」

手を組んだのが、デジタルアートで各地の展覧会に行列を呼ぶチームラボ(東京・文京)。週に1度は意見交換しながら演出の内容、光の色やタイミングを調整する。

重視するのは観客参加型のイベント。試合後にも仕掛けがある。選手の去ったコートに我先にと駆け込む子供たちのお目当ては、宙を舞う15個の巨大ボール。触ったり、音楽がリズムを刻んだりするたびにボールが鮮やかに変色していく。

遊園地のような雰囲気は新しい客層を引き付けた。クラブにはチケット購入の問い合わせが増え、SNS(交流サイト)ではファンが撮影した動画が次々投稿される。今季の平均観客数は前年比5割増の約3千人だ。飽きられないよう、演出は年に数度の“模様替え”を施す力の入れようだ。

観客を盛り上げるチアダンスチーム「bt」

斬新な企画は、クラブがアリーナを自由に使えるのが大きい。エヴェッサは昨年、大阪市と10年間の定期賃貸借契約を結び、指定管理制度などよりも自由度の広い管理運営権を得た。親会社の人材派遣ヒューマンホールディングスの援助も得て、本場仕込みのつり下げ式ビジョンやプロジェクションマッピングも導入。いずれも国内で持つチームはほとんどない。今後はコンサートやバレーボール、フットサルの試合を誘致して収入拡大につなげる。

「体育館」の呼び名の通り、従来の施設は競技者目線で設計、運営されてきた。フロアへの土足の入場は禁止、飲食の店舗を出すにも制限が多かった。しかし、徹底してプロ興行を追求するBリーグの誕生で、スポーツビジネスに向く「アリーナ」が全国各地に誕生しつつある。

琉球ゴールデンキングスは、地元・沖縄市が1万人収容の新施設を20年に建設する予定。クラブと自治体が意見交換しながら設計した最新型だ。栃木ブレックスも5千人収容のアリーナが20年度にできる見込み。他にも地元で建設構想が進むクラブが多数ある。東京五輪の前後には、アリーナスポーツの飛躍のための土台整備がかなり進んでいることだろう。

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