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スタジアムも進化 アプリに生映像 東京見据え実験

2016/11/4 日本経済新聞 朝刊

シーズン中のハイライト映像をスマートフォンで楽しめる大宮アルディージャの公式アプリ(さいたま市大宮区のNACK5スタジアム大宮)

Jリーグ大宮アルディージャの本拠地、NACK5スタジアム大宮(さいたま市)。ピッチが近い臨場感あふれるサポーター自慢のスタジアムに、今季新たな売りが加わった。クラブは7月から無料Wi―Fiのサービスを開始。9月からは公式アプリを制作し、スタジアム来場者しか見られないオリジナル番組や試合映像のライブ配信を始めた。

10月22日の湘南戦に来た大宮サポーターの飯田伸子さんは早速、スマートフォン(スマホ)でアプリをダウンロードし、前節のハイライト番組を楽しんだ。「ここでしか見られない動画はうれしい」。スマホ操作はそれほど得意ではないそうだが、場内には案内スタッフも巡回している。

公式アプリで視聴する映像を配信するNACK5スタジアム大宮の編集室(さいたま市大宮区)

クラブによると、来場者の4割が無料Wi―Fiにアクセスする。試合のライブ映像はわずかにタイムラグがあり、リプレイとして重宝する。チャンネルを変えるとボール支配率などのデータを見ることも可能。ハーフタイムや試合前後は実況と解説者の生収録番組も見られる。さらに地元のB級グルメ「大宮ナポリタン」の割引クーポンをゲット、と盛りだくさん。

「サポーターの皆さんは試合開始2、3時間前から来場されるので、色々な楽しみ方を提供したい。今年は試行錯誤で来年が勝負。より充実したサービスを用意できれば」。久保田剛事業本部長は話す。例えば、現在はまだ法人向けボックス席に限っている飲食のデリバリーサービス(座席据え付けのタブレット端末で注文)を指定席に広げることなどを検討中という。

今回、NACK5のスマートスタジアム化を推し進めたのがクラブを傘下に持つNTTだ。スタジアム内75カ所に高速通信が可能なWi―Fiアンテナを設置しただけでなく、特に力を入れるのがコンテンツ作り。試合中、特定の選手を4台のカメラで撮影し続ける「追っかけ映像」を流し、湘南戦では選手のシュートをGK目線で体感できるVR(仮想現実)の体験イベントも行った。

スタジアム内に設置された公衆無線LAN「Wi―Fi(ワイファイ)」のアンテナ(さいたま市大宮区のNACK5スタジアム大宮)

NTTはJリーグと提携し、来年以降、全国のスマートスタジアム推進をサポートする。その先に見据えるのが、同社が大会最高位スポンサーも務める東京五輪・パラリンピックだ。

「東京大会は日本のショーケースとなるイベント。今から“実験”を重ねることで、東京五輪の会場でもっと磨きがかかったものを世界に見せられたら一番うれしい」。新ビジネス推進室の小笠原賀子2020レガシー担当部長は話す。

五輪には、普段は観戦機会の少ない競技も多い。ルール解説や選手紹介のニーズは高そうだ。データや映像配信をスムーズに行えるようになれば、より濃密な観戦が可能になるだろう。

そして、デジタル環境の整備はスタジアムやアリーナの「稼ぐ力」も後押しする。「ICT(情報通信技術)で興行主のお手伝いをできるようにしたい」と小笠原部長。20年大会後のレガシーも見据えている。

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