「か・め・は・め・波~!」超人気分で夢のARバトル

手から“魔法”を放てる革新的スポーツ
手から“魔法”を放てる革新的スポーツ
日経トレンディ

日経トレンディがスタートアップ商品大賞に選んだ製品の中から趣味・遊び部門の大賞となったHADO(ハドー)を紹介する。

「かめはめ波」「波動拳」など、アニメやゲームの世界のワザと魔法を疑似体験できる。そんな夢のような新しいスポーツが、meleapの「HADO」だ。

プレーヤーは、スマホを差し込んだヘッドマウントディスプレイ(HMD)を頭に装着する。AR(拡張現実)の技術で、フィールドの実写映像と繰り出すワザなどのCGを重ねてリアルタイムに表示。モーションセンサー内蔵のバンドを腕に着け、ジェスチャーだけでワザを発動できる。

専用のゴーグルにスマホを差し込んで使用
側面には隙間があり、周りの状況も見える

HMDは完全ワイヤレス駆動で、プレーヤーはフィールド内を実際に動き回れるのが画期的だ。画面の前にいて遊ぶのが基本の一般的なゲームなどとは異なり、体の動きと映像がリアルタイムにシンクロ。襲いくる巨大なモンスターをファイヤーボールなどで攻撃して倒すコンテンツに加え、プレーヤー同士の対人戦も可能で、白熱したチームバトルを楽しめる。試してみると、迫りくる攻撃に、つい体をのけ反らしてしまうほどの臨場感。腕を前に突き出して攻撃を放ったり、しゃがんで攻撃を避けたり、腕を下から上に振り上げて仮想のバリアーを発動したりと、全身を使うためかなりの運動になる。数十秒で汗がにじんだ。

つい体をのけ反らしてしまうほどの臨場感
meleapの福田浩士CEO。CTOの新木仁士氏と共同で起業した

新機軸のスポーツが生まれたのは、meleapの福田浩士CEOが子供の頃に抱いた、「魔法を放ちたい」「かめはめ波を撃ちたい」という強い憧れがきっかけだ。ARなどの最新テクノロジーを使って今までにないスポーツを生み出そうと、福田氏は14年1月に起業。同年8月頃からHADOの本格的な開発をスタートさせた。

実用化へのブレイクスルーの一つが、プレーヤーの位置を瞬時にトラッキングできる技術を開発したことだ。CGをリアル映像にかぶせるには、プレーヤーの位置を正確に、かつ遅延なく把握する必要がある。そこで考え出したのが、壁に配したデザインパターン(ARマーカー)をプレーヤーのHMDのカメラで捉える手法。大がかりな装置を使わずに済む。

15年1月には、プロトタイプの公開にこぎ着け、同年12月には早くも初の常設アトラクションを長崎県のハウステンボスにオープン。その後、東京・池袋のナンジャタウンにも導入され、多くの人が訪れている。

「HADOはプラットフォームでもあり、コンテンツを乗せ換えることが容易」(福田氏)といい、ゴジラや仮面ライダーの他、かめはめ波の“本家"であるドラゴンボールとのコラボアトラクションなども相次いで登場。16年夏には中国・上海に進出し、海外展開も加速している。開発を始めてから僅か2年で体験者数は10万人を突破。まさに破竹の勢いだ。

対人のチーム戦の他、モンスターを 倒すコンテンツも用意

「東京五輪がある20年には、HADOの国際大会を開催し、世界中が憧れるようなスポーツに育てたい」と、福田氏は語る。その先駆けとして、16年11月には初めて賞金付きの大会を開催する予定。17年には各地で予選会を開き、大規模な全国大会も計画している。身近な場所として、ショッピングモールへの展開も進めており、プレーできる場所は一気に広がる。17年以降、“テクノスポーツ”市場が花開きそうだ。

外でも遊べる新型HADO

meleapが次に開発中なのが、電動車椅子に乗りながらプレーする「HADOカート」。HADO同様、HMDとモーションセンサーを身に着けて戦うマリオカートのようなスポーツゲームだ。HADOは壁面にマーカー付きの壁を設置する必要があるのに対し、HADOカートはARマーカーを電動車椅子に配置し、屋外でも楽しめるのが特徴。テクノロジーで人間の機能を拡張して競う、“超人スポーツ”の一種としても注目されており、今後イベントや体験会などが開催される見込みだ。

相手のマーカーを捕捉し、攻撃を当てて得点を競い合う

(日経トレンディ編集部)

[日経トレンディ2016年11月号の記事を再構成]

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